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絶対これ、楽しいのってワタリだけだよね……
でも書いてて楽しいから書くけどね?
チビスターズ第一話 ②
「……つまり、二人とも起きたらこうなっていた、と」
「はい」
「そうだ」
あの後二人と話して今持っている情報を整理した。分かったことは「朝起きたらこうなっていた」ということだけで、少ないどころの話ではなかったが。
とりあえず、二人とも「変なモノは食べていない」ということで、ついでにいうとミッションで辺境の地に行ったということも無いらしいから未知の病原菌に感染しているということもないだろうが……。
「でも、変なモノって……分からないよね……クッキーが原因だってこともあるし」
「それはそうだが、俺は昨日、食堂での食事以外では何も食べていない」
「僕もそれは同じなんだよね……」
苦笑しながら話すアレルヤと、淡々と答える刹那。
…ちなみに、刹那が淡々と答えるのはもう癖の領域なので、ロックオンもアレルヤも気にしていなかった。
「ま、皆にこのことを言って、それから考えればいいさ」
「それもそうですね」
「このままいてもしかたないしな」
頷く二人を見ながら、ロックオンはふと思った。
……ティエリアは、大丈夫だろうな。
さすがに三人も子供になっていたら困る。ミッションに支障が出そうだし(今でも十分でそうだが……)、彼らの世話役が当然ロックオン(だけ)になるだろうから、いろいろと大変なことになりそうだ。アレルヤはともかく、他の二人が……。
胃薬の予備はまだあったか、などと考えていると、廊下の方からドタドタという足音が聞こえてくる。
「な……なんだ?」
「あ、そうそう。言うのを忘れてました」
思わず振り向くロックオンと刹那に、アレルヤは苦笑しながら言った。
「僕ら、分裂してたみたいなんです」
「アレルヤッ!何、茶髪の所に来てんだよッ!」
そういう言葉と共に飛び込んできたのは、いつも通りの背丈の……ハレルヤ。
入り口の所で一度止まった彼は、それからズカズカと部屋に入ってくる。
「だって、スメラギさんはお酒飲んでたし…」
「俺が言いたいのは、どうしてそんな格好で歩き回るのかってことだ!」
格好……言われてロックオンは気づく。
アレルヤも刹那も、身につけているのはいつもの背丈の状態で着ていた上の服一枚だけ。 今の背がとても小さいものだから、それだけで十分下まで隠れている。
ハレルヤの言う通り、トレミー内であろうと歩き回るような格好ではないだろう。
一目見たら気づきそうなモノだが……いかんせん、この現象事態があまりに驚くことだったため見落としていた。
「いいか、アレルヤ。ここらへんにはケダモノしかいねーんだから、もっと警戒心を持て」
「ケダモノって……」
真剣な表情でそう言い聞かせるハレルヤを、呆れたように見るアレルヤ。
そんな二人をロックオンと刹那は黙って見、思う。
((たしかに、アレルヤだったら危ないな……))
誘拐されても仕方がないくらい可愛らしいのだから。
それに、彼はいろんな意味で『狙われて』いるのだし。
というわけで、ハレルヤの言葉は正論だった。
が、彼自身もその『ケダモノ』の中に入っているということは分かっているのだろうか。
「いねーだろーな……」
呟く。確実に入っていないだろう。
「何か言ったか茶髪」
……ごくごく小さく呟いたはずだが、どうして彼の耳に届いているのだろう。
不思議に思うというより、もう、賞賛に値する、というレベルなような……。
「ハレルヤ!茶髪じゃなくてロックオンだよ!」
「茶髪でいいだろ……ってチビ!テメェ、さりげなくアレルヤの手を握んな!」
「アレルヤがいやがっていないから、いい」
「俺が嫌なんだよ!」
「知らない」
「……テメェ」
「やるのか?」
「二人とも、落ち着いてね!?」
三人の(主に二人の)やりとりにため息をついていると、時計が七時を指した。
そろそろ、食堂が開く時間だった。
「というか、どうしてハレルヤはアレルヤと一緒じゃなかったんだ?」
「えっとですね。僕はよく分からないんですけど……朝起きて、隣に温もりがあるのが不思議で、目を開いたらハレルヤがいたんですよ。さらに、僕が小さくなっていて」
「で、アレルヤに起こされた俺が今のこいつ見て固まったんだ」
「…………あー、その気持ちは分かるぞ。そりゃ、衝撃だったろうな」
「今のアレルヤは可愛すぎるからな」
「………それとどういう関係が?というか、僕、可愛いですか?」
「「「間違いなく可愛い」」」
「そ……そう?」
ハレルヤは、アレルヤが可愛すぎて固まってしまったんです。