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「落ち着いた?」
「えぇ……その、すみません、取り乱してしまって…」
「私こそ。けど…本当に大丈夫?」
「…はい」

 頷いてみせるが、本当は……大丈夫なわけがなかった。
 三番目の鍵が、外れてしまったから。

 一昨日に見た、たくさんの扉のある廊下……記憶の収納場所。その中の、三つの鍵が付いていて……幾つかの鍵が外れていた場所。
 そこが、開いてしまった。

 思い出されるのは『一番目の罪』の記憶。
 あぁ……と思って、苦笑した。こんな状態では、絶対にロックオン……ニールには会えない。彼と同じく記憶がないはずのハレルヤにも、ティエリアにも会えないし、記憶を持っているライルと出会うなんて言語道断である。それとあと、一人……


『これは面白い拾い者だね……』


 頭に響いた声を、頭を振って打ち消す。
 これは過去からの声。決して今、響いているわけではない。

 ……そして、この声の持ち主と会うことも、避けなければならないだろう。
 特に、彼とティエリアとを会わせてはならない。

 会ってはならない、会わせてはならない……そればかりだと、内心で溜息を吐く。しかし実際にそうなのだし、ならばその現状を受け入れるしかない。受け入れた上で……行動する。次は、間違えない。

「アレルヤ?」
「え……あ、何でもないです」

 物思いに沈んでいたためか、訝しげにこちらを見るマリナに慌てて答え、逃げるように視線を逸らす。目を合わせていたら、何だか心の底まで見透かされそうな気分である。
 そうして、逸らした先にあった光景を見て、不安に襲われた。

「マリナさん……何で、あの三人は起きないんでしょうか…」
「そういえば、もう起きても良い頃よね…眠いのかしら?」
「いやいやいや…それは無いんじゃないですか?」

 それは無い。けれど…この状況は異常だ。
 マリナが起きてから、一体どれほどの時間が経ったのだろう。自分がここに全員を運んでから、一体どれ程の時間が経ったというのだろう。
 いい加減に、全員が起き出してもおかしくないというのに…その気配すら無い。

 周辺状況に何か問題があるのだろうかと、意識を凝らして確認しても妙なところはない。自分の力で、というのも今まで問題がなかったこともあるので、説明が付かない。外部からの干渉は……否定できない。

 だが、だとすれば何故、というのが問題になってくる。
 いくら考えても、理由という物が見つからないのだ。

「というか……何でマリナさんは無事なんですか?」
「そういうアレルヤこそ、何で起きているの?」

 そして……どうして自分たちだけ起きているのか。
 自分はまぁ…始めから起きているから、そこを理由と出来なくもない。けれど、マリナは自然と、自分から起きた。それには理由がいるのかもしれない。

 まぁ、外部からの干渉というのも可能性の話だし、もう少し様子を見ることは必要だろうと、アレルヤは三人を眺めながら、思った。
 この『行動しない』という選択を、とても辛く感じながら。

 

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