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正直、出番のない(微妙にある?)スローネたちのほのぼの物語にしてしまおうかと思いました。
が、それはどうかと思った末に…。
ダブルオーとアリオスです。
海上で、戦いは行われていた。
そして。
「強い……!」
一機のアヘッドに、ダブルオーは押されていた。
有り得ない話ではない。相手も四年の間に、ちゃくちゃくとその性能を上げてきていた。より強くなるために、より相手を圧倒するために。
だが、これは……この状況は、そんなものではない。
「中のパイロットか……!」
唸るダブルオーは刹那と同じ結論に行き着いた。
相手は、確実に最終決戦でGNドライヴを搭載したフラッグに乗っていた、あの男。ガンダムに愛を叫んだり抱きついたり数々の迷言を残したりした、あの男だ、が……彼の事を思い出す度に、どうしても余計な部分(デュナメスに抱きついてきたことなど)が出てくるため、どうしてもシリアスに徹しきれない。悲しいところではある。
と、そんなことを思っている間にもビームサーベルは振り下ろされる。
受け止め、払い、カウンターを返せばかわされ……その繰り返し。
やはり、気は抜けないらしい。
気を抜けば……負ける。
だが、ダブルオーはまだ負ける気はなかった。
ここで負ければ刹那の思いが無駄になってしまう。
「…せっかく繋いだ命だ…違うか?」
自分は死ぬことがない。機体が壊れようと生き続ける。
けれど人間は、一度壊れれば終わりなのだ。
「ならば……俺は最後まで付き合う」
それが、彼と共に戦う自分の義務にして、権利だ。
スッと目の前の赤い機体を見据え、叫ぶ。
「だが、こんなところを『終わり』にする気は無い!」
叫ぶと同時に、カチリと。
何かのスイッチが入った気がした。
「アレルヤ……何を迷っているの!?」
先ほどから、操縦がどこか…鈍い感じがある。
それは迷い故なのだと、アリオスは気付いていた。
相手を打ち落とす事への迷い。
相手と戦うことへの迷い。
いや……迷いという曖昧な物ではない。
これは恐怖だ。
相手を失うかもしれない、という。
あるいは決定事項。
相手と戦うことは出来ない、という。
「それほどまで…っ」
機体に被弾したのを感じる。
けれど、それにアリオスは構わなかった。
構わずに、言葉を続けた。
「それほどまでに、君は『マリー』のことがっ……!?」
それほどまでに……大切なのか。
だとしたら、何で、何でここまで一方通行なのだろう。
どうして彼女はアレルヤに気付いてあげないのだろう。
無茶な願いとは分かっているが、それでも願わずにはいられない。
たとえ……この身を駆って、同胞たる子供たちを……殺してしまったのだとしても。
自分勝手な願いだと人は言うだろう。そんなことをしたのに、どうして幸せになる権利があるというのか……と。そんなものはないだろう、と。
だけれど、それでもアリオスは幸せになって欲しいと願うのだ。それは人の権利で、何人たりとも踏み行って汚してはいけないものなのだから。
自分たち兵器と違って、生きている人間にはそうなる権利があるのだから。
だから、だから……
「あ…」
ふいに、体がびくんと跳ねた。
痛い。
痛い痛い痛い痛い!
気付いたときには、体にビームサーベルが突き刺さっていた。
「マリー!」
叫ぶアレルヤの声に合わせるように、アリオスは敵機へと手を伸ばした。
そんなことをしたって無駄だと思いながらも、朦朧とする思考は『そうしろ』と命令を下していた。祈りと共に伸ばさずにはいられなかったのだ。
こんなことを祈れた義理ではないのは分かっているけれど。
「お願い……ねぇ…お願い……」
お願いだから。
「思い出してあげて……これ以上、アレルヤを悲しくさせないであげて…」
当然ながら、返事はない。
差し出した手は、空を切るのかも知れなかった。
Cパートにも出た二人で。
今回はこの二人が目だってたかもしれません。ケルディムも結構すごかったですが。
来週はアリオスが目立つかな…四人のなかだったら。