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とにかくヤレルヤが書きたかったが故の産物。
だってヤレルヤ良くないですか?あの、前をどうやってみるの!?的な髪型とか。
12.お子様ランチ
※ アレルヤ、ハレルヤ、ヤレルヤ(!)が分裂しています
ハレルヤはただ今非常に不機嫌だった。
他のマイスターの介入を許すことなくアレルヤと一緒にいても、どうしても不機嫌さが治らない。これではどうしようもないと分かっていようと理論と感情は別物というのは本当らしく、事実である以上は自分の目の前に立ちはだかることになり。
……そして、不機嫌の『元』がアレルヤの膝の上で機嫌良さそうにしているのが、さらにハレルヤの機嫌を傾かせる。
「……オイ、テメェ自分一人でメシ食えるだろーが。何アレルヤの手を煩わせてんだ」
「ハレルヤ、何言ってるの?ヤレルヤはまだ赤ちゃんだよ?それに前髪のせいでロクに前も見えない状態だし」
「髪型に関しては変えりゃいいだろ」
何も髪型のせいで人格が変わるわけでもなく、単なる記号のような物であるというのに……一体、どうしてそれを『仕方ない』と放置できるのか。
いや…前髪の話は止める。それを言うとどうしても、自分とアレルヤの髪型のことも問題になってしまう。割とアレルヤの振りをして他のクルーたちで遊ぶことはあるものの、普段から違いが見分けられないと支障が出る。例外として、後ろ姿でもどっちがどちらか分かるのが数人いるが、それはそれ。どうせそのうち亡き者にするのでカウントからは外しても構わないだろう。
とまぁ、それはともかく。
ハレルヤは得意げな表情を浮かべているヤレルヤをを見ながら、手元にあったコーヒーの入ったカップを持ち上げる。
一瞬あの赤ん坊にかけてやろうかとも思ったが、止めた。それをするとアレルヤと一週間以上口を聞いてもらえなくなる。それは……本当に嫌だ。
大人しくブラックのコーヒーを啜りながら、ファミリーレストランの内部を見渡す。
休日らしく、店内では客がごった煮状態だ。家族連れだけでなく恋人、友達同士、単なる冷やかし、老人等々……とにかくたくさんの人間が出入りしている。中には見るからに極悪そうな男がいたり、指名手配だったような気のする女がいたりしたが、そこは言わぬが花というものだろう。そもそも、自分たちがどうのこうのと言える問題でもない。言えたとしても言う気は全くないのだが。
しかし、その中に赤いターバンを首に巻いている子供だとか、どこからどうみてもロリコンの男だとか、紫の髪に眼鏡な上にピンクのカーディガンを着ている青年がいるとなると、見過ごして良いレベルを通り過ぎていると断言して間違いはない。
「アイツら……良くまぁここまで来たな…」
「え?アイツら?」
「こっちのこと。放っときゃ良いんじゃね?」
幸いこちらに気付いてはいないようだし。
それよりも問題は…
「アレルヤ、」
「ヤレルヤ、何だい?」
「あげるでち」
「プリンを?けど、それってデザートなのに…」
「あげるでち、アレルヤ」
「…なら、遠慮無く。ありがとね、ヤレルヤ」
……こちらの方だ。
赤ん坊だろうと何だろうと、とにかくヤレルヤは簡単な物ならば一人で食べることが出来る。その現場をハレルヤはこの目でしっかりと見たのだ。が…どうにもアレルヤの前では猫を被っているらしく、本性を表すことはほとんど無い。
さらに付け加えると、アレルヤは無類の可愛い物好き。『赤ん坊』という存在に心惹かれないわけがないのだ。そして、そこをこの赤ん坊は理解している。
ある意味一番手強いのは他のマイスターでなく、この赤ん坊なのではないだろうか。
だからといって、アレルヤを渡す気はないし……というか、この二人だったら年齢差が凄いことになるから…色々と素晴らしいことになるような。別の誰かならば見てみたかったかもだが、片割れが関わっているのならば話は別である。
アレルヤのホットケーキをつまみ食いながら、ハレルヤはどうやったらヤレルヤの介入なしにアレルヤと二人きりになれるだろうかと、最も重要にして最も難題な議題に取りかかることにした。
もしもヤレルヤまで分裂してたらって話。
赤ちゃんなのに喋るヤレルヤ……知能指数が素晴らしいことになってそう…。
そして、少し登場な残りマイスター。当然、三人を追ってきました。