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二期マイスターズの話。
ライルってニールよりも虐めやすい気がするのは気のせいですか?
そして…こんなの見たら、秘密にしなければならないのも分かります。
02.トップシークレット
「えらいモン見ちまった……」
プトレマイオスⅡの食堂にて。
コーヒーを片手にゲッソリとした面持ちで椅子に座り、机に突っ伏しているライルを眺め、隣に座っていたアレルヤと顔を見合わせて首を傾げた。どうして彼がこのような状況になっているのか……全く理解できない。
「何を見たんだ?」
ならば訊くまで、と刹那は彼に問いかけた。
問いかけられた方はというと、ゆっくりと幽霊のように顔を上げて、自分たちと視線を合わせた……本気で死にそうな面持ちである。
「……夢見たんだよ」
「夢って……寝てるときに見る夢ですか?」
「それ以外に何があるんだ……?……とにかく、それでな…」
そこで言葉を止めて急にキョロキョロとしだしたライルを、刹那は不審の目で見た。とにかく、『それでな』の続きにとんでもない発言が来るのは分かる。が、だからといってこの様子は何なのか、分かるわけもない。この艦に乗っている誰かに聞かれると困るないようなのだろうか。
ともかく、周りに自分とアレルヤしかいないことをしっかりと確認したらしい。ライルは恐る恐るといった様子で、口を開いた。
「教官さんがな……オタク化してる夢を見ちまったんだよ…」
「……それは…」
一体何がどうなれば、そうなるのだろう。夢とはいえ。
それとも夢だからこそか。
頬杖をつき、呆れながらもライルを見据える。
「それは……俺たち以外の誰かに言ったか?」
「…というと?」
「例えば、スメラギ・李・ノリエガなどに」
もしも彼女に言ったら致命傷。確実に艦全体のクルーに、余すところなく伝わる。さすがにそんな愚を犯すとは思っていないが……来て日の浅い彼だから、あるいは…という可能性も否めない。
だが、そのあたりの警戒心はあったらしい。ライルは力なく首を振った。
「大丈夫だぜ……元気になったあの人、凄い強いからな…」
「…それは何よりだ」
「……ねぇ」
それならば安全かと一息吐いていると、ふいにアレルヤが、不思議そうにライルを見ながら言った。
「何でそこまで怯えてるんですか?いつもなら飄々と逃げてくような貴方が…」
「あー、そりゃな…」
椅子の背もたれにもたれ掛かり、ライルは天井を仰いだ。
「昨日、反応が面白すぎて教官さんをからかい過ぎた」
「え……?」
「今、絶対に抹殺リストの一番最初に俺の名前が載ってるぜ…これ知られたら俺、死ぬわ」
「……それは自業自得というものじゃないのか」
昨日の行いによっては、刑も軽くなったかもしれないというのに。
こう続けると、ライルは体を起こしてキョトンとこちらを見た。
「なぁ…その言い方だと、」
「何だ?」
「何かさ…教官さんが知ってるような感じがするんだけど……」
「プトレマイオスⅡの監視カメラや音声を拾うマイクからのデータは、全て自由に閲覧できているからな……知らないわけがないだろう」
「へぇ……そりゃ凄……って、ちょ!?」
慌てて振り返ったライルの頭が、がしりと、ティエリアの手に捕まれる。
引きつった笑みを浮かべるライルを、ティエリアはにっこりと嗤って見ていた。
「君の……君たちの話は聞いていたぞ」
「え?ティエリア、一体どこで聞いてたの?いくら監視カメラが使えても……こっちに来るのに時間が…」
「食堂の外で気配を消して立っていたからな。君たちの話は筒抜けだ」
とんでもないことを言ったティエリアは、ライルを椅子から引き摺り落として首筋に素速く手刀をくらわせた。
がくん、と体から力が抜けた……つまり、気を失った様子のライルをそのまま引き摺っていき、セラヴィーのマイスターは出入り口の所でフッと笑ってこちらを向く。
「まさかとは思うが……君たちも、彼と同じような夢を見たことは……」
「なっ…無いよ!?」
「同じく」
突然の振りに驚いて焦って答えるアレルヤと、冷静に頷く刹那。
それを見て納得したのか、ティエリアはそのままライルを引き摺って去っていった。
「……ライル・ディランディ…」
ぽつりと、刹那は呟く。
「……まぁ、頑張れ」
(ティエリアの部屋から、誰かの悲鳴が聞こえてきました… by通りすがりのクルーFさん)
何か、オタク化アーデさんをよく見るので…その影響で書いてしまいました。
けど、こんな夢を見られたら誰だって嫌だよね…。
ちなみに通りすがりのクルーFさんはフェルトです。