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カテゴリがティエアレのくせに、何でかスメラギさんの方が影が濃い気がする…。
そんな感じのお話です。
02.つれない君
「スメラギさん……」
「何かしら?」
「……飲み過ぎじゃないでしょうか…」
今、アレルヤはスメラギの自室に招かれて、二人きりの酒盛りをしていた。名目はスメラギが正式にCBに帰ってきた記念で、実際は彼女が酒を飲むためで……そして、久しぶりに自分をからかって遊ぶつもりなのだ。
そこまで分かっていて、何で何で断れなかったのだろうかと一人、溜息を吐く。どうしても強く言われると……断れない。
自分の押され弱さを悲しく思いつつ、空いたグラスに注がれたワインを見て、何だか泣きたい気分になる。これも飲み干さなければならないのだろうか……いい加減に、頭がフラフラしているから、止めたいのだが。
というか、止めないと色々と大変なことになりそうな気がする。
主に自分が。
どうしようと思いつつ、断ろうと決意して顔を上げ……
「どーしたの、アレルヤ?」
……諦めた。
スメラギは完全に出来上がっていたのだ。
こんな状況になった彼女を、果たして誰が止めることが出来るというのだろうか……いや、絶対に誰もできない。とりあえず彼女をよく知らない人には確実に不可能で、彼女を知る人になればかなり無茶だ。知る人の場合、だいたいが巻き込まれてしまうのだ。そして……それを知っていて近付こうという、奇特な人間はそうそういないのである。
「さー、もっと飲みなさい!」
「うぅぅぅ……」
「さぁさぁ!」
「……何をやっているんだ?」
スメラギに急かされグラスを空にした丁度その時、シュンと音が鳴って、ドアが開いた。
そこにいたのは……呆れ顔の、ティエリア。
彼は数秒ほど室内を見渡し、それだけで何があったのかを悟ったらしい。溜息を吐いて、ズカズカと室内へ入り込んできた。
「あらぁ、ティエリアじゃないのー」
「スメラギ・李・ノリエガ…一体、何本飲んだんです」
「大丈夫よー……ボトル二十本程度ですものー」
「それが大丈夫だと言える貴方の感覚が変なのであって、決して大丈夫ではありません。それより……アレルヤ」
「ふぇ?」
スメラギの手から酒のボトルを取るティエリアが、こちらを向いたのを認めて首を傾げる。どうかしたのだろうか?
「ティエリア…どうかした…?」
「いや……君も大概だと思っただけだ……大丈夫なのか?」
「大丈夫…じゃないかも」
正直、さっきの一杯を飲んだ後から、頭がさらに朦朧とし始めた気がする。今はアルコールが体に回ってきているらしく……先ほどはっきり見えたティエリアの姿も、今では何となくぼやけているように……見えなくもない。
あと、やけに眠い。
ゴシゴシと目をこすっていると、でろんでろんに酔っているスメラギが、新しい酒のボトルを手に取って、ティエリアの腕をグッと掴んだ。
「ティエリアー、アンタも飲みなさいよー」
「結構です」
「一杯くらい良いじゃない…」
「いりません」
「…つれないわねぇ…」
「当然です。日頃の行いを考えてください」
短くハッキリと答えながら、軽くスメラギの手を振り解いた彼は、そのままアレルヤの方へと手を差し出した。
「アレルヤ、ここから出るぞ」
「うん……あ、スメラギさん…じゃあ、僕は…」
「二人ともつれないのね……いいわ、私一人で飲むもの」
フラフラしながらも立ち上がり、アレルヤはティエリアの肩を借りて歩き出した。
……実際は、歩いていると言うより運ばれているという感が強い。アルコールと眠気の力で、アレルヤの体には上手く力が入らかったのだ。
「…うまく断る方法、探すべきなのかなぁ……」
「傍に誰かが居たら、その誰かに助けを求めればいい。一人きりの場合は……」
そこで切って、ティエリアは薄く笑った。
「君だからな……諦めろ。断れないだろう?」
「う……ま、まぁ…そう、かも……」
何で、本当に断れないんだろう…。
やっぱりスメラギさんの方が影が濃い…ね。
何でだろうか…。