Another Story （W） 第二話：死神と呼ばれるG

久々ですね。…最後まで行けるんだろうか……。
今回はウイングとデスサイズです。…なんか、彼らの扱いが凄く不憫なのですが…。

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　気付いたとき、視界一杯の青空が目に映った。
「……」
「あ、目ぇ覚めた？」
　黙って身を起こすと横には、体育座りをしている黒色の仲間の姿。
　一瞬だけ丸く紅い瞳に安堵が浮かんだが、それは直ぐに消え、代わりにいつも通りの明るい笑顔が現れた。
「いやぁ、起きてくれて良かった。本当、あのままじゃ色々大変だったしなー」
「色々？」
「敵に捕まるか、自爆かっていう状況。ていうか自爆」
　はぁ、と溜息を吐きながら、デスサイズは人差し指でウイングの額を小突いた。
　それ程たいした力でもなかったのに、一瞬でも揺れてしまったのは……結構本体にダメージか何かがあるのかもしれない。まぁ、来ていきなり海にダイブなんて事になったのだし、疲れていなかったら嘘だと思うが。
　しかし……自分が自爆をしようとしたでもないのに、自爆。となるとパイロット……ヒイロの仕業だろう。
「さすがは俺のパイロットだ…」
「あー、お前、今何思ってるか凄く良く分かるから一つ言っておくとな、頼むから自爆関連で誰かを尊敬なんてしないでくれっ！」
「目上は尊敬する物だろう？」
「こういう目上は尊敬せずに止めろッ！…そーいうこと言う口はこうしてやるっ！」
「いひゃいぞ、でしゅしゃひす……わひゃった、わひゃったひゃら」
　グニグニと頬を引っ張られるままに答えれば、ジト目ではあったものの……一応信じてくれたのか、デスサイズは手を離してくれた。
　赤くヒリヒリと痛む頬を右手で撫でつつ、彼の髪を左手でグイと引っ張る。
「痛っ！？」
「仕返しだ。…赤くなるまで引っ張ることは無いだろう……」
「だってお前っ…このくらいしないと聞かないじゃんかっ」
　言われて、グッと詰まる。
　いやまぁ……何となく、そういう自覚はあるけれど。だからこそ反論の言葉が浮かばないわけで、むしろ納得しかけているワケだが。
　左手を髪から離して意識を本体の方に向けてみると……何か、まだ海の中のようだった。そういえばさっきから…若干寒い。
　あと、近くにデスサイズの反応を感じる。
「あぁ…お前が近くにいるのか…」
「そ。別々に置いても手間ってことだろ」
「…それもそうか」
　本体は、ガンダムというかMSというものは総じて大きいものだから、隠す場所も見つけにくいのだし、ならば二機一緒に隠せる所があるなら活用するべきだろう。別々の状態と違って、見つかったら一発で二人ともアウトなのはアレだが。
　まぁ、そんなヘマはしないと思うが。何せガンダムパイロット、そのあたりはしっかりとしているに違いない……どんな相手かは知らないけど。
　考えて、少し不安になる。
　……そう、自分はデスサイズのパイロットのことを知らない。だから彼を安心して任せられる相手なのかも分からないわけであり。
　唸っている自分を不思議そうに眺めていた死神にありのままを伝えると、あぁ、と苦笑混じりの解答が返ってきた。
「技術面は大丈夫じゃないか？問題は運勢とかそっちかなぁ、とか」
「……そっちの方がある意味危険だと思うが」
「やっぱり？」
「それはそうだろ………っ！？」
　ふいに体に衝撃を感じて、ウイングは言葉を止めた。
　それはデスサイズも同じだったらしく、戸惑った様子でこちらを見て……何かを見つけたらしい。大きく目を見開いた。
「どうした？」
「あれ！あれ俺らだよな！？」
　指さされた方を見れば、そこには海に沈んでいく白と黒の機体。
　それを確認したウイングとデスサイズは、瞬時に視点を精神体でなく本体からの物へと移行、何が起こったのかと状況判断に努めた。
　結果、敵に発見されたウイングを自爆させなければ……ということで、ヒイロが魚雷かミサイルか……とにかく、それに類する物を撃ったらしい、と判明した。
「ちょっ……お前のパイロット何して！？」
「あぁ、ヒイロだからな。仕方ない」
　慌てているデスイサイズの隣で、ウイングはこういう事も無くはないか…と思っていた。相手が相手なので、納得できないことはない。
「仕方ない！？あれで！？お前も撃たれたのに何で冷静なワケ！？」
「ヒイロ相手だ。何より、自爆には到底及ばない」
「んな理由で済ませるな！あと、『何』が自爆に到底及んでないんだ！？衝撃か！？」
「そんなところだ。それより……」
　海に沈んでいく自分とデスサイズの本体を感じながら、呟く。
「ちゃんと引き上げてもらえるのか……？」
「…信じて待とっか…」
　…それは、電源がオフで自分では動けないウイングたちにとって、重大な問題だった。

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やっと海から出られたと思ったら、自分のパイロットに再び海へ送り返されるとか……
ウイングも大概、っていうかんじですか…。