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せっかくの七話だし、アレルヤとマリーの話がいいかなとか思ったんですが…懐かしい味、というお題な時点で色々とダメでした。懐かしいって言ったら昔だけど、マリーには味覚が無かったんだよ…。
というわけで、刹那と沙慈です。分かり合えとは言わないので、歩み寄っては欲しいかもしれないコンビです。
07.懐かしい味 (第七話:再会と離別と 刹那)
アレルヤが見つかったと聞いて嬉しそうにしている刹那を見てから、沙慈はダブルオーの最後の調整に入った。これで問題がなければ修理は終了……なはずだ。
ピ、ピ、と手元の端末を操作しつつ、話し掛ける。
「見つかって喜ぶなんて…刹那って、アレルヤさんのことが好きなんだね」
「あぁ。好きだな」
「へぇ……」
てっきり『普通だ』とでも返ってくるだろうと考えていたので、その返事は少々、意外だった。五年前はあまり交流はなかったものの、彼がこういうことを軽く言うようなタイプでないのは分かっていた。そして今、この艦で少し話してみても、その印象はぬぐえなかったのだが。
そんな刹那がこうもあっさりと、というのは、つまり軽く思ってるワケではない、ということで。
……そこから先は考えないことにした。
何だか怖い結論が出そうだった。
「…ところで沙慈・クロスロード」
「何?」
「……ずいぶんと明るいが…」
「それって、最初と比べて、でしょう?」
苦笑を浮かべ、最後のキーを押す。
「今はどういう態度を取ったらいいのか……分からないだけだよ」
「そうか……」
それっきり、刹那は黙った。
沙慈が沈黙の中、思うのはカタロンの人々のこと。
自分のしたことのせいで、たくさんの犠牲者が出たという現実。
ティエリアが責めたように、あれは全て、自分が悪いのだ。
「……出来たよ。問題ない」
「分かった。礼を言う」
「止めてよ…」
沙慈は、少し顔を歪めた。
「君たちのためにやったんじゃない。カタロンの人たちを逃がすために、僕は手伝っているだけだ。お礼を言われる筋合いはないよ」
「それでも、」
どこまでもまっすぐに、刹那は口を開いた。
「ダブルオーの修理を手伝った。その事実に俺は感謝する」
「……勝手にしなよ」
何を言っても無駄だと、沙慈は顔を逸らした。相手をするのもバカバカしい。
しばし、沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは、刹那の方だった。
「…時間はあるか?」
「時間?…まぁ、あるけれど」
「なら、来て欲しい。意見を聞きたいことがある」
「……?」
何だろう、と思いながらも大人しく頷くことにして。
数分後、沙慈は食堂に来ていた。
「刹那……意見って料理の?」
「あぁ。作ってみたんだが……味がこれで良いかが分からない」
自分を席に座らせた刹那は、そのままゴソゴソと冷蔵庫の中を漁り始めた。
ちらちらと見えるタッパーには色々な物が入っていて、どれもこれもが手作りなのだと沙慈は気付いた。タッパーのフタの色も様々で、多いのは青と橙のフタ。二番目は桃色と黄色だろうか……紫の物も、多少はあった。
「そのタッパーって?」
「…あぁ、作ったのが誰かが分かるようにしている」
そう言って帰ってきた刹那は、青色のフタのタッパーを持っていた。
「やることが無くて暇なときは、ここで料理を作ったりしている。たまに料理教室もある」
「へ……へぇ…」
テロリストが料理教室……似合わない。
引きつった笑みを浮かべつつ、目の前に置かれたタッパーのフタを開く。
そこに入っていたのは。
「筑前炊き…?」
「以前お前が持ってきた物を思いだして作ってみた」
成る程、どうりで自分に意見を聞くわけである。
納得しつつ、箸で具をつまんで口へ運ぶ。
「……どうだ?」
「美味しい……というか…姉さんのと全く同じ味……懐かしい…かも」
「そうか…ならいい。アレルヤが食べたがっていたから」
「……もしかして、そのためだけに作ったの?」
だとしたら、どれだけ彼のことが好きなんだろうか。
思い、沙慈ははぁ、と溜息を吐いた。
本当はマイスター(アレ除く(ライルは微妙に))&トレミーのクルーたちvsマリーを書きたかった…んだ。
別にvsっていうけど深刻じゃなくて、ライバル的な。行くトコまで行ってるけど、そう簡単には渡さないぞ、という感じで。多数vs一人ですが、このくらいのハンデでも足りないくらいだし、良い勝負かと。