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二期ネタ書きたいけど、ティエリア様が大変なことになりそうな…?感じなので。
どうするんだろ…ティエ様。付いていってしまうのかな…?
それは出来れば遠慮させてもらいたいのですが……。
10.右回り
「一つ分からないことがある」
「何だい?」
「どうして柱時計は右回りなんだ?」
「えっと……」
それはなかなか難しい質問だ。
というか、難しくなければ自力で答えを導き出す彼なのだし、持ってこられる質問は難題か、あるいはティエリアが理解できないものである場合のみ。
このまえ『理解できない』と言って、小説の登場人物の心情を訊きに来たのには驚いたが……まぁ、それはそれだ。彼にとっては理解しにくいものだったのだろう、割と遠回しに本心が書かれていたようだったし。
それはともかく。
「突然どうしたっていうんだい?」
「先日、偶然それを見る機会があった。その時にふと思っただけだ」
「ヴェーダを使って調べようとかは?」
「こんな下らないことにヴェーダを使えと言うのか!?」
「あー、うん、僕が悪かったよ」
確かにその通りだった。
ティエリアがヴェーダに入り浸っているので、本当はそんなにお手軽なものでは無いことを忘れてしまう。組織の計画の重要な要だというのに。
成る程、と頷いていると内から呆れにも似た響きを持つ声が響いてきた。
『いや……それよりも有意義じゃねーことに使ってね?』
「ハレルヤ、そういうこと言ったらだめだろ?」
『だってこの眼鏡、ヴェーダ使って艦内の監視カメラを全部掌握してんだぜ?必要無いのに、だ。……どうだ?』
「きっと僕らの知らない何かがあるんだよ。大切な何かをやってるとか」
『……何をしてるか知らねぇのはお前だけだ』
もう言わない、という響きを孕んだ言葉に首をかしげていると、オイ、と呼ばれて意識を外界へと引き戻す。
あったのは、やや不機嫌そうな表情の同僚。
どうしたのだろうと、これまた首をかしげながら思う。
「ティエリア?」
「アレルヤ・ハプティズム、俺と話している最中にそのようなチンピラと話す必要はない。とことん無視しろ、俺が許す」
「え……えぇ?」
それはあんまりでは無いだろうか。
などと思いながら、ハレルヤとの会話に意識を持って行かれた自分にも責任はあるのだろうと、アレルヤは反省をした。他の誰かと話していても、ハレルヤが話し出すとそちらへ意識が行くのは悪いクセだ。
だからゴメン、と素直に謝って話題を再開する。
「右回りの理由だっけ」
「あぁ。左回りでは違和感があると言うが、それは右回りに慣れてしまったからこそなのでは無いだろうかと、俺は考える。つまり左回りが始めから使われていれば、もしかすると右回りが異質と考えられていたかもしれない」
「かもねぇ」
けれど結局は右回りが主流なワケで。
うぅんと悩むがこれ、という考えは出てこない。
「ティエリア…スメラギさんか誰かに訊いた方が…」
「生憎だが、あの戦術予報士は泥酔している」
「あぁ……そう」
ならダメだ。
一瞬でそう結論づけて、苦笑を浮かべる。
「やっぱり分からないよ。けど…まぁ、右の方が馴染み深かったのかもね」
「右利きは多いからな。……成る程、そういう理由もあるかもしれないな」
「あくまで仮定だけど、ね」
そのうち調べてみるのも楽しいかも知れない。
などと思いながら、その時はティエリアも誘ってみようかとアレルヤは思った。
本当はどういう理由なのでしょうか……調べたら分かるかな。
あ、監視カメラの情報の掌握は、当然ながらアレルヤの様子を…とね。