お題：橙 13.近道

何かマリアレ見てたらハレアレが見たくなりました。何で…？
色々と考えて末、やっぱりアレルヤにはハレルヤが必要だと思うのですよ。
だって、このままじゃアレルヤ、絶対にオレオレ詐欺に引っかかりますよ…？
それ以前に、アレルヤは頼れるけど頼りないから…ハレルヤは必要ですよ。彼みたいな人が傍にいないと…ね。

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13．近道



　二人は、路地裏にいた。
　手に持つ銃の重さを感じながら、アレルヤは荒く息を吐きながらも、それを整えようと努めた。この後もまた走らなければならないのだ、体力や体調は出来うる限り万全の状態にしておきたい。
　追っ手の気配がないのを確認して、壁にもたれて座り込む。
「はあっ……はぁっ……」
　足が棒のようだ。鉛のように重い。
　体全体が怠く、もう、指の先すら動かないような気がした。
『だらしねぇなァ、アレルヤ』
「……ハレ、ルヤ」
　唐突に響いた片割れの声に、ゆるりと顔を傾ける。
　当然、そこには誰もいないけれど。
『だから言ったろ？ヤツらが気付いてないスキに殺せって』
「けどっ……あの、時は……」
『手ぶらだったってか？だよなァ、素手じゃ無理だよな？』
　普通なら。
　そう、彼は続けた。
『俺らなら違うだろ？ヤツらが勝手に弄くり回したこの体なら、簡単に殺せるはずだったんだぜ？なのに……お前はやんなかったんだよな』
　はぁ、と溜息一つ。
　落ち着かない心臓を押さえ、朦朧とする頭で彼の言葉を聞く。
　確かに、先に相手を発見したのは自分。見つけてすぐに応戦しようとは思わず、逃げようと思ったのも自分。見つかってしまったのも自分。そんな過程を経由して、結果としてこういうことになっているのも、また自分自身。
　自業自得と、人は言うのだろう。
「でも……人をっ…殺、す……のは…」
『悪いことかよ。じゃあ、人の許可もなく脳をグチャグチャと引っかき回すのは悪いことじゃねぇのか？』
「それ、は……」
『悪いことだよな？ほら見ろ。ヤツらも悪いことしてんだよ。俺らがやっちゃならねぇって道理は、どこを探したって一片も見つからねぇよ。正当防衛だ』
　片割れはそう言って、自分に殺人を促す。
　敵を殺せと。
　けれど……アレルヤは、殺したくなかった。
　引き金を引きたくなかった。
『……相変わらず甘いな、お前』
　黙っていると、呆れたような嘆息。
『それなら一つ訊くけどな……何でお前、追っ手から銃を奪ったんだよ』
「……」
　それには、答えられなかった。
　分からなかったのだ。何故、自分は追っ手からソレを奪い取ったのかが。
　ただただ無我夢中で、何をどうしているのかさえ分からない、とにかく彼らの手から逃れなければ……ひたすらにそれを思い、動いた。
　そうして自分は、いつしか銃を片手に走り逃げていた。
『分からねぇのか？…なら一つ、仮説を立ててやるよ』
「……か…せつ…？」
『お前も分かってたって仮説。ヤツらを殺さねぇと逃げられねぇって、分かってたって仮説だ』
「……！」
　それは。
　それは何よりも最初に思い、恐れていた推測。
　殺したくない。争いたくない。それは本当のこと。
　だけれど……もしも心の奥底では、彼らを躊躇いなく殺そうと、そう思っているのなら？思えてしまっているのなら？
　そんなこと、認めたくなかった。
『……まぁ、今回それはいい。今はそれどころじゃねぇし』
「あ……足、音…」
『追っ手さんの登場ってか？…よし、体寄こせ』
「……ハレルヤ！？」
『お前より俺の方が上手くやれる……いいか？』
　その瞬間、目の前に、ニマリと嗤っている金の目の子供がいた気がした。

『逃げるより、殺す方が手っ取り早いんだぜ？』

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ハレルヤはアレルヤを守り続けてたと思います。
手段がどうであったとしても、ずっと。
ずっと、ずっと。長く、ずっと。