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目が覚めたとき、すぐ傍にはシーリン一人だけが横たわっていた。
残りのメンバーを求めて視線を彷徨わせてみれば……少し離れた場所に、親類皇女の姿。そして、それ以外の人影はどこにもなかった。
アレルヤとソーマの姿は、どこにも。
不思議に思いながらも、まずは寝ている二人を起こそうと……とりあえず、傍のシーリンから揺さぶってみることにする。これで起きなかったらマリナの方へと行こう。
「シーリン…シーリン・バフティヤール」
「う……………刹那…?」
「起きたか」
比較的簡単に目を覚ましたシーリンから視線を外し、刹那はマリナの方を見た。一人だけ向こうということはつまり、移動したと考えるのが妥当な線。自分とシーリンが二人、こちらにいたのだから…自分たちが動いたと考えるよりは彼女が動いたと見る方が。元々別……というのは、ちょっとおかしい気がする。
おそらく、自分たちを運んでくれたのは、いなくなった二人のうちのどちらかだから。何の事情もなく、自分たちを別々に置くのは妙だ。絶対に傍に置く。いちいちバラバラに置くときの効率の悪さもさることながら、あの二人の性格ならそうやって置くだろう。
そして、あの二人でなければ……この状況の説明が付かない。こんなことができるのは人間以外の種族のみ。
異端察知の機器に関しては…何とかしたのだろうと、そう言うことしかできないが。
「マリナ、起きろ」
「………ん………あら、刹那……?」
近寄って肩に手を掛けた瞬間にうっすら目を開いた彼女は柔らかに微笑み、自然な様子で再びその瞼を閉じた。
え?と思っていると、彼女の口から小さな声が漏れる。
「あと十分……」
「起きろ、マリナ・イスマイールッ!」
「良いじゃない……政務もないし今日はフリーのハズだし……」
「……」
ダメだった。完全に寝ぼけている。
どうするべきかと悩み、結局、刹那はシーリンに助けを請うことにした。この皇女のことを知り尽くしている侍女どのに。
だが。
「シーリン、マリナを起こせるか……?」
「無理ね。そうなると、自分からでないと起きないわよ」
即答だった。
どうしろというのだろう…と天(井)を仰ぎ見ていると、ふいに、マリナが身じろぎをした。どうやら……起きるようだ。
「…あっけないな……」
「良いじゃない。ラッキーでしょう」
「まぁ、そうだが……」
「二人とも……何を話してるの…?」
目をゴシゴシとこすりながら起き上がるマリナに、何でもないと返す。
それから数秒待って、刹那は、今一番訊きたいことを口にした。
「ところで……アレルヤとソーマはどこだ?」
「アレルヤとソーマ……?」
直ぐに答えがもらえると思っていた問いだったが、しかし、マリナもシーリンも訝しげに眉根を寄せている。まるで……心当たりなど無い、というように。
まさか、と可能性の一つに思い至り、慌ててそれを打ち消した。
「それは誰かしら?」
なのに、返ってきた言葉はその可能性を肯定するもの、だった。