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本編沿いとか言っておきながら、沿っているのは最後の数行ぐらいのモノです。
いや、ほのぼのが書きたかったのですよ…だって、本編は色々と…ですので。
というわけで、イノベイターの話です。
08.サボリ癖
「リジェネ!リジェネ・レジェッタ!」
「……何だい、リボンズ。騒々しいなぁ…」
「騒々しい、じゃなくて…」
はぁ、と溜息を吐いて、リジェネと一緒にトランプをしていたリヴァイヴがついと、とある方向を指でさした。
リジェネはその指の差す方向へと視線をやって……首を傾げる。
「リボンズ、あっちって何があったっけ?」
「……リジェネ、君はイノベイターなのに、選ばれた存在なのに、人間より優れているはずなのに…どうしてそういう簡単なことを忘れるんだい?記憶力は良い方だと思うんだけど……?」
本当は覚えているんじゃないか、わざと忘れているふりをしているのではないか……先ほど叫びながら二人がいる部屋へとやってきたリボンズは、そう思った。というか、本当にそう思わざるをえなかった。
しかし彼の頭の上には紛うことなく疑問符があり、リヴァイヴは諦めろという目をこちらへ向けてくる。
それでも諦めきれず、リボンズはギギギ、と顔をリヴァイヴの方へと向けた。
「……ねぇ、リヴァイヴ、少し訊きたいんだけど」
「何ですか?」
「僕らはイノベイターだね」
「えぇ、間違いなく」
「人間を越えた存在だね」
「それも正しいです」
「なのに……」
一拍おいて、天を仰ぎ見る。
「どうして掃除当番なんて物を忘れるんだろうね……」
「…あぁ、そういえばそんなものもあったなぁ。ごめんねリボンズ、すっかり忘れてたよ」
「……やっぱり」
リヴァイヴの呟きに、リボンズは黙ってリジェネの隣に座る。
それから彼の持っていたトランプの手札を素速く奪い取った。
「あ!リボンズ、何するんだよ!」
「それはこちらのセリフだよ……リジェネ」
「……リボンズ?」
咎めるような声音も、リボンズの声を聞いて一気にすぼんだ。
若干引きつっているリジェネの顔と、こっそりとトランプのカードを持って部屋を出て行くリヴァイヴを視界に収めつつ、リボンズはニコリと笑う。
「いいかいリジェネ、僕らはイノベイターで、人類を導く存在だよ?それがどうして掃除当番なんてものをさぼるんだい?これじゃあ示しが付かないね…?」
「だってリボンズ、掃除なんて機械にやらせればいいじゃないか。僕らがやる必要なんて無いと思うんだけど……なのにどうして?」
状況は、圧倒的にリボンズに有利だった。何故ならリボンズが言っているのはとりあえず正論で、リジェネが言うのは正論であっても…彼は当番をさぼっているのだ。
それでも尚、普通に答えを返すリジェネはある意味凄かった。
だから敬意を表して、理由を教えることにしよう。
「それは簡単なことだよ」
「というと?」
「その方が、綺麗に汚れが取れるからね」
機械だと、どうしても限度という物が来てしまうのだ。
だが人間といったものは違って、ちゃんとした訓練や練習を積めば、確実に機械などより正確に、早く、綺麗に汚れを取ることが出来る。
そう伝えると、リジェネは先ほどよりも顔を引きつらせた。
「えっと……つまり、そういう理由?何でそういう思考に?」
「確か……あぁ、泥が言っていたような…」
「泥ってアレハンドロっていうヤツだっけ……リボンズ、君、そいつに結構な影響を受けているんじゃないの…?ちょっとそれってマズいんじゃ…」
「そうかな?…とにかく、そういうわけだから、君のサボリ癖は直してもらうよ」
「話の前後が繋がってないような気がするんだけど。とにかく僕は嫌だからね」
そう言ってから素速く立ち上がったリジェネは、そのままダッシュでリボンズの隣から逃げ出した。
「待て!」
リボンズも慌てて立ち上がり、後を追う。
二人のかけっこは、リヴァイヴがパーティについて伝えに来るまで続いた。
「リジェネのワガママには手を焼いてるよ……」
そんなリボンズの言葉に、こいつも苦労しているのか……と、ティエリアが思ったとか思ってないとか。
リボンズのセリフはうろ覚えですが…。まぁ、こんな感じでした、よ…ね?
リボンズは絶対に泥様の影響を受けすぎるほど受けていると思います。あの服装がそれを何よりも示してると思うのですよ。