式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『兄の決め方』の前日談。
……前日談、てあまり聞かないなぁ……後日談は聞くけど…
登場……刹那、アレルヤ、ハレルヤ、ティエリア、ビリー
……前日談、てあまり聞かないなぁ……後日談は聞くけど…
登場……刹那、アレルヤ、ハレルヤ、ティエリア、ビリー
昼休みの学校の屋上。
そこで、アレルヤは困っていた。それはもう、とてつもなく。
「…………」
「…………」
「…………えっと…」
この沈黙というかにらみ合いというかを、いったいどうしたらいいのだろうか?
黙ったまま互いに視線を外さない双子の兄と後輩に挟まれ、アレルヤは嘆息した。
どうしてこんなことになったのだったか……あぁ、思い出した。
まず、アレルヤとハレルヤがここに来たのだ。屋上の鍵は教員と生徒会に所属している生徒しかもっていないから、昼食を食べるのには最適なのである。
職権乱用と言われるかも知れないが、こういう特権でもないとこの学園の生徒会はやっていけない。普通の生徒会以上に大変なのだ。やらなくてもいい仕事をオーナーに押しつけられたり、唐突な理事長の思いつきに付き合ったり。はたまた、各部活の助っ人にまで行ったり。多忙、という言葉では言い表せない。
とまあ、それは置いておいて。
二人で並んでフェンスにもたれかかり、のんびりと寮でもらった弁当を食べていたら、刹那が現れたのだ。
別に、おかしいはなしではない。彼も生徒会の役員だ。
彼はいつものように無言で、自然な動きでアレルヤの隣に座った。
そこまでは良かったのかもしれない。口ではなんと言っていても、ハレルヤは刹那を嫌ってはいないようだったから。
この後、アレルヤが刹那と話し始めて……そこから雲行きが怪しくなった。
どうなったのかというと…ハレルヤが刹那に突っかかって、刹那が応戦をして。
それが何度か続いて結局、今のような状況になった。
どうしてハレルヤは刹那に噛みついたのだろう、というのは少し考えてすぐ分かった。アレルヤが刹那に構い過ぎたからだ。だから、ハレルヤが不機嫌になった。
そこは、アレルヤにも反省するところはあるだろう。
だが、どうしてこうなっているのか、というのは分からない。いつもなら殴り合うなりけり合うなり、言い合いをするなりであっさりとかたがつくはずなのだが。いろいろな要素が折り重なった結果としか言えないのがまた、なんとも言えず…。
アレルヤはドアの方を見た。
屋上の、たった一つのドア。
今はあそこから誰かが入ってきて、この状況をなんとかしてくれることを祈るだけ。
ロックオンとかヨハンさんとか……この際スメラギさんでもいいから、とにかく大人な人、誰か…。
そう願うのだが、果たして叶うかどうか。
と、その時ドアが開いた。
そこから出てきたのは、三年生の先輩の一人。
「……?どういう状況だ、これは?」
ティエリアだった。
安堵する。彼なら何とかしてくれる…と思う。
少し心配なのは、彼が仲間入りしてしまわないかということ。
まさか、と思う一方で…有り得そうで怖い。
「ティエリア、あのね…」
寄ってきたティエリアに、簡単に経緯を話す。
その間もにらみ合っている二人を、ちょっとどころでなく不安に思いながら。
「なるほどな……。ハレルヤ、刹那。君たちにも訊く。どうしてこうなったんだ?」
「ハレルヤが突っかかってきた」
「チビが生意気だった」
二人の答えは何というか……二人らしいというか。
ハレルヤは気に入らないことがあったらそれを徹底的に叩き潰そうとするし、刹那もケンカを売られたら徹底抗戦をする。そういう性格が良く表れている回答だと言える……のだろうか?
「ならば、殴り合うなり蹴り合うなり言い合うなり、好きにすればいいだろう。こんなギスギスとした空気を作るな。迷惑だ」
「ティ………ティエリア!?」
何てことを言い出すのだろう。
そんなことを言ったら、この雰囲気では……。
「そうか。それなら心おきなくやらせてもらう」
「こっからちょっと離れるぞ、チビ」
「分かっている。アレルヤを巻き込むわけにはいかないからな」
案の定、二人はこう言って立ち上がってしまった。
それからアレルヤたちから数十歩離れた所で、本当に殴り合いを始めた。
「ど、どうしよう……」
「放っておけ。そのうち決着がつくだろう」
「それはそうですけど…」
二回目のため息を吐いて、だけれどこれで良かったのかも知れないと考える。
こういうケンカのほうが、後腐れがない気がしたのだ。
「でも……どうして二人とも、始めからこうしなかったんでしょうか」
「そういうキッカケが無かったんじゃないか?どうせ、あんな状態になったのに深い理由は無いだろう」
「言われてみると成り行きで、って感じでしたね、そういえば……」
「それとアレルヤ」
「何です?」
二人の戦っている姿を眺めながら聞き返す。
止めようなどとは、もう思っていなかった。
やっぱり、この方がいい。
こういう戦い方の方が二人らしい。
さっきみたいなのではなくて。
「いい加減、普通に話せ。丁寧語はいらない」
「ダメですってば。ティエリアは先輩ですから」
というところで、再びドアが開いた。
そこにいたのは……カタギリ先生!?
「え、どうしてここに!?」
「……チッ、ばれたか」
ってティエリア!?
もしかして先生、貴方を追って来たんですか!?
「ティエリア、いったい何を……?」
「彼はスメラギ・李・ノリエガに使われているんだ」
その答えだけで、何か分かった気がする。
多分、彼はいつもの理事長の思いつきに巻き込まれかけて、それで逃げてきたのだろう。
そして、彼女は自分が追いかけるのは面倒だから、とカタギリ先生を使って……。
その時の光景がありありと浮かんでくる。
……と、それはともかく。
「見られましたよね……?」
「あぁ。ばっちりと見ただろうな」
二人の戦っている姿を見られた。それが問題だ。
案の定カタギリは驚いて、それから『教師』の顔になった。
絶対にあの二人は説教されてしまう。校内でケンカをしたのだから、当然と言えば当然のことだが。
そして、止めなかったアレルヤとティエリアも怒られてしまうのだろう。
仕方ない、と思う。
だから、あきらめにも似た気持ちでいたのだが……。
「あのぅ……カタギリ先生」
聞き慣れた声の、聞き慣れない響きを耳にし、驚愕する。
思わずそれを発している人物の方に顔を向けた。
「その……僕たち、ちょっと劇の練習をしていて……」
そこには……あの、刹那が。
あの刹那が、それはもう『大人しいです。人畜無害です。虫一匹殺せません』という様子でそこにいたのだ。
目を見張る。
まさか、刹那があんな風に喋れるとは……。
「そうなのかい?」
「はい、そうなんです。生徒会のことで、ちょとあって……」
カタギリは早くもだまされかけている。
……アレルヤもさっきまでの本気の蹴り、殴り等々を見ていなかったら。そして刹那と親しくなくて交流がなかったら、きっとだまされていたことだろう。
「そうか……なら、邪魔してすまなかったね。ティエリア君、君は来てもらうよ」
「……仕方がないな。アレルヤ、また後で」
「あ、はい」
そうして、カタギリとティエリアはいなくなってしまった。
残ったのは、最初の三人。
「邪魔者はいなくなったな。続きをやるぞ。……?どうかしたのか?」
「いや……わりぃ、決着は今度な。何かもう、毒気抜けたっつーか……」
「刹那……………凄い演技力だね」
何事もなかったかのようにいつも通りに戻った刹那に、アレルヤとハレルヤは唖然としているしかなかった。
本編と同じく、ビリーに引っかかってもらいました。
誰にしようか、ちょっと悩んだんだけどね……彼が一番適任な気が。
そこで、アレルヤは困っていた。それはもう、とてつもなく。
「…………」
「…………」
「…………えっと…」
この沈黙というかにらみ合いというかを、いったいどうしたらいいのだろうか?
黙ったまま互いに視線を外さない双子の兄と後輩に挟まれ、アレルヤは嘆息した。
どうしてこんなことになったのだったか……あぁ、思い出した。
まず、アレルヤとハレルヤがここに来たのだ。屋上の鍵は教員と生徒会に所属している生徒しかもっていないから、昼食を食べるのには最適なのである。
職権乱用と言われるかも知れないが、こういう特権でもないとこの学園の生徒会はやっていけない。普通の生徒会以上に大変なのだ。やらなくてもいい仕事をオーナーに押しつけられたり、唐突な理事長の思いつきに付き合ったり。はたまた、各部活の助っ人にまで行ったり。多忙、という言葉では言い表せない。
とまあ、それは置いておいて。
二人で並んでフェンスにもたれかかり、のんびりと寮でもらった弁当を食べていたら、刹那が現れたのだ。
別に、おかしいはなしではない。彼も生徒会の役員だ。
彼はいつものように無言で、自然な動きでアレルヤの隣に座った。
そこまでは良かったのかもしれない。口ではなんと言っていても、ハレルヤは刹那を嫌ってはいないようだったから。
この後、アレルヤが刹那と話し始めて……そこから雲行きが怪しくなった。
どうなったのかというと…ハレルヤが刹那に突っかかって、刹那が応戦をして。
それが何度か続いて結局、今のような状況になった。
どうしてハレルヤは刹那に噛みついたのだろう、というのは少し考えてすぐ分かった。アレルヤが刹那に構い過ぎたからだ。だから、ハレルヤが不機嫌になった。
そこは、アレルヤにも反省するところはあるだろう。
だが、どうしてこうなっているのか、というのは分からない。いつもなら殴り合うなりけり合うなり、言い合いをするなりであっさりとかたがつくはずなのだが。いろいろな要素が折り重なった結果としか言えないのがまた、なんとも言えず…。
アレルヤはドアの方を見た。
屋上の、たった一つのドア。
今はあそこから誰かが入ってきて、この状況をなんとかしてくれることを祈るだけ。
ロックオンとかヨハンさんとか……この際スメラギさんでもいいから、とにかく大人な人、誰か…。
そう願うのだが、果たして叶うかどうか。
と、その時ドアが開いた。
そこから出てきたのは、三年生の先輩の一人。
「……?どういう状況だ、これは?」
ティエリアだった。
安堵する。彼なら何とかしてくれる…と思う。
少し心配なのは、彼が仲間入りしてしまわないかということ。
まさか、と思う一方で…有り得そうで怖い。
「ティエリア、あのね…」
寄ってきたティエリアに、簡単に経緯を話す。
その間もにらみ合っている二人を、ちょっとどころでなく不安に思いながら。
「なるほどな……。ハレルヤ、刹那。君たちにも訊く。どうしてこうなったんだ?」
「ハレルヤが突っかかってきた」
「チビが生意気だった」
二人の答えは何というか……二人らしいというか。
ハレルヤは気に入らないことがあったらそれを徹底的に叩き潰そうとするし、刹那もケンカを売られたら徹底抗戦をする。そういう性格が良く表れている回答だと言える……のだろうか?
「ならば、殴り合うなり蹴り合うなり言い合うなり、好きにすればいいだろう。こんなギスギスとした空気を作るな。迷惑だ」
「ティ………ティエリア!?」
何てことを言い出すのだろう。
そんなことを言ったら、この雰囲気では……。
「そうか。それなら心おきなくやらせてもらう」
「こっからちょっと離れるぞ、チビ」
「分かっている。アレルヤを巻き込むわけにはいかないからな」
案の定、二人はこう言って立ち上がってしまった。
それからアレルヤたちから数十歩離れた所で、本当に殴り合いを始めた。
「ど、どうしよう……」
「放っておけ。そのうち決着がつくだろう」
「それはそうですけど…」
二回目のため息を吐いて、だけれどこれで良かったのかも知れないと考える。
こういうケンカのほうが、後腐れがない気がしたのだ。
「でも……どうして二人とも、始めからこうしなかったんでしょうか」
「そういうキッカケが無かったんじゃないか?どうせ、あんな状態になったのに深い理由は無いだろう」
「言われてみると成り行きで、って感じでしたね、そういえば……」
「それとアレルヤ」
「何です?」
二人の戦っている姿を眺めながら聞き返す。
止めようなどとは、もう思っていなかった。
やっぱり、この方がいい。
こういう戦い方の方が二人らしい。
さっきみたいなのではなくて。
「いい加減、普通に話せ。丁寧語はいらない」
「ダメですってば。ティエリアは先輩ですから」
というところで、再びドアが開いた。
そこにいたのは……カタギリ先生!?
「え、どうしてここに!?」
「……チッ、ばれたか」
ってティエリア!?
もしかして先生、貴方を追って来たんですか!?
「ティエリア、いったい何を……?」
「彼はスメラギ・李・ノリエガに使われているんだ」
その答えだけで、何か分かった気がする。
多分、彼はいつもの理事長の思いつきに巻き込まれかけて、それで逃げてきたのだろう。
そして、彼女は自分が追いかけるのは面倒だから、とカタギリ先生を使って……。
その時の光景がありありと浮かんでくる。
……と、それはともかく。
「見られましたよね……?」
「あぁ。ばっちりと見ただろうな」
二人の戦っている姿を見られた。それが問題だ。
案の定カタギリは驚いて、それから『教師』の顔になった。
絶対にあの二人は説教されてしまう。校内でケンカをしたのだから、当然と言えば当然のことだが。
そして、止めなかったアレルヤとティエリアも怒られてしまうのだろう。
仕方ない、と思う。
だから、あきらめにも似た気持ちでいたのだが……。
「あのぅ……カタギリ先生」
聞き慣れた声の、聞き慣れない響きを耳にし、驚愕する。
思わずそれを発している人物の方に顔を向けた。
「その……僕たち、ちょっと劇の練習をしていて……」
そこには……あの、刹那が。
あの刹那が、それはもう『大人しいです。人畜無害です。虫一匹殺せません』という様子でそこにいたのだ。
目を見張る。
まさか、刹那があんな風に喋れるとは……。
「そうなのかい?」
「はい、そうなんです。生徒会のことで、ちょとあって……」
カタギリは早くもだまされかけている。
……アレルヤもさっきまでの本気の蹴り、殴り等々を見ていなかったら。そして刹那と親しくなくて交流がなかったら、きっとだまされていたことだろう。
「そうか……なら、邪魔してすまなかったね。ティエリア君、君は来てもらうよ」
「……仕方がないな。アレルヤ、また後で」
「あ、はい」
そうして、カタギリとティエリアはいなくなってしまった。
残ったのは、最初の三人。
「邪魔者はいなくなったな。続きをやるぞ。……?どうかしたのか?」
「いや……わりぃ、決着は今度な。何かもう、毒気抜けたっつーか……」
「刹那……………凄い演技力だね」
何事もなかったかのようにいつも通りに戻った刹那に、アレルヤとハレルヤは唖然としているしかなかった。
本編と同じく、ビリーに引っかかってもらいました。
誰にしようか、ちょっと悩んだんだけどね……彼が一番適任な気が。
PR
この記事にコメントする