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「……あ!」
「キュリオス、どうかしたのか?」
「えっとね、エクシア……ハロたち、置いて来ちゃったよね…」
「……あぁ、そういえば」
「え?みんなハロと知り合いになったの?」

 失敗したという顔の後から来た人形三体、キョトンとした表情のアレルヤ、何でこの現状でそんなことが今出てくるんだと呆れた様子で溜息を吐くハレルヤとソーマ、相打ちで互いに気絶しているケルディムとデュナメスを見て、ライルは首を傾げた。

「……ハロって何」
「ハロはハロだ。それ以外に何と形容させる気だ?」
「取りに帰るのなら、私が裂け目を作りましょう。行きますか?」
「頼む。置いていくと帰ったときが怖い」

 ヴァーチェとソーマのやり取りから、とりあえず『ハロ』が物であることは分かった。『取りに』というのだから、少なくとも人間などでは無いだろう。

 とにもかくにも、ソーマ、ヴァーチェ、エクシア、キュリオスの四名がそのハロとやらを迎えに行くことになった……のだが。
 ライルは何となく……物申したい気分になった。
 というのも。

「何で四人で?ソーマとヴァーチェだけでいいんじゃね?」
「あぅ……その、その……」
「何となくだ。それ以外に理由はない」
「……さいですか」

 慌て過ぎのキュリオスの様子を見ればそれは無いと、どんな種族でも分かるような気がするが……それを素速くフォローしたエクシアに免じて、今回は追求をしないでやることにする。物申したい、といっても朧気ながら……彼らが二人に付いていく、つまりこの場から離れようとする理由は見当が付いている事もある。

 だから、と四人を黙って見送って、三人きり(気絶している二名はカウントから除く)になった所で……アレルヤが額を抑えつつも苦笑を浮かべた。

「気をつかわせたのかな……」
「どっちかってーと、雰囲気に耐えられなくて逃げたんじゃないのか?」
「ライルに賛成だぜ。いくら俺らが隠そうとしたって、隠れるようなモンじゃねぇだろ……こういう、雰囲気ってのはよ」
「だよねぇ…」
「微妙にギスギスしてるのって、確かに察知しやすいよな……ところで」

 そう前置きをして、ライルは本格的に頭を押さえ始めたアレルヤを見た。
 どうやら頭が痛いらしいが……何だか、辛さが半端無いように見える。

「頭痛そうだけど…大丈夫なのか?」
「うん……寝といたら治る…よ……」

 呟くようにか細い返事が返り、これはマズイのではないかというとき、事は起こった。
 自分とハレルヤが見ている前で、アレルヤは……口に両手を当てて咳き込み始めたのだ。
 慌てたのはライルも、ハレルヤも同様だった。

「お前っ……大丈夫とかじゃないだろ!?」
「寝とけ!ほら、膝かしてやっから!」
「そんな大げさ……げほっ…」

 ピチャ、という音がした気がした。
 思わず彼の口元に当てられた手を見てみれば……指の隙間から見える、赤い液体。
 何なのか、考えるまでもなく明白だった。

「アレルヤ…お前……」
「ライル……大丈夫だから気にし…げほっ…」
「アレルヤ、黙って寝てろ!」

 ハレルヤに強制的に横にさせられるアレルヤを呆然と見て、一つ分かったことがあった。
 たとえ『あの事』があって、自分たちの関係が変化しても。
 自分にはこの……とても弱い、唯一の友人を利用することは出来そうにない、と。

 

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