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何気にミレイナ出現率がやや高めな気がする…の?
超兵ですけどね。マリアレですけどね。
ていうかマリ→アレだよね。ていうか他の組み合わせも大概そうだよね…。
03.ハーモニカ
「こんなモノをもらったですぅ!」
そう言って、ミレイナが差し出した物にマリーは首を傾げた。
長方形の形の、金属製の、息を吹き込む穴がたくさんある楽器。
それはハーモニカだった。
……のは良いが。
「何でハーモニカ?」
「ハプティズムさん、そこはつっこんじゃいけないところですぅ!」
「え……マリー、そうなの?」
「私に訊かれても…」
とりあえず、彼の困惑ぶりはよくよく理解できる事ではあるのだけど。
曖昧に笑みを浮かべて、マリーはそれからミレイナの手からハーモニカを取った。差し出されていたし、手に取ってみても問題はないだろう。
両手に乗ったソレは、少しだけ重かった。玩具でなくて本格的な物であるらしく、重みが何だか市販品と違うような。いや、あまりハーモニカなんて楽器に触れたことはないから良くは分からないのだけれども。
ともかく、そんなソレはマリーの手の上にあって。
ちなみに付け加えると、ミレイナがとってもキラキラした目でこちらを見ていて。
これは……つまり。
「吹いてみてってことですか?」
「はいです!是非是非、演奏して欲しいです!」
元気よく頷く彼女に、マリーはとある事を不思議に思って尋ねてみることにした。
「貴方が吹けばいいんじゃないでしょうか…?」
「それが……」
とたんにシュンとなって、ミレイナは呟く。
「ミレイナじゃ上手に出来ないですぅ……」
どうやら、綺麗に演奏できなかったらしい。
しょんぼりしている彼女の頭を撫でてから、そんなに難しいんだろうかと改めて手の中の楽器を見る。息を吹き入れた事なんて一度もないので、これがどれほどの物かも分からない。となれば……ものは試し、である。
マリーは静かにハーモニカに口を寄せ、息を吹き入れた。
そして……音は響いたが、続きが分からない。
これでどうやって演奏するんだろうと思いながらハンカチで吹き口を拭いて、はい、とミレイナに返す。彼女の状況もどうやらマリーと似たような物だったらしく、うむぅと唸ってハーモニカを見ている。
クスリと笑ってそんな彼女を見ていて……ふと、アレルヤに拭いてもらいたいと思った。
「ねぇ、アレルヤ」
「…?どうかした?」
「貴方、ハーモニカって吹けるの?」
「ん……微妙かな…」
微妙、ということは多少は出来ると言うことで。
とたんに表情を明るくしたミレイナがアレルヤにハーモニカを、押し付けるように差し出した。
「じゃあ、ハプティズムさん頑張るですぅ!」
「…あまり期待しないでね?」
困ったように笑って、それからアレルヤが奏でたのは……れっきとした曲。
あれでこんな音の羅列を作り出せるのかと驚きながら、僅かに悔しい思いを抱いて聴いていると、あっと言う間に曲は終わってしまって。
ふぅ、とアレルヤは息を吐いた。
「こんなところで、どうかな?」
「大丈夫ですぅ!バッチグーですぅ!」
「でも、本当にまだまだなんだよ?」
笑ったままに、アレルヤは続けた。
「だってハレルヤはもっと上手だったもの」
その言葉に、マリーは少しだけハッとした。
ハレルヤ。今はいない、自分が殺してしまったもう一人の彼。
自然とその名前が出て来たことに、マリーは改めてアレルヤにとってのハレルヤの大きさを感じた。彼にとって、やはり片割れという存在は……何よりも近しく、何よりも大きなものだったのだろう。
そんな彼を奪った自分を、果たして彼は完全に許してくれているのだろうか?
安心して、と彼は笑う。気にしてないからと。
けれどもそれは違い、彼でも気付いていない本心があるとすれば。
微かに、恐怖がにじんだ。
彼に拒絶されるなんて、それは絶対に嫌だった。
この場合、マリーはアレルヤも色々と奪ってることには思考が行ってません。
とにかく恐怖。それが一番。
…こういうことだって、たまにはあると思うよ。