[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
早くハレルヤ出てこないかなぁ…また会いたいのですよ…。
ダブルオーがトランザムしたら、また出て来ますかね?
15.冷蔵庫の中
カチャ。
音を立ててとある白い、機械の扉を開く。
そうして、開いた扉の向こう側の光景に……ハレルヤは固まった。
固まって……状況説明を得るべく、何でか知らないが、自分がこうやって活動しているのにずっと黙っている片割れに声を掛ける。
「……オイ」
『ふぁあ……おはようハレルヤ』
「……はようじゃねぇよ。今はもう昼過ぎ」
『え……そうなの…?…気付かなかったよ』
「…大人しいと思ったら珍しく寝過ごしてたんだなお前……じゃなくて、だ」
ハレルヤは扉の中……つまり冷蔵庫の中を指さして、叫んだ。
「何でこんなにギッシリ詰まってんだ!?しかも全部菓子系じゃねえか!?」
『え……と、ダメかな?』
「ダメとかそういう問題じゃねぇよ!」
二十過ぎなのだし、酒の缶が入っていたとしてもおかしくはない。他にもまぁ、夜食があっても妙ではない。菓子だって少しくらいならあっても問題なんて無いのだ。
が、問題は量である。
いったい何時の間に、とハレルヤは溜息を吐いた。
ところせましと、もう押し入れられたと言われても疑問に思わず、というかそうでないと言われたら逆に信じられない……それくらいに冷蔵庫の中に詰め込まれた菓子。
これを見て唖然としない人間はいないだろう。
「……お前、これ、一人で全部買ってきたのかよ」
『うん。美味しそうだったし』
「限度って知ってるか?」
『え?知ってるけど…どうかしたの?』
その返事にダメだと悟る。彼は現状に対して何の疑問も抱いていない。
仮に冷蔵庫の中身を全て消費できたとしても……放っておいたら再びこんなことが起こるのだろう。ありがたくないことに。
それはともかく、である。一番の問題は、どうやってこれを全て消費するか、だ。
一人で一度に全部食べるのには無理があるだろう。少しずつ、一日何個と決めていくのが最もベストなように思える。他のクルーに助っ人を頼むという手もあるが……それは本当に最終手段だ。量がどうであれ、これはアレルヤが買ってきた物。それを他の誰かの手に渡すのは気に入らない。
「てかな…」
消費計画を立てるべく、さっそく賞味期限を調べ始めながらハレルヤは、再び睡魔に負けかけていたアレルヤに問いかけた。
「何でこんなに買ってんだ」
『ふ……ぁ…?』
「…寝んなよ?」
ほとんど夢の国の住人になっている片割れに呆れつつ、せめて質問に答えてから眠れと伝える。最近、立て続けにミッションがあったので疲れていたのは分かるが、そのための休息よりも先に現状の説明が欲しかった。
『えとね……ぇ……』
そこが分かったわけでは無いだろうが……寝ぼけながらも、アレルヤはゆっくりと説明を始めた。多分、自分では何を言っているかも理解できていないだろうが。
『試食とか……たくさんして』
「おう。それで?」
『美味しくって…』
「で?」
『ハレルヤも…食べてくれたらなぁって……』
「……は?」
どうして突然自分の名前が出てくるのかが理解できず、思わずハレルヤは問い返した。
するとアレルヤは再び、繰り返す。
『だからぁ……食べて欲しかったんだよ………』
「…てか試食なんて俺、知らねぇけど」
『君、いつも寝てるんだもん……とーぜんだよ……………くぅ…』
ついに睡魔に負けたらしいアレルヤの寝息が、内側から聞こえてくる。
が、それよりもハレルヤはアレルヤの言葉に、額に手を当てて息を吐いていた。
つまりあれか。自分が眠ってばかりで彼が美味しいと思った物を食べてやれなかったから、だから買って置いておいたというわけなのか。食べて欲しいから。
彼らしい気遣いではあるが。
「んなこと言われたら……」
ちらりと、菓子の山を見る。
「……これ、今すぐ全部食ってやらねぇとって思うじゃねぇかよ…」
この後ハレルヤは菓子を完食します。