mission 『F』 4

これも久しいというか、何と言うか。
ちゃんと色々と終わらせられるか心配になってきました…よ？

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　後一人ほど捜し出して手当てしないといけないヤツが居るから、と。
　二人を残して救急箱を片手に去っていった仲間の一人を思いながら、サンドロックは今この状況のあり得無さを噛み締めていた。
　…ウイングと二人きり、という現状を。
　正直、出会ってから必要事項以外は話したことのない相手であり、一体何を話したらいいのだろうと困惑する気持ちがある。けれど、何でも良いからとにかく話してみたい、という願望があるのもまた、事実。
　現状を作り出したキッカケであるデスサイズ……いや、消えた救急箱を取っていった誰かに感謝の念を贈りつつ、何から切り出せば良いのだろうと考え込む。相手が相手なので、話題選びは慎重にいくべきだろう。もしも興味を引かなかったら……一刀両断だ。
　どうしようと考えている間に、ポツンと、ウイングの方が話し出した。
「サンドロック……デスサイズと、仲良くしてやってくれ」
「あ……うん、元からそのつもりだけど」
　どうかしたの？と問えば、いや…という曖昧な返事。
　訝しく思ったが、それでも辛抱強く次の言葉を待っていると、何かを決意したかのような表情で、ウイングは言った。
「アイツは、死神だ」
「え……？」
「本人から……と思ったが、アイツはあまり言いたがらない気もするからな……オレから、先に言っておく」
「ちょっ……ちょっと待って…」
　突然の言葉に驚きながら、じっくりと、彼の言葉を理解するべく努める。
「それは…冗談じゃ、ないよね？」
「本当だ」
　だからこそ親しくなったのだと、ウイングは語る。
　彼は死神。死者がいれば分かるし、死にかけている誰かがいても分かる。故に、自爆のしすぎでかなり酷い状態にあったウイングとも知り合うことになり、自爆を止めないウイングとはなし崩しに親しくなったらしい。
　……にしても、なし崩し。
「つまり、あれかなぁ……彼と仲良くなるには、なし崩しでどうにかって事かなぁ…」
「本来注目すべき箇所とは違う気がするが……概ね正しいかもしれないな」
「注目すべき箇所って『死神』って所でしょう？分かってるよ。それから、ボクは気にしないかな、そういうのって」
「ほう？」
　興味深げに視線を向けるウイング。
　それに答えるように、サンドロックは言葉を続けた。
「それって外面とか、そういう類の物だからさ、中身とは全然違うと思うんだよね。だから、あまり気にしない方向で行くべきだと思う」
「……同意見だな。だが、本人からすればそうではないらしい」
　そう言って、彼は溜息を吐いた。
「死神だからどうのこうのと、周りから距離を取ろうとしているのが、親しくなると実に良く分かる。本心では仲良くしたいと思っているのが見え見えだからな……じれったいことこの上ない」
「あはは……」
　それはその通りかもしれないが……やはり、本人からすれば色々と思うところはあるのだろうし……だが、それでもウイングの方が正しいのかも知れない。
　結局は分からない、ということなのだけど。
「…そういえば、ナタクはどこだろうね…？」
「どうせ、どこかで修行でもしているんだろう。死にかけてなければ良いがな」
「……どんな修行？」
　思わず聞き返したが、答えはあまり欲しくなかった。
　何か怖い。
　だって『あの』ナタクの修行だし。
　…そこは分かってくれたらしい。そういえば、とウイングは話題の転換をしてくれた。
「救急箱がどうのこうのと言っていたが……」
「あぁ、あれのこと？」
　ウイングは知らなかったんだと思い出して、サンドロックはクスリと笑った。
「いつも使ってた救急箱が無かったらしくて、トールギスⅢの所に知らないかって彼が訊きに来てね。それで、丁度そこにいたボクが救急箱を用意して、」
「……用意？」
「マグアナック隊のヒトに持ってきてもらったんだ」
「そうか…」
「まぁ、そういう成り行きで」
　言いながら、改めて思う。
　救急箱を取っていった誰か……本当に、ありがとう、と。

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もう少しでmission　『F』も終わりです。が…終わるのかな…？あと『少し』で…。
全ては更新状況次第だけど…。