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彼女も一応、未だにCBのメンバーってことで良いんでしょうかね。
あそこ辺りが、ちょっと分からないですね…。
13.横断歩道の前
そこが境界線なのだと分かった。
何の境界線かと言われても、あまりよくは説明できないけれど。
あちら側と、こちら側。
二つを明確に分ける物だと知っていた。
境界線……それも、少し違うかも知れないと、思う。
これは、そう。これは横断歩道のようなものだ。
一歩踏み出せば、そこは別の場所へ向かう道。そこからどこへ行こうと自由で、代わりにそれには多大な危険が孕む。青信号の時でも、注意しなければ飛び出して来た車に撥ねられて死んでしまうように。
さて、どうするべきだろう?
一歩踏み出してしまうべきだろうか?
正直に言うと、もう、こちら側にいるのは嫌だ。こちら側に仇がいるのなら、自分はどうしたってこちら側に居ることは出来ない。何せ仇、なのだ。大切で大事で必要で愛していてかけがえなくて頼りにしていて優しくて、傍にいるのが当たり前だった兄たちを殺した仇、なのだから。
今でも、目を瞑れば思い出せる。冷静沈着で、自分のすることを注意することがあっても、結局は大概のことを聞き入れてくれた長兄の、呆れたような顔。自分のことを何よりも誰よりも大切だと言って、いつも笑いかけてくれた次男の表情。
そして、冷たくなって大地に横たわる死体。
爆発に巻き込まれて死体さえも無くなってしまった存在。
あっと言う間に、大事な物を奪っていった、仇。
許せと言われても許せるわけがない。
なんて憎たらしいのだろう。四年前、死んでしまえば良かったのに、何でアイツは生きているのか。そして、どうして自分はアイツと繋がっているヤツと手を組んでいる女の下に付いているのだろう。アイツの仲間の仲間なら、あの女だって敵。
そう思った瞬間に手は動き、とあるデータがプトレマイオスⅡに送られる。
メメントモリの詳細。これさえあれば、あとは彼らでどうにかするだろう。
失敗なんて許さない。あれはヤツらが作りだした物で、あの女も開発に携わっている。そんなものをこの世に残しておくこと自体、許せることではなかった。
嗚呼。嗚呼、嗚呼!
けれど何と言うことだろう。
衝動的に、一歩、足を踏み出してしまった。
踏み出せばもう、戻る事なんて出来ない。
元より、戻ることも考えていなかったけれど。
腹を括るつもりはない。
もう、括っていたから。
結局、何と言うところはない。アイツを見つけてからくすぶっていた物が、今、ついに解放された。それだけなのだ。それ以上でもそれ以下でもなく、事実を知った自分が起こすに決まっていた行動を、ついこの瞬間に実行しただけなのだ。
どうせ、今しなくても後にしたような、そんな行動なのだ、これは。
なら、今からやっても問題なんて無い。
勝手に口元が笑みを形作っていくことを感じる。
爽快。これで少しでも、アイツらに痛手を負わせる事が出来る。
もう、境界線は越えた。横断歩道に一歩を踏み出した。
信号が赤か、青かさえも確認しないままに。
一歩、アイツらに思い知らせるために、踏み出した。
ということで、ネーナの話。
彼女も大変だろうなぁと。