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何気にイノベイターが好きです。行っている行動はさておいて、性格というかキャラが。
ヒリングって姉御みたいな感じだよなとか色々思ったり何だりしてます。
あと、ブリングには割烹着が似合う気がす…何でもないです。
03.過剰サービス
目の前にでん、と置かれた料理の山に目眩を起こすのは、きっと自分だけではない。リボンズはそう確信した。これは大人数で食べるのに丁度良い量であり、決して一人で食べるのに適切な量ではない。
思わず顔を引きつらせていると、背後から心配そうな声が聞こえてきた。
「人間の書いたという料理の本が面白くて、ついつい作りすぎてしまったんですが……いけませんでしたか?」
「いや……いけないとか、そういう問題じゃなくてね……これを、僕一人で食べきってと言うお願いが無茶なんじゃないかと思うんだけど……」
そう、そうなのだ。
間違って……あるいは意図的に多く作られてしまったこの料理たち、最初はリボンズだって誰かの手を借りて一緒に消費しようと思っていた。先の通り、この量は一人で消費するのには適切ではない。
だが、それはとある一人のイノベイターの手によって防がれてしまった。
言わずもがな、リヴァイヴ・リバイバルである。
料理を作りすぎたという彼は、それはそれは不安そうな顔でこちらを見ていた。
「ですが……これはリボンズに食べてもらおうと思って作った品です。他の誰かに食べられるのは遠慮したいのですが……どうしても、というのなら……諦めます」
嘘だと思った。でないと、その『諦めます』に込められている無念さが説明できない。
何を言っても彼の思いは帰ることが出来ないのだろう。そう悟り、リボンズははぁ、と溜息を吐いてフォークに手を伸ばした。
「…残っても文句は言わないでくれるかな」
「えぇ!大丈夫です!食べてもらえる、それだけで僕は…」
「リボンズー、暇なんだけどかまってくれないー?」
「うわぁ…何この量。リボンズ、まさかこれ全部食べるのかい?」
いざ死地へ、と意気込んだところで新しい登場人物が現れた。
「リジェネ…ヒリング……僕のセリフを切るなんて…ッ」
親の敵でも見るような目で彼らを見るリヴァイヴから視線を外し、リボンズは料理の山を呆然と、驚愕と共に眺めている二人を視界に収めた。
こうなったらもう、二人の突然の登場は神の思し召しと取るべきなのだろうか。どうしてもと言って、二人を料理消費のためにこちらへ引き込むべきなのだろうか。……多分、そうするべきだろう。そうでなかったとしても、そうであることにする。でないとリボンズ自身の安全が危うい。
少し固い笑みを浮かべて、リボンズは二人に尋ねた。
「二人とも、暇なら料理の消費を手伝っ…」
「嫌だ」
「嫌よ」
「ダメです」
「……」
返ってきたのは三つの拒否の言葉。
ついつい押し黙ると、ここぞとばかりに三人は口を一斉に開いた。
「リボンズ、僕らは暇だからと言ってこの場に止められたくはないんだよ」
「そうよ。だってこんなに食べたら太るでしょ?私、それは嫌だから」
「それにリボンズ、僕は貴方に食べて欲しいんです。彼らでなく貴方に、です」
「だからね」
「そういうことだから」
「ですから」
『まぁ頑張って(ください)』
最後は綺麗にハモり、さぁ!と笑顔で促してくる三人。
万事休すとはこの事だろうか……リヴァイヴの手によって皿に取り分けられていく料理を見ながら、思う。というか、彼らはこの量が自分の腹の中にスッポリと収まると、本気で思っているのだろうか……?いくらイノベイターといえど、それは無理だ。もしも無理に実行でもすれば多分色々と問題が出る。食べ過ぎで行動不能…なんて嫌な結果だろう。
しかし、逃げ場がないことも事実で。
再度覚悟を決めて、リボンズはフォークを持ち上げた。
「…何をしている」
が、救いの手というのは存在するもので。
呆れ顔でやって来たブリングはザッと料理を見渡して、小さく息を吐いて口を開いた。
「…全員で食べろ」
「えー?でもせっかく面白…もとい良い感じになってきたのに?」
「私は嫌よ。太ったイノベイターなんてシャレにもならないわ」
「ブリング、これはリボンズに食べてもらうためのもの。他のヒトに食べてもらうのは…」
「…リボンズが倒れるぞ?」
静かで低いその一言には、かなりの効き目があったらしい。
グッと言葉に詰まった三人は数秒後、肩を落として席に着き、料理を取りだした。
その様子をホッと見ていると、大変だな…と同情の視線が送られてきた。それにリボンズは苦笑で返した。本当に大変だよね、と。
基本的にイノベイターは仲良しだと思う。