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これのどこが不規則?とか考えたらダメですよ。
12.不規則
「ネーナ……いい加減にやる気だそうよ、ね?」
「嫌なの!だって嫌なんだもん!」
「……馬鹿らしい」
「テメェ!馬鹿って何だ馬鹿って!」
「ミハエル…落ち着け。彼が言っているのは状況に対してだ」
とある日のトリニティの母艦にて。
通信で依頼を受けた刹那とアレルヤは彼らの元に来て、ストライキを開始したというネーナの説得を手伝っていた。
正直、刹那はこのままストライキを続けて欲しかった。何か色々とやらかしていて、これからもやらかしそうなこの末の妹なので、いっそのことマイスターを辞めて別の職に就くべきだろうと考えていたのだ。そしてバイトでも何でもして、社会の厳しさを実感しろ、とも思っていた。家族の中だけだと、社会の厳しさは伝わらないだろう。
というか、である。
「何で俺たちが助っ人に呼ばれたんだ?」
「君たち以外に頼める相手がいなくってな……すまないとは思っている」
依頼主ことヨハン曰く、ティエリアに関しては説得に向かなくて、ロックオンには……あまり余計な迷惑を掛けたくないのだという。両方とも何となく理解したが、ロックオンの場合はお節介がライフワークな気がするので、別に迷惑を賭けてしまっても問題ない気がした。もちろん言わないが。
とりあえずそういうわけなので、自分とアレルヤが……という話らしい。
しかし。
「唇を奪われたりした俺が何で説得を…」
「刹那!そこは言ったらダメだよ刹那!」
「だが……」
やはりここはハッキリさせておくべきではないだろうか。
そう思っていると、扉の向こう側から声が。
「とにかく私はお仕事嫌なの!絶対絶対嫌なんだから!」
「ワガママ言うなよな、ネーナ……兄貴も困ってるだろ?」
「でっ……でも、とにかく嫌なの!」
嫌だ嫌だと繰り返す声に、ピンと来た。
これはもしかして……いや、もしかしなくとも説得できた方が、彼女にとっては嬉しくない状況になるのではないだろうか。
そうすれば自分の気も少しは晴れるし、あまり敵意を持っていないヨハンの手助けにもなるし、早く帰れるしで一石で何羽か落とせる状況になる。
ならば……とやる気は出た物の、しかし説得方法など浮かんでくるものではなく。
どうすればいいのだろうかと悩んでいると、横からアレルヤの声が聞こえてきた。
「あの……そういえば、どうしてネーナって立てこもってるんですか?」
「立てこもりじゃないよ!ストライキ!」
「え?あ、ごめん!」
慌てて謝るアレルヤ。
こちらの様子が分かったのか、ネーナはクスクスと笑いながら言った。
「だって、お仕事あると眠る時間とか起きる時間とか、睡眠時間も不規則なのよ?」
「まぁ…そうだろうな」
むしろ定時終了定時開始であったら不思議だ。
「それじゃあ肌が荒れちゃうじゃない!」
「……アレルヤ、帰るぞ」
「えぇ!?でも刹那、まだ説得できてな…」
「帰る」
何かと思えばそんな、本当に下らない理由で立てこも……もといストライキを行っているとは。知ってしまった以上、もう付き合うのも億劫だった。自分はそこまでお人好しではない。
けれども人並み外れたお人好しであるアレルヤはそうは思わないようで、腕を引かれながらも扉の方を気にしてチラチラと見ていた。気持ちは……ネーナをあのまま置いておくのは心配だし、ヨハンとミハエルもこのままでは大変だろう……と、こんなところだろう。分かり易いことだ。
「ヨハン・トリニティ、そういうわけだから俺たちは帰る」
「そうか……そういわけなら仕方ないな」
「兄貴ぃ…帰しちまうのかよ……」
「諦めなさい。彼らにも彼らの事情や思いがあるんだ」
とても残念そうなミハエルに諭すように言うヨハンを見ながら……少しヨハンの方に申し訳ない気持ちを抱いて、それでも刹那はアレルヤの腕を引いて歩き出した。
…やはり、兄弟間のことは兄弟間で、ということで。
こういう日常もアリですか?…アリだったらいいなぁ…。