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あそこまで勝手なことを言われて、果たしてダブルオーはどう思ったでしょうね……とか何とか。
とか思ってみたりしました。

そういうわけなので今回はダブルオー。当然ながらアルケーも出て来ます。



 勝手な言葉に腹が立った。それは間違いない。
 次の瞬間に起こった出来事に、頭が真っ白になったことも認めよう。
 あまりに、目の前にいた二人の人間は身勝手すぎた。片方はイノベイターとか呼ばれている存在だったかも知れないが、機械たるこの身からすれば人間もイノベイターも同じような物。違いなんてせいぜい、歳を取りにくいか、ヴェーダにアクセスできるかどうか……そのくらいのものだろう。その他の差異など、あとは各々の努力次第でどうにだってなる。所詮、その程度のものだ。
 自分たちを見てみると良い。始めから限界は決められている。その限界を超えれば壊れるし、そもそも越えることは出来ない。そういう風に作られている。トランザムを使えば限界を超えたかのように思うことも出来るだろうが、それはあらかじめソレに耐えうるように設計されているから発動できるに他ならない。そういった点で、自分たちは有限の存在であると言える。
 ……というのは、実はセラヴィーからの受け売りなのだが。
 そこは置いて置いて、ダブルオーは結構苛立っていた。自分はケルディムみたいに誰か一人の死を引き摺ってはいないし、パイロットはともかくとして自分の方に彼らとの因縁は無いのだ……が。
 まさか、突然『その機体は僕の物』などと言われるとは思わなかった。
 刹那を推してくれたのは素直に感謝しよう。おかげで彼と巡り会えた。もしも推されなかったら、あるいは出会いは別の物になっていたかもしれない。
 が、そんなことはどうでもよくないが、どうでもいい。
 問題は、彼らが知らなくてもこちらには意思があることだった。
 八つ当たり気味にアルケーが放つファングを打ち落としながら、浮かんできた言葉を心のままにブツブツとそのまま呟く。実体化して刹那を驚かせるわけにも行かないし、そもそも実体化が本体起動中は出来ないし、傍には仲間もいないので一人で鬱憤をはき出すしか無いわけで。そして、そうでもしないとやっていけなかった。ちなみにアルケーが何を思おうとどうでも良い。今は彼よりも彼の中で彼を操縦している対象が苛つくので。
「俺は絶対にあぁいうヤツの機体にはならない。というかなった瞬間に俺はアイツを放り出すと思う。どこに放り出そうか、あぁ、宇宙が良いな。ちゃんとヘルメットは故障させておくべきか。いくらイノベイターだとか名乗ってるヤツだと言っても流石に無酸素呼吸は出来ないだろう。それでは人間外どこか生物外だ。よし、それなら一時的に乗せてやっても構わないな。その後直ぐに刹那の所に帰る。大体向こうに行ったら他の三人と敵対しなければならないだろう……何で俺がそんなことをしないといけないんだ。これ以上ケルディムの胃薬を増やすわけにもいかないし、アリオスを泣かせるのは不本意だし、セラヴィーの小言は長いというのに」
「あぁぁ、俺のファングーっ!?」
 悲しげな悲鳴が聞こえてきたが気にすることはなく、さらに打ち落とすべく銃口をファングへと向ける。……これは結構、ストレス発散には便利かも知れない。今度ケルディムにも紹介してやろうか。
 にしても、刹那は大丈夫なのかが不安だ。確か撃たれたのは右腕で、今も血が流れ続けているのではなかっただろうか。
 早めに終わらせなければならない。
 そういった決意を抱いて、ダブルオーは今までの怒り故のやる気に、さらに『刹那が心配だから』という意味合いの入ったやる気を加算させた。
 ……そう、ダブルオーは、刹那のことを気に入っているのだ。決して先ほどの目の光っていたリボンズとか言う相手ではない。その点からも、彼の申し出を自分が不快に思うのは当然のことだ。
 もちろん、道具たる自分たちにそれほど自由が与えられていないことは知っている。やろうと思えばいくらでも『誤作動』を起こすことは出来るだろう。けれども。
 はぁ、と溜息を吐きたい気分だった。
 何で、どうしてこんな不自由な身に自由な意志を。
 世界はやっぱり不条理だ。
「オイそこ何で溜息付いてんだよーっ!」
「……別に」
 気分ではなくて本当に実行していたか、と少しだけ反省して、ダブルオーはアルケーの方へと意識を向けた。
 ようやく落ち着いてきたので思うが、八つ当たりに付き合わせてしまっている彼には……かなりの貧乏くじを引かせているのではないだろうか。
 ここに来て初めてアルケーへの申し訳なさが出て来たダブルオーは、とりあえず、と伝えておくことにした。
「アルケー……悪い」
「ん?あ、八つ当たりっぽくなってること?別に良いけど、誤るくらいならトランザム使わないでく……」
「お前のことは一生忘れない」
「えぇぇぇぇそっち!?」
 叫ぶアルケーの声が煩い。……そろそろケリを付けるべきか。
 そうダブルオーが思ったとき、視界の端に飛行機の影が映った。






そして本編へ、みたいな感じで。
ダブルオーはきっと、とても自分を大切にしてくれる刹那が大好きだよ!
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