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「いいか?テメェらにも分かるように一から教えてやる。俺とコイツは単なる仲間。イタズラする仲でもないし、いつもいつも巻き込まれているだけ。仲間以上でも以下でもない存在。分かったか!?」
「いやだなぁ、アリオスってば照れちゃって。僕とはあんなにもたくさんの秘密を共有してるって言うのにね。ほら、例えばお父さんの書斎の万年筆を間違って折ってしまったりとか、ケルディムの髪の毛を少し切ってしまったりとか、それから……」
「もういいから黙ってくれ!」
相変わらずのやりとりに、無表情の下で苦笑を浮かべつつ、ダブルオーはアリオスとセラヴィーを見た。この二人も大概漫才コンビだ。ただしセラヴィーとヴァーチェの方が漫才度は上な気がする。まぁ、そこは二人が対応型だからと言うひいき目も存在するだろうし、自分たちの主観はあまり参考にはならない気もするけれども。
ともかく、である。二人が元気そうで良かった。それが今日一番に強く深く思うこと。何年も何十年も何百年も会えなかった彼らと出会うことが出来て、元気そうな姿を確認できて。それが印象に残らないわけなどないのだ。
ただ、やっぱりセラヴィーは喋りすぎだと思う。何であんなにポンポンと言葉が出てくるのだろう。今度彼の頭の中を切り開いて見せてもらおうか。頭に核は無いのだし、死にはしないだろうから大丈夫だろう。
「剣の姫、彼らはいつもこのようなのか?」
「違う」
「ほう?何が違うのかな?」
「高い」
「高い?それは……もしやテンションのことかな?」
「……」
最後はこくりと頷くに止めて、ダブルオーは再び二人へ意識を戻す。
見れば見るほど、相変わらずの同じやり取りだが……そこに含まれている感情だとか、先の通りのテンションだとかが浮いている、そんなイメージを抱く。ようは、二人共が二人とも、仲間に出会えて嬉しいのだと言うことだけど。
そして。
「貴方も」
「ん?私も、何かな?」
「嬉しそう」
「……あぁ、確かに嬉しい気持ちだな。紅龍、君もだろう?」
「えぇ。まさか貴方にここで会えるとは思っても見ませんでしたから」
微笑みあうグラハムと紅龍を見て、ここにも一つ。そう小さく呟く。
ここにも一つ、自分たちとは比べようもないほどに小さな再会がある。
小さい。確かに小さい。彼らの場合は長くて数年だろうが、自分たちだと長くて数百年。そこに差を付けるとすれば、間違いなく彼らの再会は小さいと言える。けれども、こういうものは差がどうのこうのと、そういう話では無いのだとも考える。ようは手に入れる感情の大きさ。それだけなのだ。
エクシア。彼は元気だろうか?二つの二人組を見ながら、ふとダブルオーは考える。
自分の対応型。剣であるこの身を振り、敵をなぎ倒す自分の『使い手(ユーザー)』。
会えるだろうか。……会えるのだろう。
ならば、自分は待とう。
どうせ再会なんて、その時が来ればあっと言う間なのだから。
だから、今は。
「ダブルオー、君もコッチに来て一緒に話さない?君の物静かさと僕のお喋りなところと、それからアリオスのツッコミさえあれば万事は上手く纏まりそうだよ!」
「テメェ、何言ってるかが良く分からねぇんだけど……」
「そう?僕としてはとてつもなく頑張って丁寧に話したと思うんだけど。えっと、つまりね、僕ら三人で話し込む分には問題ないよねって話だよ。で、ダブルオーはどうするの?来るの?」
「…行く」
今は、この仲間たちと一緒に。
今度は無表情の下に感情を隠さず、ダブルオーは笑みを浮かべて二人の話に加わることにした。