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救いの手が来てくださったので、書きました。
ただ……何か違うけれど。
01.集合写真
「なぁ、みんなで写真でも撮ってみようぜ」
食堂にそろっている三人のマイスターたちにそう提案したのは、言わなくても分かりそうだがロックオンだった。
……そもそもの始まりは、どこから手に入れたか知らないけれども……イアンが持って帰ってきた年代物のカメラ。多分、三百年近く前の。
イアン曰く「使わんからやる」ということで(いや、じゃあなんで持って帰ったんだよ?というのは突っ込んではいけないらしい)それを受け取り、使えそうなので折角だから使ってみようというわけで現在に至る。
「下らない。俺はやりません」
「……ガンダム……」
「えっと……僕も遠慮していいですか?」
反応はこの通り。全くやる気の無さそうなティエリア。エクシアのことでも考えているのだろう刹那。そして、申し訳なさそうな表情のアレルヤ。
ちょっと驚いた。まさか、アレルヤまでのってこないとは。
「アレルヤがそう言うのって、珍しいよな。何かあるのか?」
「いえ……昔のカメラで写真を撮られたら、魂が抜けるって聞いたので」
一瞬の間。
その後、一番最初に口を開いたのはティエリアだった。
「アレルヤ・ハプティズム……それは本気で言っているのか?」
「え?違うの?」
……どうやら、本気で思っているらしい。
どこからそういう知識をもらってくるのか……と考えて、一つの心当たりに思い至った。
おそらく、というか間違いなく彼のせいだろうこれは。
「……アレルヤ、それってハレルヤから聞いただろ」
「どうして知ってるんですか?」
やっぱりだった。
偶にあるのだ。ハレルヤが妙なことをアレルヤに吹き込んでいることが。……今回もそれだったわけだが。
ロックオンは軽くため息を吐いた。どうしてちゃんと教えてやらないのだろう。教えてやればいいのに。絶対に彼は本当のことを知っている。なのにそれをしないのは……楽しいからだろうか。
「いいか、アレルヤ。それは迷信だ。だいたいな、それが本当だったらどれだけ人口が減ってると思う?少なくとも、ここまで化学とか医療とか……技術を発達させる余裕があるほどの人数は残らないぞ」
「あぁ…………そういえばそうですよね」
良かった。納得してくれたらしい。
「そういうわけだから、写真を撮ってもいいよな?」
「でも……」
分かってはくれたらしいが、それでも迷うようだ。
ロックオンは苦笑して、並んで座っている三人の後ろに回り込んだ。
どうしたのか、と視線を投げかけてくるティエリアに答えず、ロックオンはカメラを食堂の入り口へ投げた。
そこにいたのは、この状況の原因を作ったといえる………のかもしれない、イアン。
カメラをキャッチした彼は、ロックオンの意図を正確にくみ取ったらしい。そのまま素早くカメラをのぞき込んで。
カシャッ
「サンキュー、おやっさん!」
「カメラを投げるんじゃない。壊れたらどうする」
「おやっさんなら捕れるって信じてたぜ」
上機嫌のロックオンは、近づいてきたイアンからカメラを受け取った。
まぁ……こういうふうに不意でもつかないと、アレルヤは置いておくとして……考え事に集中している刹那もまあ除外しておいて……ティエリア。そう、ティエリアが写真を撮らせてくれるわけがないのだから、仕方がないといえるだろう。
そこらへんはイアンも分かっているらしい。顔に浮かんでいるのは笑みだ。
「現像できるよな」
「おう。そこら辺は抜かりはないぞ」
「ロックオン・ストラトス……いや、この場合はイアン・ヴァスティか」
と、突然ティエリアが顔を上げてこちらを見た。
……何か、言われるかもしれない。無理矢理撮ってしまったわけだし。
が、彼の口から出てきた言葉は、思いも寄らないものだった。
「写真、三枚ほどお願いします」
「三枚?そりゃあかまわんが……そんなにたくさん、どうする気だ?」
「一枚はそのまま置いておきます。二つめは切り抜く予定ですね。三つ目はダーツの的にしようかと」
「ダーツ……?」
何だか、最後のその言葉に、得体の知れない恐怖を覚えるのはロックオンだけだろうか。
見ると、アレルヤは何も思っていないようだが(否、不安そうではある)、イアンは合点がいったという顔をしていた。どういうことか分かったらしい。刹那は…………いや、彼はもう置いておいていいかもしれない。
「ティエリア……お前さん、なにをするつもりだ…?」
「ダーツの的にすると言ったでしょう?」
それは聞いた。聞いたとも。
だから、もっと具体的に教えて欲しいのだ。できればこの感情を打ち消してくれるような明るい情報を……無理だろうけど。
言いあぐねていると、ティエリアはうっそりと笑った。
「ロックオン・ストラトス、何もしていないとき……特に夜、体に痛みを感じたら教えてください」
……集合写真を撮った代償は、かなり大きいものになりそうな……そんな予感がした。
もらったアイディアは「ロックオンが3人を(強引に)誘って4人で写真を撮る」だったのに、何かが違う気がする……どこでどうなってるんだろうか。誘ってるけどなんていうか……。
ティエリアの写真使用法
1、そのまま=原型をとどめておくものがあったほうが。
2、切り抜き=アレルヤとティエリアのうつっているところだけ残す。
3、ダーツの=主にロックオンに当てる予定。