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沈丁花(ジインチョウゲ)
花言葉:栄光、不死、不滅、など
久しぶりに普通に漢字変換で出てくる花の名前でした。
今回はFC劇場でマークⅡとゼータ。
花言葉:栄光、不死、不滅、など
久しぶりに普通に漢字変換で出てくる花の名前でした。
今回はFC劇場でマークⅡとゼータ。
13:沈丁花 (ジンチョウゲ/実らぬ恋)
「……朝なんて来なければ良い」
「それならずっと布団から出ずに済むからか?」
「……そろそろ寒くなってきたからな」
そう言って頭のてっぺんまで布団に潜り込んだゼータに、マークⅡは盛大に息を吐いた。
彼の言う通り、ついこの間まで残暑が云々と言っていたのが嘘のように、最近一気に気温が下がった。すると当然、朝のまだ太陽が高く昇っていない時の空気は冷たく冷えたものになり、温かな寝床から這い出ることが億劫になるものである。
だからまぁ、布団の虫になりたがるその気持ちが分からない、というわけではないのだが。
それでも朝が来たのだから起きなければならないだろうと、掛け布団に手をかけ引っ張った……が、剥ぐことができない。
相変わらずの抵抗に頬を引き攣らせながら、語りかける。
「今日は結構冷えるからって、特別にリビングでヒーターつけてるぜ」
「廊下が寒いだろう」
「そのぐらい我慢しろ!」
「嫌だ」
「我儘言うな! ……ていうかいい加減抵抗止めて布団を剥がれろ! お前はこのまま布団と結婚する気か!?」
「…………それは無理だ。メタスと約束したからな」
「……は? メタスちゃん? ……約束?」
勢い任せの言葉に返ってきた意外な答えに、布団を引っ張る手が止まる。
その隙に相手は再び全身を布団で完全に包んでしまい、攻防結果は白紙に戻されてしまったが、とりあえずそれは後回しだ。後でまた布団を引っ張って剥がしにかかればいのだし。
それよりも今は。
「……それってどういうことだ?」
「いや……昔、本当に小さい頃だったと思うんだが。……多分、今日みたいに凄く寒い日に、布団と結婚したいとボクが言って」
「やっぱお前なら一度くらい言ってそうだよな。それで?」
「ボクを起こしに来ていたメタスがそれを聞いて……泣き出してしまって。吃驚していたらそれは嫌だ、と言われて……」
「……あぁ、成程」
それでは布団と結婚はもう無理だろう。
しかし、ゼータが他のひと(?)と結婚するのが嫌だから泣く、とは……本当に小さい頃だと彼は言っていたが、実際、かなり幼少の頃の話なのだろう。例えば、感情を表に出すのが当たり前というような時期だとかの。
何にせよ、その事件があったからこそ、ゼータは布団と結婚する事を諦めたわけだ。
ならば、と、マークⅡは布団を握る手に力を込める。
「結婚は諦めたんだよな? じゃあ遠慮なくお前とこいつの仲を引き裂かせてもらうか」
「……それとこれとは話が別だ」
かくして。
布団を引き剥がしたいマークⅡと布団から出たくないゼータとの争いは、再び再開されたのだった。
その時の話をすると、メタスちゃんは顔を赤くして俯いて黙りこむと思うよ。んで、今となってはあの時何であんなに必死に嫌だと言ったんだろういや答えは分かってるけど、みたいなことをぐるぐると考えるのだと。
好きだけど結婚できない=実らない恋、みたいなお話でした。というかこれは実らない方が良かったよね、うん。
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