077:夢の果て
辿りつきたかった場所に辿りつけたのかと問われたら、首を横に振るだろう。
じゃあ、今の状況に満足しているかと言われたら、さぁ、どうだろう。
首を横に振るのか縦に降るのか。それとも傾げて見せるだろうか。
その答えを少し知りたいと思ったけれど、残念なことにその答えを持っている存在はこの世界の底の底の底の底で静かな眠りについている。起こしに行くわけにもいかないし、となれば、この思考は今更過ぎる思考でしかなかった。
もっとも、今でなければ思いもつかない問いではあったのだけれど。
こんな事、全てに区切りがついた後でないと考えることさえできないから。
「ねぇ、君はどう思う?」
「どうも思わない」
「つれない返事だねぇ」
「相手をする気が全くないからな」
「それが同じ配列パターンを持つ相手に対する態度なの?」
「同じ配列パターンを持つ相手だからこその、この態度だろう」
仰向けになっているティエリアはそう言って、目を閉じた。こちらの話に興味は無いしやることもないから眠る、ということらしかった。
そんなに寝ていたら太ってしまいそうだよね、なんて思って、有り得ないかとリジェネは肩を竦めた。何を食べるわけでもないし、そもそも体が無いのだし、それで太るだなんて普通に考えて起こり得ない。
だから眠ってもらってもかまわないのだけれど、ここで眠らせたら自分が暇になってしまう。まだ、自分は眠ってしまいたくなんて無いのである。
「ねぇねぇ、ティエリア、本当さ、どう思うか教えてよ」
「どうも思わないと言っただろう。それが答えだ」
「考えてもくれないの?酷いな」
「考えてはいる。だが、分からないのだから仕方がないだろう。思いようが無い」
「……そっか。そりゃそうだよねぇ」
君と彼は違うんだから。
心の中でそう呟いて、くすりと笑う。
なぁんだ。
何の言葉も交わさずに分かりあうなんて、やっぱり出来ないんだ。
語り合いもせずに分かりあったつもりになるなんて、みたいなね。
やっぱり会話って大切ですよ、多分。