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この二人はどんな会話をしていたんでしょうかね……結局話さずじまいだから分かりません。
白蘭とさえ話してる場面無かったしね…。
005:双子
「兄弟がいるって、どういう気持ち?」
「……はぁ?」
前振りもなく問いかけたためか、質問に帰ってきたのは素っ頓狂な声。
まぁその反応は適当だろうと、問いかけた張本人である正一は苦笑した。突然に自分がやってきて、突然にこんな問いかけをすれば驚きもするだろう。そもそも、自分と彼とはあまり接点も無いのだし。
それでも彼に問いかけたのは、他でもなく彼が兄弟を持っている……というか、双子であるからだった。それと、彼が『兄』である事も相まって。
「いったい何のつもりなワケ?」
「いや……君なら分かるかなぁって…思って」
「だから何のつもり?」
胡乱げな言葉に頬を掻きながら正一は答えた。
「白蘭サンがね、弟とか妹とか欲しいとか言い出すからさ…ちょっと気になって」
「白蘭様が?」
その言葉に彼の雰囲気がちょっとだけ変わった。本当にちょっとだけだったけれど、真面目になったようで。分かり易くて笑みしか出てこない。やっぱりミルフィオーネにいるにおいて白蘭の名前は大きい。
と、それはともかく、かの王子は別に良い物じゃないと言った。
「だってアイツうぜーんだもん。弟のくせに俺にたてつきやがってさ。俺に勝てたことなんて無いくせに偉そうだし、気に入らないことばっか。死ねばいいと思う」
「……そ…そうなんだ」
何か過激な話だった。
表情を引きつらせながら正一はそれだけ言って、これは白蘭に言えないかもと判断した。弟が欲しい妹が欲しいと、その時の思いつきだったのであっても言った彼にこの、弟妹を否定するような事を伝えて……も何もならないか。いつも通りに笑って「そ」とだけ言うのだろう、きっと。
「ていうかよ、双子なんて楽しいもんじゃねぇし。同じ顔が二つもあって楽しいわけないじゃん。代わり映えねーし」
「…それを言ったら」
殆どの双子は終わりなのではないだろうか。
まぁ、殆どの双子がそっくりというわけでも無いでしょうが。
微妙に前回の004と繋がってます。