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304


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 ドォォン、と。
 爆音が聞こえたと感じたのはロックオンだけではないようだった。

「…何だこの音は」
「さぁ……全く見当が付きませんけど…」
「僕らの部屋の方から聞こえなかった?」

 ヨハン、沙慈、カタギリが順繰りに口を開くのを聞きながら、ロックオンは考えた。
 ……今、自分たちは全員が宿の玄関付近に集まっている。ここでなければ全員集まったときに狭く、場所が取れなかったからである。迷惑になるかと思ったら客は少なくて、出入りする人間が少なかったことで杞憂となった。

 集まっている理由は他でもなく、帰ってこないメンバーについてだった。
 グラハムにソーマ、ハレルヤ…さらには昨夜抜け出したという刹那まで帰ってこない事実に、いい加減話し合わなければマズイのではという話になったのだ。ちなみに内々の話なのでマリナたちには関わってもらわないことにしている。

 グラハムは放っておいても良いだろうとカタギリが言っていた。その点は微妙な繋がりを持っているロックオンも同意見だ。彼については心配しても無意味に終わることが多いのだし、それだけでなく、勝手な自由行動が多い……という理由から気にする必要もないという結論に全員が至っていた。しかも満場一致。

 刹那に関してもヨハンが問題ないだろうと言っていた。探し物が見つからないのだろうと言っており、彼も何もないまま嘘を吐くような人間……もとい、異端ではないから信じても良いとの結論だ。

 だから残ったソーマとハレルヤについて話し合っていたのだが、そこに爆音が来て一時中断である。

 中断して良かったと思う。話し合いは少しこじれていたのだ。ミハエルとネーナまでもが『アレルヤ』という誰かの事を知っていると言い出して、それのせいで少し話が脱線していたのである。

「俺、見てこようか?」
「なら私も行く。心当たりがあるからな」
「ヨハン兄が行くなら私も行く!」

 立ち上がったロックオンにヨハンも頷き、ならとネーナは飛ぶように勢いよく立ち上がった。なら、と立とうとしたミハエルをさりげなく止めて。といっても止め方は強制的で実力行使の方法だったが。つまり…脳天に手刀である。痛そうだった。

「他のメンバーは待機の方向で。もしも問題が起きたらミハエルが戦うか、ルイスがみんなを瞬間移動で運ぶかしてくれ」
「それが妥当だね……分かった、行ってきてくれ」
「了解した」

 頷いて、自分、ヨハン、ネーナの順で列を作って部屋へと向かった。
 その途中、ヨハンに尋ねる。

「なぁ、さっき『心当たり』って言ってたけど?」
「……あぁ、それに関しては話せない。約束、だからな」
「約束ねぇ……ならま、強くは言わないけどな」

 そんな物だろうと思っていたので肩を竦めるに止めると、すまないとの謝罪が返ってきた。だから、気にしてはいないのだけど。

 そんなこんなでいつの間にか部屋のある場所までたどり着いた三名の目の前で、突然、その部屋の扉が吹っ飛んだ。

「……え?」
「何!?何なの!?」
「…やはりか」

 呆然と呟く自分、何故かテンションが高いネーナ、眉間をもみほぐすヨハン。
 その目の前には、オレンジ色の髪の人形が二体、立っていた。

 

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