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本誌の標的232より、思いついてしまったネタ。綱吉たちの話です。
もしも……
「何だよリボーン。みんな呼び出したりしてさ」
「見せたい物があんだ。テメーら全員に関係することだからな」
「見せたい物?」
一体何だと、基地内の良く分からない場所に連れてこられた綱吉は首を傾げた。傍にいた獄寺と顔を見合わせるが、彼の方も申し訳なさそうに首を振るばかり。彼も何があるのか知らされていないらしい。
とりあえず、リボーンの後に続いて部屋の中に足を踏み入れる。
そこにあったのは。
「今回の対決は戦闘能力だけじゃねぇ、機動力も大切になってくんだ」
「これはそのための準備です」
ジャンニーニが『それ』を見やった。
二つのタイヤが前後に付いているソレは、いわゆる二輪車と呼ばれる乗り物だ。前の方に付いている事があるカゴは、機動力が云々という話のために必要ないから付いていないのだろう。乗り心地に関しては乗ってないから言い様もないが、大して言うようなことも無いだろう、多分。
そして、それにはペダルが付いていた。
つまり……それは、自転車だった。
何でどうして自転車。機動力が必要らしいのは分かったが、そこでどうして自転車。
呆然とそれを見ていると、後ろから山本と了平の声が。
「お、自転車なのな」
「うむ!極限に自転車だな!しかし人数分無いようだが?」
「二人とも…自転車だってことにツッコミは!?」
どうしてそこまで簡単に受け入れてんの二人とも!?
思い切りツッコミを入れたのだが、堪えた様子もなく山本は笑っているし、了平に至ってはどういうことか分かってない様子。付け加えると、獄寺は「流石はリボーンさん!先のことまで見通してるんですね!」と無条件万歳状態。
あぁ、ダメだコレと本気で思った綱吉だった。
「バ…バジル君……は…」
「凄いです!交通手段は人力車から自転車に発展していたんですね!」
「えー…あー……うん」
キラキラと目を輝かせているバジルの勢いに押されて、綱吉は頷いた。頷きながら思うのは、彼に対する深い謝罪の念だった。父のせいでこんな偏りまくった日本に対する知識を与えられて……本当に申し訳ない。
普通の反応を薄くてもしてくれたかもしれないクロームは、今、部屋にいる。
ということは、ツッコミは自分しかいないと言うことだろうか。
「リボーン、どうしてここで自転車なんだよ!」
ならば、と腹を決めて綱吉は叫んだ。
「こんなの疲れるだけだろ!?機動力っても徒歩よりマシなレベルじゃないか!」
「徒歩よりマシな分良いだろーが。それにな、今はエコの時代だ。バイクとかより自転車の方が二酸化炭素排出量も少ないだろ」
「そんなこと心配してる場合!?生き死に関わってるのに!?」
「だからお前はダメツナなんだ」
呆れたように、リボーンが綱吉を見上げた。
その視線につい、たじろぐ。今回ばかりはこちらが正しくて間違いないのに、どうしてもリボーンにこんな視線を向けられると弱い。
「良いか?そういう『少しな大丈夫』だとか『それどころじゃない』だとかで後回しにするから、結局事態は好転しねーんだ。小さな事から一歩一歩だぞ」
「それでも何か違うって場ば!」
死んで欲しくないし死にたくないから、こればかりは譲れない。
「だいたい、自転車こいでて戦闘とかどうすんだよ!得に山本とかお兄さんとか!」
「だからこその二人乗り自転車だぞ。こぐのは接近戦しかできないメンバー、後ろに乗って攻撃をするのが飛び道具が使えるメンバーだ」
「戦力激減してない!?」
「しょうがねーだろ。移動手段がこれしか無か…じゃねぇ、移動手段はこれなんだからな」
あ、本音が。
成る程そういうことかと納得しながら、それでも完全には同意できず、綱吉は移動手段が自転車になってしまった場合を考えた。山本も了平も体力があるし、得に了平の方は張り切ってこぎそうだからヘタしたら車と同じくらいのスピードも有り得そうな気が。
……あれ、何か大丈夫な予感?
「…っは、ダメだよ!そこで納得しちゃダメだ!」
「……チッ」
「チッて言った!?ねぇ、今リボーン『チッ』って言わなかった!?」
「まーまー、ツナ、小僧の言うことも一理あるしさ、これで何とかしようぜ」
「山本!?」
「十代目、俺が前に乗るんで後ろに乗ってください!」
「獄寺殿…貴方は後ろだと思うんですが。…拙者も後ろなのか?」
「極限にやるぞ!」
「獄寺君たちまで!?」
リボーンの言葉だろうとそのまま受け入れないで欲しいと本気で思った綱吉だった。
この流れを汲んだヴァリアーの話も書きたいと本気で思いました。
どっちが前に後ろに乗るでいざこざ起きそうだけど。