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黒い炎ってこれしか浮かばなかったって言う。
でも、ヴァリアーに行ったらこういう目撃も割とあるんじゃ。



009:黒い炎



 うわ、という小さな呟きにリボーンは顔を上げた。
「どうかしたのか?」
「いやさ……ほら、あれ」
 綱吉が指さした先には談話室のドア。半開きなのだが……そこまでは良い。
 恐らく綱吉が指さした理由は、その半開きの部分から中をうかがっているどこかの暗殺部隊幹部の姿があったからだろう。ここがヴァリアー本部である以上は、いたところで問題も違和感もないが。むしろ異物であるのは自分たちだと認識されていることだろう。
 それはともかく。
「レヴィだな」
「レヴィだけどさ……何か凄い形相」
「背後に黒い炎でも背負ってそうだな」
「黒……あぁ、うん、何か納得できる」
 実際、彼の表情は嫉妬に彩られており…だからといって何がどうというワケもないが。彼の嫉妬深さはこちらにまで綺麗にそのまま伝わるほどに有名だ。
 ということは、談話室の中には彼に嫉妬を覚えさせる何かがあると言うことか。
「……で、どうしよう…」
「どうもこうも、行くしかねーと思うんだが」
「えぇぇ…でもなんか入りづらいっていうか」
「知るか。いつまでも甘ったれんな」
 かなり弱腰の綱吉を蹴り飛ばして、リボーンは改めて談話室の方を見た。
「ルッスーリアが言っていただろうが。ザンザスは執務室にいねぇって」
「それで、談話室にいるんでしょ?流石にそれくらいは覚えてるよ」
「じゃあ行け」
「そんな殺生な!?」
「何言ってやがる。死にはしねぇだろ」
「……うぅ…」
「呻いても無駄だ」
 綱吉が手にしている書類。
 それをヴァリアーのボスに渡すまでは帰れないのだから。





談話室の中の様子はご想像にお任せ。
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