式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
五万打一周年企画の作品その2、デュナメスとキュリオスの話です。
最初はお出かけでもしてもらおうかと思いましたが、そうすると買い物と被るから無理でこんな感じに。
姿が見えないキュリオスを探して、デュナメスはプトレマイオスの中を歩いていた。他の二人はケンカ中で、放っておいた方が良いだろうと思ったので放っている。というか首を突っ込んで巻き込まれたくない。
重火器が出てきたら呼んでくれとハロに頼んでいるから大丈夫だろうと、多少の心配は残っている物のどうにか自分を納得させて、改めてキュリオス探索を始める。別に艦内にいるのならどうと言うこともないだろうし、最近は気分が沈むような事柄も無いから問題は無いだろうが、少し気になるのもまた事実なのである。
さて、彼はどこにいるだろうか。一通りは艦内は回った……と思う。展望室やブリーフィングルーム、メディカルルーム等々。流石に個人の私室などには入っていないが、それはキュリオスも一緒だろう。
などと思いながら、そういえば、とまだ巡っていない場所を思い出す。
食堂、そこにはまだ行っていない。
ならば、と立ち止まって直ぐ傍にあったドアを見やる。
「ここにいる……か?」
どうだろうと思いつつもドアを開き、足を踏み入れ……いた。
こちらに背を向けているキュリオスは、どうやら自分には気付いていないようだった。椅子に腰を下ろしてテーブルの方を向いていて、付け加えると精神体ではなく実体化していることから、食事を取っているのだと言うことが何となく分かった。
自分たちは機体に宿った自由意志で、基本的に精神体として存在しているが、場合によっては実体化して食事を取ることなども可能なのである。まぁ、取らなくても問題といった問題はないのだが、そこは気分と言うことで。
それはともかくと、デュナメスは普通にキュリオスの後ろに歩み寄って、ポンと肩に手を置いてただ呼びかけた。
「キュリオス」
「ひゃぁ!?」
…のだが、本当にこちらに気付いていなかったらしいキュリオスは飛び上がるほど驚いた様子。普通にしただけなのにこの反応というのは、ちょっとどころでなくオーバーである気がするが。
思わず呆れの視線を送っていると、恐る恐ると振り返ったキュリオスと目が合った。
「あ……デュナメス」
「お前、何やってるんだ?」
「えっとね…パフェ、食べてた」
「……それはまたどうして」
普通の食事とかなら『前から食べてみたかった』とかいう理由だと想像付くが、一体どうしてそこでパフェ。
「お昼にね、ちらってここ覗いたらクリスティナがチョコのパフェ食べてて、それが美味しそうだなぁって思ったからつい……あ、でもちゃんと他の人に見つからないように夜中に実行したんだよ!」
「ま、俺たちの存在は俺たちだけの秘密、だからな」
その辺りを考えて行動した点は褒めることが出来るだろう。
頷きながらデュナメスは実体化して、キュリオスの隣に座り、三分の一ほど無くなっているチョコレートのパフェを見やった。…ふと思ったのだが、キュリオスはいつからこれを食べているのだろう。彼の食べるスピードは普通よりもやや遅いくらいだったと思うが。
などという考えも、嬉しそうにパフェを食べるキュリオスを見ているとどうでも良くなってきた。本当に美味しそうに食べるのだ、彼は。
自然と浮かんだ笑みのまま、デュナメスは口を開いた。
「美味いか?」
「うん。量が多い気がするけど美味しいよ。食べる?」
「それじゃ、ちょっとだけな」
あまりたくさんもらってはキュリオスの分が無くなるからと、そうやって答えると、直ぐさま「はい、どうぞ」と差し出されるスプーンと、その上に乗っているチョコのかかった生クリーム。それ以上の動きが無いところを見ると、このまま食べろと言うことらしい。というか、それ以外が思いつかないだけだろう、彼の場合は。
まぁ良いけれど、と苦笑しながらデュナメスはキュリオスのスプーンを持っている手を取り、その手ごとスプーンを動かして口に運んだ。
そして、感想はと言うと。
「…甘。何か二割り増しくらい甘い気がするのは俺だけか?」
「そうなのかな…?分からないけど、けど美味しいよね?」
「もう少し甘味が抑えられた方が好きと言えば好きだけど…ま、これも嫌いではないな。いや……でもやっぱり甘すぎないか、それ」
「…変なボタン押したからかも」
「変なボタン?」
何だそれはと首をかしげると、あれ、とキュリオスが人差し指を色々なボタンがある方へと向けた。確か、あのボタンを押したら食事が出てくる、のだったか。
「あれのね、パフェの所を押した時に直ぐ側のボタンも押しちゃって……」
「直ぐ側って、隣のか?」
「多分それだと思うんだけど……変なボタンが本当に変なボタンだったらどうしよ…変な物は入ってない…よね?」
入っていたら三分の一ほど食べているキュリオスは確実にアウトだが、そこはかなり不安そうな彼には言ってやるべきではないだろう。
「大丈夫だろ、ここは食堂だしな。変な物は出さないと思う」
だから安心させるようにこう言うと、安堵したような笑みが向けられた。
多分、押したボタンは『甘さ二割り増し』。
そんなボタンがあるかは知らないけれど、まぁ、恐らくパフェくらいはトレミー内で注文できると思います。
重火器が出てきたら呼んでくれとハロに頼んでいるから大丈夫だろうと、多少の心配は残っている物のどうにか自分を納得させて、改めてキュリオス探索を始める。別に艦内にいるのならどうと言うこともないだろうし、最近は気分が沈むような事柄も無いから問題は無いだろうが、少し気になるのもまた事実なのである。
さて、彼はどこにいるだろうか。一通りは艦内は回った……と思う。展望室やブリーフィングルーム、メディカルルーム等々。流石に個人の私室などには入っていないが、それはキュリオスも一緒だろう。
などと思いながら、そういえば、とまだ巡っていない場所を思い出す。
食堂、そこにはまだ行っていない。
ならば、と立ち止まって直ぐ傍にあったドアを見やる。
「ここにいる……か?」
どうだろうと思いつつもドアを開き、足を踏み入れ……いた。
こちらに背を向けているキュリオスは、どうやら自分には気付いていないようだった。椅子に腰を下ろしてテーブルの方を向いていて、付け加えると精神体ではなく実体化していることから、食事を取っているのだと言うことが何となく分かった。
自分たちは機体に宿った自由意志で、基本的に精神体として存在しているが、場合によっては実体化して食事を取ることなども可能なのである。まぁ、取らなくても問題といった問題はないのだが、そこは気分と言うことで。
それはともかくと、デュナメスは普通にキュリオスの後ろに歩み寄って、ポンと肩に手を置いてただ呼びかけた。
「キュリオス」
「ひゃぁ!?」
…のだが、本当にこちらに気付いていなかったらしいキュリオスは飛び上がるほど驚いた様子。普通にしただけなのにこの反応というのは、ちょっとどころでなくオーバーである気がするが。
思わず呆れの視線を送っていると、恐る恐ると振り返ったキュリオスと目が合った。
「あ……デュナメス」
「お前、何やってるんだ?」
「えっとね…パフェ、食べてた」
「……それはまたどうして」
普通の食事とかなら『前から食べてみたかった』とかいう理由だと想像付くが、一体どうしてそこでパフェ。
「お昼にね、ちらってここ覗いたらクリスティナがチョコのパフェ食べてて、それが美味しそうだなぁって思ったからつい……あ、でもちゃんと他の人に見つからないように夜中に実行したんだよ!」
「ま、俺たちの存在は俺たちだけの秘密、だからな」
その辺りを考えて行動した点は褒めることが出来るだろう。
頷きながらデュナメスは実体化して、キュリオスの隣に座り、三分の一ほど無くなっているチョコレートのパフェを見やった。…ふと思ったのだが、キュリオスはいつからこれを食べているのだろう。彼の食べるスピードは普通よりもやや遅いくらいだったと思うが。
などという考えも、嬉しそうにパフェを食べるキュリオスを見ているとどうでも良くなってきた。本当に美味しそうに食べるのだ、彼は。
自然と浮かんだ笑みのまま、デュナメスは口を開いた。
「美味いか?」
「うん。量が多い気がするけど美味しいよ。食べる?」
「それじゃ、ちょっとだけな」
あまりたくさんもらってはキュリオスの分が無くなるからと、そうやって答えると、直ぐさま「はい、どうぞ」と差し出されるスプーンと、その上に乗っているチョコのかかった生クリーム。それ以上の動きが無いところを見ると、このまま食べろと言うことらしい。というか、それ以外が思いつかないだけだろう、彼の場合は。
まぁ良いけれど、と苦笑しながらデュナメスはキュリオスのスプーンを持っている手を取り、その手ごとスプーンを動かして口に運んだ。
そして、感想はと言うと。
「…甘。何か二割り増しくらい甘い気がするのは俺だけか?」
「そうなのかな…?分からないけど、けど美味しいよね?」
「もう少し甘味が抑えられた方が好きと言えば好きだけど…ま、これも嫌いではないな。いや……でもやっぱり甘すぎないか、それ」
「…変なボタン押したからかも」
「変なボタン?」
何だそれはと首をかしげると、あれ、とキュリオスが人差し指を色々なボタンがある方へと向けた。確か、あのボタンを押したら食事が出てくる、のだったか。
「あれのね、パフェの所を押した時に直ぐ側のボタンも押しちゃって……」
「直ぐ側って、隣のか?」
「多分それだと思うんだけど……変なボタンが本当に変なボタンだったらどうしよ…変な物は入ってない…よね?」
入っていたら三分の一ほど食べているキュリオスは確実にアウトだが、そこはかなり不安そうな彼には言ってやるべきではないだろう。
「大丈夫だろ、ここは食堂だしな。変な物は出さないと思う」
だから安心させるようにこう言うと、安堵したような笑みが向けられた。
多分、押したボタンは『甘さ二割り増し』。
そんなボタンがあるかは知らないけれど、まぁ、恐らくパフェくらいはトレミー内で注文できると思います。
PR
この記事にコメントする