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そのうちトリニティのとこの鳥も出したいな……

登場……刹那、アレルヤ、グラハム、エクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ、ナドレ



 今日は日曜日。学校はない。
 したがって、早起きする必要もない。
 ……のだけれど、刹那は平日よりも少しだけ早く起きて食堂に向かった。
 日曜日。これは刹那にとって、とても重要な意味を持つ曜日なのだ。
 なんといっても、この日は……
「あ、おはよう、刹那。相変わらず早いね」
「おはよう、アレルヤ」
 食堂に着くと、そこに一人だけいたアレルヤが、にこやかに話しかけてくる。
 一人だけ、というのは少しだけ違うかもしれない。いや、『人』で数えられるのはたしかにアレルヤだけだが、正確に言うと一人と五匹、だったのだ。
 五匹……寮に住み着いている、猫。
 そう。毎週日曜日のやや早い時刻。この時間は刹那、アレルヤと五匹の猫だけの交流会が催されるのだ。
 平日の朝は学校があるから忙しい。土曜日の朝は平日の疲れがたまっているから起きづらい。けれども、日曜日なら。
 二人っきりのこの集まりは、そういう理由からこの日にいつも行われているのだ。
 他の日も猫と触れ合うことはある。しかしそういうときは、必ず他の人間もいる。絶対に二人っきりにはなれない。特にハレルヤ、ティエリア、ロックオンの三人がベタベタとくっついていて……まったくもって邪魔なのだ。
「エクシア」
 青い瞳の猫の名を呼んで、それからアレルヤの隣に腰掛ける。
 刹那の膝に飛び乗ってきたエクシアを撫でながら、ちらりとアレルヤの方を見る。
 彼の膝には刹那同様、猫が一匹いる。オレンジ色の瞳が特徴的なキュリオスだ。
 他の三匹――デュナメス、ヴァーチェ、ナドレは足下で丸まっている。多分、撫でてもらうのを待っているのだろう。
 …律儀な奴らだ。どこかの誰かに爪の垢でも煎じて飲ませたいものだな。
 脳裏に何人かの寮生、クラスメイト、それから教師を浮かべてそんなことを思う。
 そんなことを思っていると、突然アレルヤがクスクスと笑い出した。
「どうかしたのか?」
「いや?刹那がとても楽しそうに笑ってるから、ついね」
「笑っている?」
 俺が?……全然気づかなかった。
 驚いていると、また、彼は笑う。
「やっぱり気がついてなかったんだね?……刹那は本当に、猫が好きだね」
「違う。猫が好きなんじゃない。この寮の猫が好きなんだ」
 他の所にいる猫には興味はない。仲良くしたいと思う猫はここの五匹だけだ。
 どういうわけだか分からないけれど、ここの五匹を見ていると戦友に出会った気分になるというか、なんというか……
 と、突然デュナメスが起き上がり、辺りをうかがい始めた。
 警戒心たっぷりの行動。これが指すのはすなわち……。
「やあ。刹那君、アレルヤ君、おはよう」
 金髪の男が食堂の入り口から姿を現した。
 数学教師、グラハム・エーカー。
 どうしてやってなのか知らないが彼は、アレルヤに他言しないように頼んで、なおかつ刹那も誰にも悟られないように最大限の注意を払って他のライバルたちに気づかせないようにしているこの会を、自力で探り出してきたのだ。それ以来、たまに(というか…しょっちゅう)乱入してくる困った教師なのである。
 彼はどうやら猫たちと仲良くしたいらしいのだが、いかんせん、猫たちの方がグラハムに対して並々ならない警戒心を持っている。毛並みに触れようものなら、研ぎ澄まされた爪が襲ってくること間違い無しなのだ。
 だというのにめげないグラハムは、いっそ見事というべきだろうか。
 とはいえ彼のことは気に入らないから、刹那は挨拶を返さずに黙ってエクシアの背を撫で続ける。ここで返すと変な話に巻き込まれるから嫌だ。自分と同じくガンプラに対する熱意をしっかりと持っているのは認めるが、会話途中に出てくる迷言が気に入らない。
「グラハムさん、おはようございます」
 巻き込まれることを知っているはずだけれども、アレルヤは微笑んで挨拶を返す。基本的に誰とも分け隔て無く接するところは、実に彼らしい。
 許可をした覚えもないのだが、グラハムは刹那の隣に腰掛けた。
 席を移動したくなったけれど、止める。アレルヤの隣に座られなかっただけ、まだマシというものだ。
 だが、
「エクシアもおはよう」
 グラハムの手が膝の上の猫に伸びた瞬間、刹那はその手を払っていた。
 そして、静かに言う。
「……エクシアに触れるな」
「別にいいだろう?」
「良くない。エクシアは嫌がっている」
「そんなことはないさ」
 あぁ……たしかに違うかも知れない。
 正確に言うと、エクシアたちはグラハムのことが『嫌い』なのではなく『苦手』なのだと思う。見ているとそういう感じだ。
 ただ、絶対に好きでは無いと思うので、今の行動に悔いはない。
 再びエクシアに伸ばそうとしたグラハムの手に、突然、何本かの赤い線が走る。
 線の正体はすぐにわかるだろう。エクシアが爪でひっかいた痕だ。
 手を引っ込めたグラハムを見て、刹那は思う……いや、願う。
 …これで諦めてとっとと四階に帰ってくれ。
 が、それが叶わぬ願いだと、刹那はよく知っていた。そして、隣にいるアレルヤもこれから何が起きるかは分かっているだろう。
 ふらり、と二人の見る前でグラハムが立ち上がった。
 ……始まるか?
 こそり、と刹那は立ち上がり、同じく立ち上がったアレルヤと一緒に食堂の隅に……つまりグラハムから遠いところへ移動する。
「抱きしめたいなッ!」
 丁度そこについた頃、後ろからグラハムの叫び声が聞こえた。




 ……その後のことは、語らなくても分かる人には分かると思う。
 グラハムが猫に抱きつこうとして、それを猫たちが必死にもがいて撃退する……それの繰り返し。
 まったく……どうしてこうなったのだろう?
 刹那は目の前で繰り広げられる人と、猫との乱闘を眺めながら思った。
 ただ、俺はアレルヤと猫たちと、一緒にのんびりとしていたいんだが……世の中そうそう、うまくいかないというわけか。
 いつになったら、元のような日曜日の静かな時間が取り戻せるのだろう。
 多分、ずっと無いんだろうな、と考えて、刹那はため息を吐いた。
 ため息を吐いて、ちゃっかり二人についてきて、アレルヤの膝で丸くなっているナドレの背を撫でた。


途美学園の設定でも、ガンプラはあります。
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