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スメラギさんには誰も勝てないと思う……
チビスターズ第一話 ⑦
まぁ、明日戻るかもという可能性も思い当たったので、他のクルーと小さな刹那・アレルヤとのふれあいの場を作ろうかと考えたのだが。
「却下です」
「ダメに決まってんだろ」
「…二人とも嫌がってるぜ?」
「本当……逃げていいですか?」
「戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ…………」
無理だった。
やれやれ、とスメラギは苦笑した。
普段はバラバラなマイスターズがここまで一致団結するとはね……。
肩をすくめ、ならば、と新しい提案をする。
「なら、実行部隊の皆にだけ、というのは?」
「………それなら、まぁ」
まだまだ不本意そうだったが、ティエリアはそう言った。
他の四人は?と視線を向ける。
ハレルヤは、不機嫌そうだった。ロックオンは苦笑している。刹那は無表情。アレルヤは困り顔。
だが、誰も反論は口にしない。
全員分かっているらしい。これは必要なことだと。
戻っている可能性もある。だが、戻っていない可能性もあるのだ。
そうなった場合、まさか、ここにいる四人だけで小さな二人の面倒を見るわけにもいかない。いや、面倒を見させてくれるほど二人は頼りなくはない。というかむしろ、こちらが面倒を見てもらうかもというくらい頼りがいはある。
が、服やら何やら、彼らの力だけでは解決が無理な問題があるのもまた事実なのだ。
「じゃあ、お昼ご飯を食べるときにでも」
「それまでは自由、ですか?」
「えぇ。今の体に慣れておくといいわ。でもその前に服ね」
「……ですよね」
「スメラギ・李・ノリエガ、サイズが合う物があるのか?」
「そうねぇ……フェルトのだったら、今のよりはましなんじゃないかしら」
二人とも、いつもの服を着た状態のままだ。まぁ、前と比べると今はかなり小さいからよいものの、ずっとこのままというのはまずいだろう。
「やっぱり……………女物ですか?」
「しかたないわよ。最年少はフェルトだもの」
「俺はこのままでいい」
「ダメよ、刹那。風邪を引いちゃうわ」
嫌そうな顔の二人だが、こればかりは仕方がない。
くすりと笑って刹那の右手、アレルヤの左手を取る。
「そういうわけだから、行きましょう」
「いっ、今すぐですか!?」
「当然」
今の姿を見られるのがよっぽど恥ずかしいらしい。アレルヤは顔を真っ赤にして抵抗した。
刹那はもう諦めたのか、諦観の表情を浮かべ、されるがままになっている。
「嫌ですーっ!お昼までって言ったじゃないですかーっ!」
「何言ってるの。予定が多少早くなっただけでしょ」
ずるずるとアレルヤを引きずり、スメラギは出入り口に向かう。
食堂から出る前、くるっと振り返って残る三人の方を向いた。
「じゃあ、また後で」
それから、返事を待たずに、出た。
「………なんてーか、ご愁傷様としか言えねーよ」
「それには同感だ」
「大変だよなぁ……」
「一番の問題は…」
「?何だよ、眼鏡」
「スメラギ・李・ノリエガが、どこまでやる気かだろう」
「…………………あぁ、そりゃそうだ」
「無事に帰ってくるかどうかさえ問題…か?」
何だか、書いてて二人が不憫になってきた……。