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この組み合わせはどこにどう入れたらいいというのだろうかとか。
025:風
「……で、テメェはどうしてそんな満身創痍なんだ」
「えっとその……強風に煽られて?」
その言葉に、そういえば今日は風が強いのだとどこぞの王子が言っていたのを思いだした。だが、ベルフェゴールの話を聞く限りでは『強風』と表現するには些か物足りない強さ、であった気がするのだが。
まぁそれは良いと、ザンザスは口を開いた。
「書類の方は無事だろうな」
「それは大丈夫だぜ!」
グッと親指を立ててさわやかな笑顔で、ディーノが答える。
「荷物詰めるときはちゃんと部下の前でやったし、その後は開かないように鍵もしたし、うっかり落とさないように鎖で右腕と繋いだし!」
「そこまでしねぇと大丈夫と断言できねぇのか」
「……まぁ、そういうこと」
ハッと鼻で笑ってやると、途端にションボリと落とされる肩。
小さく「頑張ったのに……」という声が聞こえてきたがあまり気にせず、こんなのがマフィアのボスで問題はないのだろうかと、そんなことを思っていた。部下がいたら良いと言うが、いなけれければ隙だらけのダメなボスではないか。
誘拐なども思うままだろうと思い、いや、と首を振った。誘拐などしよう物なら、きっと行った犯人たちが痛い目にあう。ディーノの部下のいないときのダメっぷりを甘く見てはならないのである。それは自分でさえ知っている。ヴァリアー内で誰よりそれを知るのはスクアーロだろうが。何せ同級生である。
「っけど!ちゃんと出来たろ!?」
「これが当然だ」
バッと顔を上げて叫ぶディーノに言って返し、鍵を開けて入れ物の中の書類を手に取った。様子からしてどうやら全て揃っているらしい。
それを確認して、そういえば、と問いかける。
「…どうして部下を連れてこなかった」
「自分だけで運んでみたくって」
「ンな理由で重要書類を危険に晒すんじゃねぇよ」
まぁ、この二人ならたまにくらいは話したりはしてるでしょう、と。