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うちのサイトのハレさんは、どうやら悪戯っ子なようです……。
でも、相手見た方がいいよ、きっと。
04.くす玉
ここは、地上。
今、何をしているかというと、それは……栗拾い。
別に、CBのメンバーでの懇親会だとか、そいういうわけではない。仲間のうちの誰かに誘われたわけでもない。ただ、自主的にここに来て、それから勝手に栗を拾っているのだ。
ちなみにここは、私有地でも何でもない単なる山奥なので、いくら栗を拾って帰ろうと問題はない。
『ねぇ、ハレルヤ』
「ん?何だよ、アレルヤ」
ふいに、半身からの声がして動きを止める。
『どうして急に栗拾いなんて?栗ご飯でも食べたかった?』
「栗ご飯とか……んなワケねぇだろーが……」
『じゃあ、焼き栗とか?』
「…違ぇ」
たしかに栗を拾うというのはすなわち、それを食べるための行為ではある。
しかし、だからといってハレルヤがそんなことのために、ここまで来るわけがなかった。食べたいのならスーパーにでも行って買えばいいのだから。栗拾いを楽しみたい、だなんて言うような性格でもないし。
ハレルヤが欲しがっているのは、中身ではない。
「俺は、イガの方が欲しいんだ」
『え?そっちは食べられないよ?』
「だぁかぁらっ!別に食べようだとか、んなこと思ってねぇんだよっ!」
どこまでもホンワカとした返答を返すアレルヤに、ついつい声を荒げる。
栗=食べ物、という発想からこれらの言葉は出てくるのだろうが……さすがに『イガが欲しい』と言った時点で、そこから離れるべきだろうに。
それをしないところがアレルヤが、アレルヤたる所以なのかもしれないけども。
しかたがないから、ヒントをやることにした。
「もうちょっとでチビの誕生日だから、拾ってんだ」
『チビって……刹那のことだね?ちゃんと名前で呼ばないとダメだってば……て、え?刹那の誕生日だから?それってどういう……もしかして』
このヒントだけで分かるわけはないけれど、おもしろそうだから彼の答えを聞いてみることにして、黙って促す。
『刹那って、栗のイガが好きなの?だからあげるとか?』
「………お前、バカだろ」
一体、どこにそんなものが好きなヤツがいるというのか。全世界中に一人くらいはいるかもしれないが、身近にそんなのがいたら即行で叩きのめしている。近くにそういうのがいるのが気に入らないし。
『だって、イガなんてどうするのか、見当もつかないし』
「だろーな。こんなもん、どうこうする物じゃねぇわな」
まだ針の皮を被っている栗を放り上げ、受け止める。
それを繰り返しながら、ハレルヤは口を開いた。
「イガはな、全部集める。それから」
『それから?』
「くす玉の中にでもしこんどく」
『……えっと、それは、もしかしなくても…』
ようやくハレルヤが何をしようとしているのか分かったらしい。アレルヤの声には、恐る恐るという様な響きがあった。
だからハレルヤは、にやり、と笑った。
「イヤガラセ」
『待ってハレルヤ!どうしてそんなことを計画するのかな!?折角の誕生日なのに!?』
「誕生日だからだろ。普通の時にやってもおもしろくねぇし」
『自分がやられたら嫌だろ!?』
「べっつにぃ~?俺はやり返すから気にしねぇし」
まぁ、とても怒りはするだろうけど。だけれど、その怒りの分、いや、それ以上相手をボコボコにするから問題ない。
「つーわけだから。実行するぜ」
『ダメだって!何としてでも食い止めるからねっ!?』
「できるもんならどーぞ」
そう言って、ハレルヤは笑った。
多分、くいとめられないだろうなぁ……