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全てを消し去った子供たちに、行く当ては無かった。
子供たちは親という物を持たなかったから。持っていたのかもしれないが、その存在に関しての記憶が全くと言っていいほど無かったから。
だから、子供たちは彷徨った。
自分たちが受け入れられるどこかを求めて、彷徨った。
当然、直ぐにそのような場所が見つかるわけもない。彷徨い始めて当初は、夜露をしのげる場所さえあれば良い、という生活ばかりを送っていた。
場合によっては、盗みすら辞さず。
それでも、無くてあるような『ルール』はしっかりと守って。
そんな、酷い生活を送っていたある日。
見つけた、居場所となり得る場所。
そこには自分たち異邦人でさえ受け入れてくれる、自分たちにとっての安住地と、なりえる場所だった。集まるのは同じような待遇の、子供たち。大人もいるにはいたが、殆どがその場所を管理しようとは思わなかったようだ。
大人の手のない、子供だけの場所。
それが、そこだった。
そこには色々な人間がいた。人間以外もいた。
だからこそ、自分たちがそこにいるのに抵抗はいらなかった。
そこそこ平和にそこで暮らしていた三人は、ある日こっそりと大人に隠して都から出た。子供たちには、教えていたが。何せ外に出たのは、都で自分たちが得ることが出来ない物を調達しに行くため、だったのだから。
都にはたくさんの物が集まる。けれどそれには値札が付き、金がなければ手に入れることも出来ない。それは、自分たちにとっては致命的な点だった。
金など、あるわけもない。
しかし、都の外の人ビトの中には頼めばタダでくれるのがいると、知っていた。以前からしばしば交流があったから、くれるか分からない都の人間に頼むより、くれると分かっている都の外の人ビトに頼もうという話になっていたのだ。
行く子供は、順々に。
そして、その時は自分たち三人の番だった。
大人にばれないように密やかに、子供だけが知っている抜け道を通って都の外に出て、もらった地図に従って道を行き。
辿り着いたのは小さな村だった。
素朴、というのが一番相応しい形容であろうその村。
きょろきょろと物珍しさから村を眺めていると、どん、とふいに赤目の少年は誰かとぶつかった。衝撃から同じくらいの大きさの誰かだと分かって、その後に後ろ向きに倒れた。
ぶつかったのは、茶髪の少年だった。
彼は直ぐに立ち上がって、手を差し出して笑みを浮かべた。大丈夫か、と。
その言葉がとても新鮮な物に思えて、赤の、銀の、金の瞳の三人は思わず目を合わせ、それから怖ず怖ずと、赤い目の子供は手を取った。
互いにそれから名乗り合い、目的の達成を茶髪の子供と一緒にして。
茶髪の子供の家に、行こうか、と言う話になって。
どうしようかという話は出たが、断る理由はどこにもない。
三人は頷いた。
それが、間違いの始まりとも知らず。