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「……ここって果てはあるのかな…」
「無いに一票」
「ミレイナもそれに一票ですぅ…」
「あ…僕も一票、かな」
「イッピョウ!イッピョウ!」
「イッビョウダゼ!イッピョウダゼ!」
よく分からない場所に来て、とりあえずと歩き回った結果。
成果として、ハロとHAROと合流した。
……が、一向に状況は良くならなかった。
まぁ、予想はしていたけれどとアレルヤはため息を吐いた。そんなに簡単に出口?が見つかるとは考えてはいないから。自分だけでなくハレルヤも、この場所については全く分からないのである。
唯一知っているかもしれないヴェーダという存在もあるが、こんなことで彼女を使うのは憚られた。理由は無いのかもしれないが、それでも嫌だと思ったのである。
「にしても……本当にまっさらだね、ここ」
「だな。砂漠以上に何もねぇ。オアシスはおいといて、砂すらねぇからな」
「大きなドームみたい…」
キュリオスがポツリと呟くが、まさにこの場所はその通りの場所だと思われた。
空が、無いのだ。
上を見上げれば真っ白な『天井』が見えるのみで、下を向けば真っ白な『床』が見えるだけ。前後左右を見渡せば、何もない真っ白な向こう側が見えるだけ。
白い空間。
それが、この場所の全てだった。
規模からして、恐らく誰かが作り出した、という類の物ではないと思われる。自分たちに関知できないので、異端などが作り出したという話も考えにくい。自然が作り出した、というのも同様に。
恐らく、この場所は『はじめからあった』場所だ。
その『はじめ』が『初め』なのか『始め』なのかは分からないが。
「…ともかく、どうしたら良いんだろう」
「裂け目とか作れないですか?」
「そう言う能力全部封じられてるみてぇだから無理だな」
「あ…僕も、色々と出来なくなった感じが」
「そうなんです?」
キョトンとしているミレイナには分からないだろうが、実際、そうだった。
どうやらこの場所には特殊な力を封じる何かがあるのだと気付いたのは、到着してしばらくして。裂け目を作ってみようかと思った所で、それが出来ないことに気がついたのだ。
そして、それはハレルヤたちも同じような物だったらしい。ふと下を見るとハロたちも耳をパタパタと動かして何かを伝えようとしている事から、彼らも似たような状況であるようだと判断できる。
つまり万事休す。
出口?を探すほかに出来ることは無いのである。
「でも…随分と歩いたしね、ちょっと休憩する?」
「賛成です!ミレイナ、もうくたくたで…」
「じゃあ、五分程度、ってことで」
「そしたらまた歩くぜ」
お前疲れてるだろ。そう付け加えられたハレルヤの言葉に、アレルヤは小さく頷いた。
今、自分の姿は子供の物。従って、歩幅も子供と同じような物なのであり…ようはキュリオスと似たような物で。
早く元の体に戻りたいと、本気で思った。