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序
たしか、それは『お父様』が私の弟妹たちを作り出す前の話。
私はその頃に、『世界』とあと一人に、会ったことがあった。
もう思い出せない遙か昔のこと。
私は『世界』と『王』に会ったのだ。
―昔話になり損ねた話―
「……お父様?」
「あぁ、オーガンダムかね」
「どうかなされたのですか?」
私は、ボウッとしていたお父様のそばに寄った。
お父様がボウッとするのは珍しい。それは別に家でも気が抜けないからではなくて、そういう性格なのだと私は結論づけている。性格でなければ、お父様が生まれながらに持っていた性質だろう。多分、そういう物だ。
だから私はお父様の様子を不思議に思った。そんな性質を持つお父様が、どうしてボウッとしていたのかが分からなかったから。
疑問を持って見上げる私の頭を、お父様は優しく撫でた。
「実は今日、旧知の友が来るのだよ」
「旧知の」
「あぁ。だから、昔を思い出していた」
昔、この場合の『昔』というのは、多分私が生まれる前の話。そもそも私はお父様に造られてまだ、二週間しか経っていないのだ。
どのような人なのだろうと考えていると、ふいに、ドアが開く音。
カウンターに座ったままにドアの方を見ると、そこには二人の青年が居た。
「よ、来てやったぜジジィ」
「お久しぶりです、イオリア」
片方はニヤリと、もう片方はにっこりと笑って。
その、金銀のオッドアイを細めて。
二人はそこに立っていた。