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手っ取り早い解決方法が一番です、些細な争いなら。
相変わらずのW組、そしてエピオンとかそんな感じ。どんだけこの人たちのことが好きなんだろう、自分。
「てーなわけで、第一回!二年D組クイズ大会決行ーッ!」
「何が『というわけ』だ何が」
教卓の上に乗って、どこから取り出したのかは知らないがマイクを片手に、もう片手で握り拳を作ってグッと上へと付きだしている、何とも言えないほどにノリノリのデスサイズにツッコミを入れて、ウイングは『回答者席』と書かれている席に座ったまま、腕を組んで背もたれに体重をかけた。
……事の始まりは、毎度ながらエピオンの決闘好き故の行動だった。その行動も、本人からすると奇行ではなく当然の行動だから手に負えない、というのはこの際は関係ないし諦めているのでおいておくとして。
今回は、その後の展開が違った。
さっそくウイングを連れ出そうとしたエピオンを、サンドロックが止めたのである。
『決闘にも色んな種類があるんだよ?』
そう、ニコリと笑って言う彼に様子に、嫌な予感を覚えた自分は間違っていなかった。しみじみと思う。間違うどころか大当たりだったのだから。
だからこそ悔やまれる。どうしてあの時逃げ出さなかったのか。彼が『クイズ大会しようよ、クイズ大会』と言い出してしまう前に逃げていればまだ……こんな事態に巻き込まれるようなことはなかっただろうに。全くもって、どうして自分がこの場所にいるのかが分からない。
そして、分からないと言えば…
「…何故お前まで回答者席にいる」
「勝負事だろう」
「お前は関係ないだろうが」
互いに顔を見ることもなく言葉を交わしながらも、こうなったらいっそこのナタクに勝ってもらうのが一番無難な結末ではないかとウイングは思い始めていた。そうすれば万が一の奇蹟ではあるが、もしかしたらエピオンの興味がナタクにそれるかもしれない。
もっとも、そうすると勝負の決着が付かないと、追いかけられる危険性もあるのだが。
…前言撤回。自分が勝つ事が一番無難だ。
エピオンが勝てば良いという案もあるだろうが、それは却下である。
理由は簡単。自分が彼に負けたくないから。
「じゃーそういうわけなんで!」
視界に任命されて、非常にのっているデスサイズがバンッ!と効果音が付きそうなくらい勢いよく、こちらを示した。
「パネラーはウイング、ナタク、エピオン、そしてヘビーアームズの四名!」
「何故にヘビーアームズが入って、」
「え?サンドロックの厳命だけど」
「は?」
「そっちの方が面白そうだってさ」
「そういうこと」
相変わらず人の良さそうな笑みを浮かべてサンドロックはひらりと手を振った。頑張ってね、と言わんばかりの様子だ。付け加えて彼の手にもマイク。どうやら彼もまた、司会あるいはそれに準ずる役割を担っているらしい。
すっかりとクイズ大会一色になった教室の中、観客のそのほか一般生徒たちに見られながら、デスサイズが脇に挟んでいたノートを開く。その題名が『問題集』というのは学校でしか使えそうもないのだが…何かのカモフラージュか。筆跡がサンドロックの物なので、もしかしたらこの状況は前々から考えていたのかもしれないと、漠然と思う。
「では第一問!昨日のトールギスⅢの晩ご飯は何!…はいナタク!」
「知らん!」
「ナタク、お手つき一回!てーか知らないなら答えるんじゃないっての…はい、んじゃ次はエピオンどうぞ!」
「コンビニで買ったむすびだ!ちなみに味はコンブと梅!」
「…わお正解」
まさか正解が出るとは思わなかったのか、デスサイズが小さく驚きを示す。ウイングも驚愕したという事実は一緒だったが、それ以上にどうしてエピオンがそれを知っているのかが知りたかった。本当に何故に。
その視線を受けてだろうか…ふふふ、とエピオンは笑った。
「トールギスⅢは面倒見が良いからな、よく私も邪魔して夕食を分けてもらっている」
「自分で作れ!」
「何を言う。出来るわけがないだろう!」
「自慢げに言うなぁぁぁッ!」
「…ってもさぁ、ウイングも人のこと言えないんじゃね?」
「同感だねー」
「自分のことを棚に上げるとはな…あまり正義とは言えん行動だ」
『…サンドロックもナタクも人のこと言えないと思うけど』
冷静なヘビーアームズの指摘に、ウイングはハッと我に返った。そうだ、確かに人のことは言えない。けれどそれ以上に、今はそれどころではないのだ。一点、先取された。
負けてはいられないと、ウイングはばっとデスサイズの方を向いた。
「デスサイズ!次の問題を!」
「りょーかいっ!んじゃ行くぜーっ!」
……クイズ大会は結果、放課後まで続いた。
ちなみに言うと、優勝はヘビーアームズだった。
何か、とりあえずワイワイしてたら良いよねって話。
あと、ちょっとサンドロック…黒い?いやそんなまさか。