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凄く久々にリボーンちょいながめの話。現代のヴァリアーです。
フランも書きたいけど、マーモンも書きたいからね…この二人を一緒に書いてしまおうか、いっそ。



「うわぁ血まみれ。珍し」
「ほっとけぇ」
 ピッと剣に付いた赤を振り払いながら答えるスクアーロを、マーモンはベルフェゴールの腕の中から眺めた。何も言わずにいるのは彼が怪我をしたでもないこと、どうしてこうなったのかが容易に予想できることの二つの理由があった。
 特に後者なんて分かり易すぎる。床に落ちている銀糸を見下ろして、ため息。
「本当に珍しいね」
「だからほっとけと言ってんだろぉがぁ!」
「二人とも何話して…あ、ナルホド。ふぅんそういうことか。へぇ…」
「…何だぁ、その目」
「帰ったらボスに言いつけよっと」
「…!?ちょっと待てぇ!こんなん知られたら間違いなく拳以外のもんが来る!」
 やっぱり仕置きはあるのか。というか拳以外って一体何。グラスか何か?
 酷く慌てるスクアーロを見ながら、マーモンはそのまま思った。さて、その暴力は果たして『ヘマしやがってこのカスが』の意味なのか、あるいは『んな雑魚に遅れをとりやがって』の意味なのか…あぁ、どちらにしろ同じか。言葉が違うだけで中身は同じだ。
 どちらにしろ、髪が、最終的には問題になるのだし。
 スクアーロの髪は、たまに『唯一の取り柄』とか『まだ見れる物』と形容される。けれど、それは普段は人のことを褒めない意地っ張りや、性根が曲がりきっている相手からの評価であることが多く、つまりそれをふまえると最大級の賛辞なのである。
 現に、今、ベルフェゴールはからかうように笑いながら、どこか不機嫌そうな顔をしている。髪を切られた当の本人はもっと未来のことを思い、真剣に暴力回避を計画立てているために気付いていないが。それも含めて、ザンザスからの攻撃の回避が不可能であることくらいいい加減に気付けばいいのに。
 願っても意味のない事か。
 願って気付けるようならもっと早く気付けているだろう。
「いつもは鋭いのにどうしてこういうトコじゃ…あぁ、これが俗に言う『お約束』…」
「マーモン、どうかした?」
「何でもないよ。…にしても」
 と、視線をスクアーロの足下に移す。
 憐れにも鮫の銀糸を三、四本ほど切り裂いてしまった不幸で幸運な元人間は、顔面を、首を、腕を、手首を、指を、胴を、内蔵を、膝を、全てを細切りにされていた。識別不能、そんな記号が頭をよぎるような、惨状、というのか。
「凄いよね、これ」
「そうかぁ?普通じゃねぇ?」
「いや、これはまだ普通じゃないと思うけれど」
「どーかん。てかさー、こんな楽しい処刑ショーをやるんなら王子も誘えよ」
「無茶言うんじゃねぇ」
 呆れたようにスクアーロが表情を作るが、それはそうだろうとマーモンも心の中で同意した。自分たちと彼とは、この屋敷に入ったときから別行動をしていた。効率よく屋敷の人間を殲滅するため。それで呼びに池というのは無茶だろう。
 だからそれを口にして伝えると、ぶすっとした表情が浮かべられた。分かっている、ということなのだろうか。だったら言わなければいいのに…そう思ったが、それを言うと王子とケンカになりそうだから、止める。任務後にすぐケンカは疲労的意味で遠慮する。
「何だかんだでやっぱり鮫なんだね」
 代わりに現状の感想とばかりに呟いて、憐れな男だったモノの傍に寄る。
「あ、勝手に王子の腕から抜けんなよ!」
「知らないよ、そんなの」
 そこまで付き合う義理はない。
 マーモンはベルフェゴールの言葉を無視することにした。
「…うわナマイキ」
「これは当然の対応じゃねぇのかぁ?」
「バカ鮫、何でこういう所で王子の味方をしないわけ?」
「するわけねぇだろ」
「うわ凄い凄いナマイキじゃん。マーモンよりナマイキとか有り得なくね?」
「有り得ねぇのはテメェの頭だベルぅッ!」
 ぎゃあぎゃあと頭上で交わされる会話は気にしないことにして、マーモンは赤い物体の観察を始めた。本当は近くで見ようかなんて気まぐれを発揮しただけなのだけれど、二人が言い争いが始まったので予定を変更。多分、あの言い争いは続く。
 近くで見ると、肉の切り口がとても滑らかで、それはいつも通りだから良いのだが、同時に荒い感じも存在していた。どうやら、随分と苛立っていたらしい。
 果たしてその苛立ちはこの男に対してか。
 そんな男に髪を切られた自分へのモノか。
 どのような苛立ちだったのかは知り及ぶことではないが、一つハッキリと分かること。
 それは。
「明日から、また煩くなるのかな…」
 少なくとも、今まで以上に早朝から鍛錬を開始する鮫の姿は見ることが出来る、だろう。明日の朝くらいならきっと、ほほにガーゼを貼った状態で鍛錬をしているはずだ。
 それに茶々を入れるのも楽しいかもしれないと、マーモンは少しだけ笑んだ。






(髪切りの幸人)
(末路はあはれ)




やっぱりあの髪の話は書いておきたいと思ったので。
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