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目が、開いた。
その事実に違和感を覚えながら、アリオスは起き上がった。
「……?」
「あ…」
ワケの分からない違和感に頭を振っていると、どこか呆然としているようなキュリオスの声が耳に届いた。
「…アリオス…直ったの…?」
「あ?直った?」
「だって……」
どこか煮えたぎらない彼の言葉に、あぁと思い出す。
そうだ。そういえば、自分はあの敵によって壊されて…。
……って。
「はぁぁぁぁ!?何で俺動いてんだよ!?有り得ないんじゃねぇのか!?」
「動いてるのにその物言いってどうなんだろうね…」
「アレルヤは黙ってろ!…有り得ない…有り得ねぇんだからな……」
「けど、ミレイナには直せたですよ?」
「…お前、が?」
「はいです。仕上げはまだですけど」
ちゃんとやりました、と頷く彼女の、『仕上げ』という言葉に、ほんの少し嫌な予感を覚えた。
「…その仕上げって何だ」
「胸をちょっとだけ開いて、これを入れるですぅ」
これ、と言って彼女が取り出したのは…透明な、水晶のような球体。
……ちょっと待て。
「えぇぇ!?ちょ、ミレイナ何でそれ入れてないの!?」
「はいです!何故なら入れるのを忘れていたんです!」
「いたんです、じゃねぇよガキ!てーかテメェはそれでどうして動いてんだ!?」
「俺の方が訊きたいわッ!」
「あ……有り得ない……色んな意味で有り得ないよ…」
驚き慌てるアレルヤに朗らかに答えるミレイナ。ハレルヤはこちらに文突っかかってきたが、生憎とこちらのほうがそれは知りたいのである。キュリオスは、あまりに非現実すぎる展開に現実逃避を始めた。気持ちは分かる。
つまり、全く動じていないのはミレイナと、ハロとHAROだけだった。
少しは動じろ。
というか、胸をちょっとだけ開いて、と簡単に言ってくれるが……それはどうやるんだ本当に。また胸の辺りに風穴でも空ける気か。ならば訊くが…どうやってだ。
などと悶々と考えていたのだが、空けることに関しては問題なかったらしい。
ミレイナはにこっとわらってハロを振り返ったのである。
「じゃあハロ、お願いですぅ」
「マカセテ!マカセテ!」
そう答えるやいなや、ハロの口っぽいところが開いて(開くのかそこ…)出てきたのは……自分の見間違いでなければドリル、と称される物。
まさか、とは思うのだが。
「…それで空ける気か……?」
「もちろんです!それ以外に手はないです!」
「いやいやいやいや、ちょっとミレイナもう少し色々と考えない!?少しじゃなくて良いから僅かでも良いから、ね!?」
「あああああアリオスちょっと逃げようね?逃げよ逃げないと危ない…」
「お前ら少し落ち着け」