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緑のお題とこのカテゴリーであるというのにロク兄が一片たりとも出ない奇蹟。
15.笑おう
『ねぇハレルヤ、ロックオンが何だかふさぎ込んでいるようなんだけど』
『あぁ?それで何で俺に話を振んだよ』
『だって、今、君以外に相談できる相手はいないよ?』
『通信で誰でも呼び出しやがれ』
ふぁあ、と欠伸をしてハレルヤは目を擦った。もっとも今、体の所有権はアレルヤの物だから、これはあくまでイメージでしかないのだが。それでも、実体があったらそうしていただろうから、あまり変わりはしない。
それよりも問題はこの会話内容である。
突然どうしたのかと訝しく思うし、あんなヤツの事を気にかけるなんて、とも思う。つまりは気に入らないのであった、この状況が。
『ったく…てかどうしたよだ突然』
『えぇとね、ちょっと思っただけなんだ』
『なんだそりゃ』
『何でもないんだよ、本当に。ただ、ふっと、あぁそういえばって思い出しただけなんだ。理由は…あれ、何だろう』
『あーハイハイ。そーいう思いつきってわけかい』
別に大した理由も生じない、ふとした瞬間の考えつき、ということだろう。
納得して、そういうことなら考えているのも分からなくはないとも思って、ハレルヤは暇つぶしがてらにアレルヤの話に付き合ってやることにした。まぁ、ちゃんとした回答を与えようとは思わない。少し付き合って、茶々を入れて、面白おかしく片割れで遊んでやるだけである。
『ま、話だけは聞いてやるよ』
『ありがとうハレルヤ。で、どうしたら良いんだろう…』
『ふさぎ込んでる理由でも探れば良いんじゃね』
『どうやって?』
『部屋に忍び込んでみろよ』
『む…無理だって!』
『大丈夫だぜ、アレルヤ』
安心させるように力強くハレルヤは言った。
『お前なら多分出来んだろ。きっと何とかなる』
『……絶対思ってないよね、それ』
『気のせいだろ?』
『これが気のせいだったら凄いよまったく…』
『じゃあ自分でアイディア出してみろ』
『え…?…えっと…』
真剣な表情で考え込み始めた片割れを呆れながらも見守りつつ、ハレルヤは再び欠伸をした。馬鹿なことを真剣に考えている片割れを見るのも面白いのだが、それだけではどこかつまらない、気もする。
とりあえずチラリとプトレマイオスに帰るまでの時間をチェックしてみる。あと、おおよそ二十分前後。今回はキュリオス一機だけのミッションであったために、周りには誰もおらず本当に自分たちだけしか存在していない。
ほんの少し、珍しいと言えば珍しい状況だ。
だが、言ってしまえばそれだけでしかない状況でもある。
『アレルヤ、何か考えついたか?』
『そんな直ぐ直ぐ考えつくわけないだろ?…そうだなぁ…』
『早くしろよ。あと五分で母艦に付くぜ』
『え!?』
ハレルヤの言葉にアレルヤは慌てて画面を確認した。が、当然ながら自分の言葉は嘘であり、それを各員するだけの結果になった片割れはがくりと肩を落とした。
それがおかしくてクツクツと笑う。いやはや、本当に良い反応をする。
『んでどうなんだよ、アレルヤ』
『…だから急かさないでってば…というか嘘付いたね、ハレルヤ』
『可愛いもんだろ?誰かが死んだ生きたじゃねぇし』
『そう言ったら…そうだけどさぁ……って!ハレルヤ、僕に考えさせる気って実は無いんでしょう!?』
『大当たり。よく分かったなぁ』
『嫌でも分かるよっ!』
不機嫌な表情をした片割れに苦笑して、これはちゃんと答えてやらないとへそを曲げたままになると判断したハレルヤは、静かにアレルヤに伝えた。
『とりあえずな、お前はいつも通り笑ってりゃ良いんだろうよ』
『…?それって?』
『そうしてりゃ、自然と、ってことも有り得ねぇでもねぇだろ』
『……本当?』
『さてな。効果の程は保証しねぇよ』
だが、これで本当にあの茶髪男が気を持ち直したりしたら、もしかしたらハレルヤは何となくロックオンを殴ってしまうかもしれない。
むしろ橙のお題系統だよねこれ。
でも緑と言い張る。言い張らせてください…。