[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一方その頃的な。眠ってない皆さんの話です。
49:カップメン
変な事態が起きて、日付が代わり。
もう日は、空高く上がっていた。
そして、残念ながら未だに眠っているメンバーは起きようともしなかった。
「これは由々しき事態だね」
湯を沸かしながら、サンドロックは腕を組んだ。
「本当に、大問題だ」
「全くだと思うが、それが今この瞬間に言われると何だか賛同しかねるんだが」
「そんなこと言わないで、ナタク。君だって同じコト思ってるだろ?」
「…まぁ」
茶の入ったグラスを持って、ナタクは息を吐いた。
「…否定は出来ないが」
「でしょ?」
ならば話はそういうことでしかないのだ。
今、自分たちは大変な事態に行き当たっている。それが、今、ハッキリと分かったという、それだけのことなのだから。
やっぱり、台所係の不在はキツイ物があったのである。
「いやぁ…こういう時って、本っ当に料理作ってくれる人のありがたさを感じるね……夢の世界から帰ってきてくれたら、ちゃんと手伝おうかな」
「その前に…戻ってくるのか?」
「不吉なことは言ったらダメだよ」
そこは、自分だって不安に思っているような箇所なのだから、あまり言って欲しくはない。苦笑をしながらサンドロックは注意した。
昨日の夕方くらい…いや、もう少し後くらいから突然、眠ったまま目を覚まさなくなったウイングとデスサイズを見て、嫌な予感は覚えたのだ。何というか、こういう日常と少しでも違うことが起こると、大抵事態は面倒な方向へと傾く。
予想通り、今回もそうだったわけなのだが。
予測通り、完璧にそうだったわけなのだが。。
やはり、何とも言えない物は、ある。
これが人災だと殆ど確信しているからこそ、この思いはよりいっそう強い物になっている、その事実も関係しているだろうけれど。
「ていうか、今回もやっぱりギャンの仕業かなぁ…」
「いつもの如くだな」
「けど…『今回も』とか追っておいてなんだけれどさ、そういえば人化騒動は彼のせいではなかったよね、本当に意外なことに」
「アイツが犯人ならいくらでもやりようはあったんだがな…」
「確かにそれは残念だよね」
ギャンが犯人だったら、多分怪しげなクスリか何かの効果だったのだろうと推測も出来る。だから解毒剤も作ることが出来るだろうし、事態はそこまで面倒なことにはならなかったハズなのである。
しかし、不幸にも今回はギャンの仕業ではなかったから、人化騒動は未だに収束を見せようとしていないのである。
そして、今。
また大問題が起こっているという事実。
「…今回はギャンっぽいんだけどな……特に昨日の暑い一日とか」
「…?何故だ?」
「だって、あの人自分がやった罠に尽く掛かってるし」
今回の事もそれに類するのではないかと思ったのだ。コロニー中をあそこまで暑くしてしまったら、自分だって暑くて仕方なかっただろうと。
そして、今の誰もが目を覚まさない事態。その中で、行方不明が数名いることも分かっている。そんな行方知らずの中にギャンの名前があった瞬間、サンドロックの中でそれは殆ど確定的になったのだけれど。
ナタクも同意ではあるらしい。腕を組んで頷いた。
サンドロックはその反応に満足して、湯が沸騰しだしたのでコンロの火を切った。
「さ、お昼ご飯にしようか」
「三分後だがな」
「だよねぇ…カップ麺だものねぇ…」
結局。
騒動があった上に料理が一番出来る彼が夢の国に旅立っているために、昼ご飯はカップヌードルになってしまったのだ。これは買い置きの品で、発見したヘビーアームズは今日一番の功労者だろう。
そんな状況で湯をカップに注ぎながら思うのは、やはり、手作り料理という物のありがたさという物。それ以外に、今は何も浮かばない。
「早く起きてくれないかな…」
そうして零した一言は、何よりも本心を如実に表していた。
台所係の不在はやっぱりキツイでしょう。