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00でインターフォンと言ったら、刹那の東京のマンションの部屋しか浮かびませんでした。
そんな感じのマイスター。
16.インターフォン
刹那の住んでいる部屋への、来客は意外とよく来る。
例えば余り物だと言って食事の余り物を持ってくる沙慈、任務の合間にちょくちょくと顔を出すロックオン、少し心配しているらしいアレルヤ、あとは何で来るのかよく分からないくらいに苛立ちながらもやってくる、ティエリア等々。
本当に、最後のは一体どうしてやって来るのだろうと何度か考えてみたこともあるのだが、残念ながら答えらしい答えは見つかっていない。そういえばティエリアが来るときは他の誰かと一緒であることが多いから、無理矢理連れて来られると言うこともあるのだろうか。そんなことをしたら返り討ちにされそうだが。
まぁ、ともかく。
来客が、多いのである。
今日もまた。
「刹那、お前またインスタントかよ…料理作れよ料理」
「冷蔵庫も空っぽだよ…買ってこないと」
「それでもマイスターか?」
……部屋でガンダムのデータを整理していた自分も人のことを言えた義理ではないだろうが、世界にケンカを売った組織の一員たちは、実に暇をもてあましているかのようにこの場所に来ていた。
いや、自分を含めて本当にコレで良いのだろうか。
…まぁ、良いと言うことにしよう。今日は。
とりあえずデータをそのままに保存して機器の電源を切って机の上に置き、刹那はぐるりと三人のいる方を振り返った。
そして。
「……アレルヤ、野菜室に野菜があるはずだ。それとカレーのルーもある。冷凍室には肉も保存してある」
「え?あ、本当だ。じゃあ今夜はカレーだね」
「それしか出来ないが」
結局の所、自分も彼らがここにいることを肯定してしまっているのだった。
コレで良いのかという思いが消えたわけではないが、今くらいはコレでも良いだろうという気持ちもある。いつも戦いの中であっても自分は苦にはしないつもりだ。けれど、戦場に居続けるために精神の摩耗を続ける事がどれ程危ういかは知っている。こういう、平和と呼べるような一コマがあることも許されるだろう。
席を立って、刹那は台所へと向かうことにした。
それから、アレルヤの隣にいたロックオンを台所の外に押しやって、まな板や包丁など、料理に必要な物の準備を開始する。
「刹那?」
「たまには俺がやる。アレルヤも出て良い」
「でも、尋ねてきてるのは僕らだし…」
「問題ない」
受け入れてしまっている以上、急であるなしの差違こそあれ、どうであってもそれ程自分にとっては違いはない。
それでも躊躇う様子を見せるアレルヤを、やはり強引に追い出すような格好で、刹那はキッチンの外に連れ出すことに成功した。たまには休んでもらっても罰は当たらないだろう。来ても毎回何の手伝いもしない相手もいるわけだし。
ちなみにその何もしない相手は我関せずで、頬杖を付いて窓の外の風景を眺めているようだった。暇そうなので、少しでなく手伝わせたいという気持ちになったけれども、何を言っても無駄だと言うことは身にしみて知っているので止める。
そんな時、ふいに、インターフォンが鳴った。
誰だろうかと一瞬刹那が考え込んでいる間に、ティエリアが立ち上がる。
「俺が出る」
「待て!お前が出るとややこしくなる気がする!」
「…なかなかに失礼だな、刹那・F・セイエイ。…とにかく、俺が出る」
「構うな。俺が出る」
「君は台所で料理でも何でもしていればいいだろう。俺が行くといったら行くんだ!」
「他のことをしておけばいい」
「やることが無くて暇なんだ!料理は出来たことが一度もないのは知っているだろう!」
…あぁ、自重していたのか。暇そうにしていたのではなくて。
納得しながら、しかしこればかりは彼に譲る役目にするわけにはいかない。
刹那は、ティエリアより先にとインターフォン…ではなく玄関に出た。
「せ…刹那!?」
「沙慈・クロスロード!少し来い!インターフォンが見えなくなるくらい遠くに!」
「え?えぇ?」
「早く!」
どうせインターフォン強奪戦で負けるのは目に見えているのだ。ならば、対象を遠ざけてしまうほかに自分出来ることはない。
あの『身内』を、知人に見せるわけには色んな意味でいかなかったのだ。
個性豊かすぎるからね、見せるのはちょっと抵抗あったらいい(最初)。んで途中から諦めて開き直ればいいと思うんだ。