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並盛の皆さんの話も増やそうと思って。
「…ねぇ、やっぱり止めない?この面子は止めない?」
「何だ、もう怖じ気付いたのか?入ってもねぇのに早いな」
「怖じ気付く以前の問題だろ!?」
山本の肩に乗っているリボーンに叫び返して、綱吉は頭を抱えた。
一体どうしてこんな事に……というのはこの際、考える必要はないかも知れない。リボーンのあの態度を見るだけで分かる人には分かるだろう。そう、元凶はリボーンなのである。そして目の前にあるのはお化け屋敷。
この建物について文句を言いたいのではない。夏だから夏らしく、肝試しを手近なところで有料だろうとやろうか、というノリだろうと説明は付く。
問題は面子。
自分、獄寺、山本、京子、ハルといういつものメンバーがいるのは良しとする。ちなみに了平は今日はボクシングの試合があるとかでいないし、ランボやイーピンはお昼寝中だった。こう言うところまだ子供だ。
…そんな中。
二人ほど、とてつもなく問題がある二人がいたのである。
それが。
「雲雀さんはまだ分かると…分かりたくないけど分かるとして、どうしてリボーン、クロームにわざわざ骸を呼ばせてるんだよ!」
「そっちの方が面白いじゃねぇか」
「面白くないよ!死活問題だろ!?ていうか死ぬから!」
「問題ねぇだろ。……まぁ、屋敷が半壊するくらいはあるかもな」
「充分に大惨事じゃんか!」
そんなの予測した状態で二人を連れてきたのか。
実際、それは懸念で済みそうにはなかった。確実に二人は、放っておけば戦い始める空気をその場に満たしていたのである。お陰で獄寺は警戒心丸出しだし、山本もさり気なく戦闘態勢に入っているようだし。
こんな状態でお化け屋敷など、ミスマッチにも程がある。
まぁ…そんなの予測した上で、リボーンは舞台をセッティングしているのだろうが。
本当に困った相手である。
「…で、二人が戦いだしたらどうするんだよ」
「お前が止めるんだ」
「俺ぇ!?無理無理無理!ていうか何で俺だよ!」
「ボスだろ?」
「認めた覚えないし、認められた覚えもないんですけど!?」
などと放している間に、雲雀と骸はさっさと……二人並んで、入っていってしまった。
残った者たちは…動こうとしない。京子やハルまでもが足を止めたままであると言うから事は深刻だ。
「…十代目、あの二人が出てくるまでこのお化け屋敷は無事でしょうか」
「それは……保証しかねるかな」
「そろそろ崩れる時間じゃねーのか」
「リボーン不吉なこと言わないで!」
「あー、でも本当にそろそろじゃねぇのかな」
山本が中をのぞき込むように体を動かし、苦笑を浮かべた。流石の彼でもこの事態にはそうすることしかできないらしい。
相手はあの二人、当然と言えば当然か。
それこそが自然、とも言う。
けれど。
「でも…崩れたらどうします?」
ハルの言葉に、綱吉はピシリと固まった。
…そういえば、そうだ。崩れることが大前提として考えていたが、そもそもそれが成されてしまった後はどうなるかといえば。
…仕方ない。
「崩れた瞬間に走って逃げようか…他人装って」
「ばれませんかね?」
「そこは…シラを切るしか」
「…切れるの?」
「分からないけど…」
獄寺と京子の言葉に自信なく返すしかできない綱吉は、祈るようにお化け屋敷を見た。現状の最良は、険悪なムードになっていようと雲雀と骸の二人がちゃんと出てきてくれること、なのだが。
事が、そう簡単に上手く運ぶわけもなく。
数秒後。
お化け屋敷から蓮が大量に突き出たのを見て、綱吉はくると体を反転させた。
この後の光景は…目に見えて分かる。
ていうか見えなくても分かる。
崩れゆくお化け屋敷の音を聞きながら、綱吉たちはそのまま一斉に走り出した。
良心とか何とか、考える暇は正直、無い。
その場にいたら弁償とか色々大変そうだし。逃げるしかないんじゃないかと思って。