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この二人の主従?関係は未だ健在なのでしょうか。
070:かくれんぼ
何でこんな事になっているんだろうと、学校の掃除道具が入っているロッカーの中に隠れ、ハルは泣きたい気分になっていた。
理由は実に簡単だ。
「家来ー、どこにいんだよ」
外で、いつぞやの王子が探し回っているから、自分を。
しかも、手にナイフを持って。
危ない。この状況は危なすぎる。この前会ったときも、後ろからナイフを突きつけられて、脅されて一緒にいたりもしたのだから。それによく考えると、結構本気で命の危険を感じたときもあったのだったし。
そして今。
全ての始まりは王子の『かくれんぼがしたい』という要求からだった。
丁度傍にいたハルは、そのまま流されるように巻き込まれてしまって、結果。
「……」
何も喋らず動けず息も気配も殺して、そこにいるしかなかった。
外で、王子の歩いている足音が聞こえる。それはつまり直ぐ側にいるということで、イコールで今動いたら危険だということ。
願わくは、というかお願いだから、掃除道具入れの扉を開けないでください。
心の中で何度も同じように願っていたハルは、ふと足音が聞こえなくなったのを感じた。いなくなった……のだろうか。だとしたら一安心、と安堵の息を吐いた、瞬間。
「なーんて事になるワケ無いじゃん」
「はひっ!?」
「バレバレなんだよ家来。消すんならもっと上手に気配消せ」
突然開け放たれたドアの向こうに見える、金髪王子と…銀色ナイフ。
「てーわけで、見ーつけた」
「…あ…あう…デンジャラスです…」
「デンジャラス?これからの方がもっと危険だぜ?」
口元だけしか見えない王子が、ニッとその口の端を吊り上げた。
「見つかった間抜けな被害者には罰ゲームだろ?」
気配消せって素人に無茶…。