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バサラお題のtype2の栄えある?最初は元就様です。
そして、これは真面目な話。
01:潜む毒
あぁ、つまらない事をする馬鹿もいたものだ。
池に浮くいくつもの死骸を眺めながら思う。
本当に、何て馬鹿な事。
まさか自分を、毒殺しようとする馬鹿がいようとは。
いっそ見事すぎて、嗤えてくる有様だ。
しっかりと証拠を残して去っていった点も、十二分にその理由になっているだろう。
何せ、毒を盛った後直ぐに消えてしまう。これで怪しむなという方が無理だし、無茶だ。
何でもその者は厨房に出入りする役割を担い、真面目に仕事を行っていたのだそうだ。ざっと、二ヶ月程度。だから、その者を知る人間は、誰も彼もが口をそろえて『まさか』と言う。『彼がそんなことをするはずがない』と。
当然だろう。
そう思わせなければ仕事は成り立つまい。
しかし…さて、どうして毒殺など行われかけたのか。
考えたところで答えは到底出るわけもない。
ならばそのような無駄なことは止めようか。
代わりに、やることならばあるではないか。
「さて」
元就は振り返り、こちらを睨み付ける犯人を見た。
その絶対零度の瞳を真正面から受け止める事になった犯人は、たちまちにすくみ上がる。
所詮は農民、百姓かと、その反応を見ながらつまらなく思う。これが名のある武将なら、憶したとしても負けまいと、こちらを睨み付けてくるだろうに。
どうであれやることは変わらない。
静かに犯人の元に向かい、元就はその前で立ち止まった。
見下ろせば、その存在がどれ程に小さいものかが分かる。
「何故、我を害せんとした」
「……」
「答えぬか」
「…」
「まぁ…良いか」
呟き、元就は少しばかり距離を取った。
どこまでも反抗的な態度に苛立ちがないと言えば嘘になるが、どうせ今から死ぬ者に何かを求めるのも馬鹿らしい。
元就は、机の上にあった湯飲みを取った。
「隣国の鬼を知っておるか?」
相手の方を見ず、元就は話した。
見ていないのだから、どのような反応を返したかは知らない。多分、不思議そうな顔でもしているのではないだろうか。そこでどうしてそれが出るのか、と。あるいは何なのだろうと考えているかも知れない。どこまであの鬼の知名度があるのか定かではないのだ。
それでも、構わずに言葉を続ける。
「あやつ、意外と『外』の事を知っておってな、我に『外』から仕入れてきた言葉をたまに伝えるのだ。もっとも、読めるわけでも話せるわけでもなく、翻訳されたものを口にするだけではあるのだがな。そして…その言葉の中で、我の好きなものがある」
元就は振り返り、そこで、初めて相手がどのような表情をしていたのかを知った。
怯えているその相手を眺めつつ、足を一歩、踏み出す。
「目には目を、歯には歯を…だそうだ」
この相手が浮かべる恐怖に歪む顔は、どこまでも醜い。
もう、見るのも飽きた。
「意味は漠然と分かるであろう?」
湯飲みの中の液体が、怪しく揺れた。
…とまぁ、type2はこんな感じで突き進む予定です。