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そろそろ涼しくなってきましたが、そういえば夏ってすっごく暑いですよねって事です。



「…何でこう言うときに限って扇風機やらクーラーやらが使い物にならなくなるんだろうね…本当にワケが分からないよ」
「ま、俺らはマーモンのお陰で大分楽だけど」
「それでもまだ暑いけどなぁ…」
 髪を高く結い上げられた状態でスクアーロは、パタパタと書類の束で自身に風を送りながらため息を吐いた。
 今、ヴァリアー本部は電気を止められている。だからこそ電気機器が使えなくなったのだが、その理由はまぁ、要はあまりの暑さに電気を送ったり何だりする機械がオーバーヒートしてしまったと言うわけであって。
 地球温暖化にも困った物だ、全く。
 …いや、何よりの原因は別にあるのだが。
 それを思えば、現状は仕方がないのかも知れない。というかそう思いたい。あの事態が原因だとしたら、間違いなく自分はその渦中にいた。
 正直、自分のせいでこの状況が起こったのと言うのは嫌なのである。
 他の隊員に恨まれるからではなく、純粋に、この状況に貢献してしまったという事実が気に入らないだけなのだが。
 そして別に『ある事態』などと、さも特別なことのように口にするほどの事でもないのだ、それは。日常茶飯事も茶飯事、いつもの如くのザンザスの激怒である。主犯は直ぐ側でだらけているベルフェゴール。止めることが出来なかった自分も同罪らしいのだが、それは濡れ衣という物ではないだろうか。
 だいたい剣一本でナイフを何本も落とせるわけがないだろう。自分目がけて飛んできたなら軽く全てたたき落とせるにしても、自分とは全く違う方向に、そこそこのスピードで、しかもかなり後半に広がられてしまってはどうしようもない。
 その結果として、重要書類がダメになったとしても、自分に非はないと主張させてもらおう。暑さに苛ついたらしいとはいえ、やって良いことといけないの判断が出来ていなかった暑さに負けていたベルフェゴールが全面的に悪いのだから。
 今回ばかりは完全に被害者だ。
 いや…今回もまた、だろうか。
 何気に苦労が多いのは気のせいだろうか。
「気のせいじゃないと思うよ、スクアーロ」
「そうかぁ…んでマーモン、どうして俺の考えてることが分かった」
「顔見れば分かるよ。苦労してる顔してる」
「そうかぁ……」
「ルッス辺りにも同じ事を言われるんじゃないのかな」
「…だろうなぁ…」
 その時の情景が目の前に浮かぶようだった。
 再びのため息を吐き、改めて書類で扇ごうと思った…ところで、飛んできた何か堅い細長い物が頭に直撃する。
 確かめるまでもなく、それは万年筆とか呼ばれる筆記具だった。
 そして考えるまでもなく、犯人はザンザスである。
 …ここは、執務室なのだった。
 そんな場所に集まっている理由は、ここにマーモンが連れ込まれる現場を目撃したから。この暑いときに任務もないのにマーモンが必要となれば、何をするかは一目瞭然だろう。案の定、マーモンに部屋を涼しくしろと言っているザンザスを見ることが出来たワケだ。
「カス鮫、とっととその書類を寄越せ」
「何だぁ?これ、まだ使うヤツだったのかよ」
「んなもん見りゃ分かるだろうが」
「や、分からねぇよ」
 サインをする場所も印を押すような場所だって、どこにも見あたらないのだから。しかも適当に机の上に置いておかれてただけだし。
 分かるわけがないだろうと思いながらも、万年筆と共に書類を持ってザンザスの所に向かうべく腰を上げる。もう片方の手には当然ながら書類がある。あと、頭の上にマーモンが乗っているが気にしないことにする。落ちないようにと苦心する事もないし、そんなことなどしなくても落ちることなど無いだろう。バランス感覚が良い悪い以前に、彼は宙に浮くことも出来るのである。
 そのまま机の前に歩いていって、軽く二品を放る。
 そうしたら、今度は辞書が飛んできた。
 近距離だった上に飛ぶというか、殴るような感じで繰り出されたのでダメージは投げつけられるのよりも大きかった。
 思わず額を抑えて机に手をつき、数秒後、どうにか回復してザンザスをキッと睨んだ。
「…ってぇな!いい加減にその暴力癖止めやがれ!」
「煩い鮫には丁度良い躾の付け方じゃねぇか」
「ボス、頭って叩くほどに馬鹿になるって言うよね」
「壊滅的な馬鹿がこれ以上馬鹿になったところで変わらねぇだろうが」
「んのクソボス…ッ」
 確かに頭が良いなんて思わない。思わない、が。
 そこまで言い切られると思うところはやはり、有るわけで。
「何か反論でもあんのかよ」
「…ねぇ」
 が、そう言い返されると返答のしようもない。
 悔しく思いながら呻くように零せば、どこか満足そうにザンザスは口の端を吊り上げた。









マーモンって、いたら本当に便利だと思うんだ…や、力使ってくれるかどうかで凄く差があると思うけど。
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