式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
お昼休み、職員室での話です。
「ライル、昨日渡すと言って忘れていた書類だ」
「おうよ。確かに受け取ったぜ」
ライルは刹那から一枚の紙を受け取り、にっと笑って見せた。
昼休み、というのは教員が食事をとりに帰ってくるなどするので割と、その教員が揃っている事が多い。だから、こういう時間はよく生徒がやって来る。今回の刹那もそのくち……かと思えばそうではなく、彼の場合は純粋にこの時間だけしか空いていなかったのだそうだ。
生徒会として、ここ三日間は休むことなく働いているという。
何が原因かなど考えるまでもなく明白だった。
書類に目を通しながら、少しの苦さを伴いながら笑う。
「お前も大変だよな。停学された生徒のケアとか回ってんだろ?」
「大したことじゃない。問題はそれ以上に、例の教員たちへの不満が爆発的に広がっていることだろう」
「そっちを止める方が大変って?やっぱり大変じゃねぇか」
「まだアレルヤが残っているから大丈夫だ。二人ならどうにか回る」
「…リジェネのこと忘れてね?」
「アイツは思考の対象の外だ」
「……さいですか」
あれでも副会長だったはずなのだが。
しかしそれはやはりリジェネがリジェネのまま、猫も被らずに過ごしていると言うことであり、何というか現状においてはそういう生徒がいることが何となく嬉しく思えてくる。ぴりぴりとした空気の中で、彼は飄々と彼らをかわしているのかもしれない。
「ヴェーダに似てると言われているだけはあるが」
「だよなー。ヴェーダを軟禁するならリジェネもやっとけっての」
「何の話をしてるんだい?」
「…お前も来たのか」
「まぁね。僕はセルゲイさんに用事があるんだよ。いないようだけど」
突然会話の中に乱入してきたリジェネは、そう言いながら職員室をぐるりと見渡し肩をすくめた。本当に、今まで通りだった。彼に限って言うと生徒全員……そして教師の殆どにもれなく付いてきている苛々とした雰囲気は無い。
その事を確認してホッとしながら、ライルは改めて二人の方に体を向けた。
「あの人ならさっき出て行ったばっかりだぜ?待っても直ぐには帰って来な…」
「わぁ…この四つの机があの教師たちの机?」
「……」
「あれ?違う?」
「…いや、そうだけどな」
思い切り自分の言葉を無視して新しく運び込まれた四つの机をしげしげと眺めるリジェネに、こちらとしては苦笑しかない。
まぁ、これも清々しいほどいつも通り。
それは喜ばしいことではあるが…少しイラッとくるのは仕方ないのか。
「諦めろ、ライル。アイツはああいう奴だ」
「だよなぁ…って、お、沙慈とルイス。お前らも用事か?」
「はい。…というか報告なんですけど、ソーマが停学にされました」
「…ソーマ・ピーリスが?」
「うん。マリーが言っていたんだよ、刹那」
「実際に行ってみたら姿も無かったし、間違いないと思うわ」
「これで…何人目だろうな」
「三十四人だよ、ライル先生?知らないの?」
と、クスクスとリジェネが笑いながら近づいてきた。笑い事ではないのにという沙慈やルイスの思いが空気になってあふれ出たが、それすらも気にとめず彼は続ける。情報が手に入るという意味でありがたいことだったのでライルは何も思わなかったし、刹那は相変わらずの表情だったのだが。
「多分ね、まだ増えると思うんだけど。目標は百人くらいなんじゃないかな」
「そんなに停学にして…一体何が楽しいの?」
「知らないよ。テコ入れが目的なのは分かっているけどね。つまらない人たちなのも分かってるけどさ」
「どうせ上に立つことが出来るのが嬉しいだけだろう」
「愚かなことだね」
「全くだ」
有り得ないほどにリジェネと刹那は意見を合わせ、頷いた。
ここまで嫌われたのかと、ライルとしては彼らに同情を禁じ得ない。それも少しのことではあるのだが、確かにその思いは存在していた。あの生徒会のメンバーの二人に目を付けられて、無事で済むわけがないだろうと無駄な程に確信してしまっているのである。
「こりゃ…しばらくは休めないんだな」
「休みたいなら簡単だ。お前もヤツらの不興を買え」
「絶対に簡単だよ?嫌になるほど短気だもの、彼ら」
「…遠慮しとくぜ」
二人の皮肉に軽く手を振って答え、いつの間にか去っていった沙慈とルイスの代わりにちゃんとした話し相手になる人間を捜して職員室を見渡す。
とりあえずネーナは無理だと判断、アレルヤと留美を呼び寄せることにした。
そろそろ、生徒たちの怒りが本格的に出てきそうですけれど…。
「おうよ。確かに受け取ったぜ」
ライルは刹那から一枚の紙を受け取り、にっと笑って見せた。
昼休み、というのは教員が食事をとりに帰ってくるなどするので割と、その教員が揃っている事が多い。だから、こういう時間はよく生徒がやって来る。今回の刹那もそのくち……かと思えばそうではなく、彼の場合は純粋にこの時間だけしか空いていなかったのだそうだ。
生徒会として、ここ三日間は休むことなく働いているという。
何が原因かなど考えるまでもなく明白だった。
書類に目を通しながら、少しの苦さを伴いながら笑う。
「お前も大変だよな。停学された生徒のケアとか回ってんだろ?」
「大したことじゃない。問題はそれ以上に、例の教員たちへの不満が爆発的に広がっていることだろう」
「そっちを止める方が大変って?やっぱり大変じゃねぇか」
「まだアレルヤが残っているから大丈夫だ。二人ならどうにか回る」
「…リジェネのこと忘れてね?」
「アイツは思考の対象の外だ」
「……さいですか」
あれでも副会長だったはずなのだが。
しかしそれはやはりリジェネがリジェネのまま、猫も被らずに過ごしていると言うことであり、何というか現状においてはそういう生徒がいることが何となく嬉しく思えてくる。ぴりぴりとした空気の中で、彼は飄々と彼らをかわしているのかもしれない。
「ヴェーダに似てると言われているだけはあるが」
「だよなー。ヴェーダを軟禁するならリジェネもやっとけっての」
「何の話をしてるんだい?」
「…お前も来たのか」
「まぁね。僕はセルゲイさんに用事があるんだよ。いないようだけど」
突然会話の中に乱入してきたリジェネは、そう言いながら職員室をぐるりと見渡し肩をすくめた。本当に、今まで通りだった。彼に限って言うと生徒全員……そして教師の殆どにもれなく付いてきている苛々とした雰囲気は無い。
その事を確認してホッとしながら、ライルは改めて二人の方に体を向けた。
「あの人ならさっき出て行ったばっかりだぜ?待っても直ぐには帰って来な…」
「わぁ…この四つの机があの教師たちの机?」
「……」
「あれ?違う?」
「…いや、そうだけどな」
思い切り自分の言葉を無視して新しく運び込まれた四つの机をしげしげと眺めるリジェネに、こちらとしては苦笑しかない。
まぁ、これも清々しいほどいつも通り。
それは喜ばしいことではあるが…少しイラッとくるのは仕方ないのか。
「諦めろ、ライル。アイツはああいう奴だ」
「だよなぁ…って、お、沙慈とルイス。お前らも用事か?」
「はい。…というか報告なんですけど、ソーマが停学にされました」
「…ソーマ・ピーリスが?」
「うん。マリーが言っていたんだよ、刹那」
「実際に行ってみたら姿も無かったし、間違いないと思うわ」
「これで…何人目だろうな」
「三十四人だよ、ライル先生?知らないの?」
と、クスクスとリジェネが笑いながら近づいてきた。笑い事ではないのにという沙慈やルイスの思いが空気になってあふれ出たが、それすらも気にとめず彼は続ける。情報が手に入るという意味でありがたいことだったのでライルは何も思わなかったし、刹那は相変わらずの表情だったのだが。
「多分ね、まだ増えると思うんだけど。目標は百人くらいなんじゃないかな」
「そんなに停学にして…一体何が楽しいの?」
「知らないよ。テコ入れが目的なのは分かっているけどね。つまらない人たちなのも分かってるけどさ」
「どうせ上に立つことが出来るのが嬉しいだけだろう」
「愚かなことだね」
「全くだ」
有り得ないほどにリジェネと刹那は意見を合わせ、頷いた。
ここまで嫌われたのかと、ライルとしては彼らに同情を禁じ得ない。それも少しのことではあるのだが、確かにその思いは存在していた。あの生徒会のメンバーの二人に目を付けられて、無事で済むわけがないだろうと無駄な程に確信してしまっているのである。
「こりゃ…しばらくは休めないんだな」
「休みたいなら簡単だ。お前もヤツらの不興を買え」
「絶対に簡単だよ?嫌になるほど短気だもの、彼ら」
「…遠慮しとくぜ」
二人の皮肉に軽く手を振って答え、いつの間にか去っていった沙慈とルイスの代わりにちゃんとした話し相手になる人間を捜して職員室を見渡す。
とりあえずネーナは無理だと判断、アレルヤと留美を呼び寄せることにした。
そろそろ、生徒たちの怒りが本格的に出てきそうですけれど…。
PR
この記事にコメントする