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折角遊園地なのに遊んでる描写がないのは何とも言えないとふと思いましたので。
ちょっと番外。



「次あれ乗ろうぜ、マーモン」
「いや…ジェットコースターって」
 何だろう、自分の身長にケンカ売ってるのか。
 ほんの少しだけ殺気立つと、それすら気にもとめず…まぁ、日常になっているから当然と言えば当然なのだけれど、ベルフェゴールはくるんとこちらを向いた。けれども意識は件の乗り物の方に向いているのが分かる。そこは、仕方ないと言うことで気にしないことにした。言ったところで治らないだろう。
「だってさ、マーモンって幻術あるじゃん」
「こんなくだらないことで幻術を使えっていうの?」
「使っても良いだろ?こう言うときくらいさ」
「…何かすっごいバカバカしいと思うのは僕だけ?」
「え?バカバカしい?」
「そうだよ」
「そんなこと無いと思うけど、俺は」
 などと首を傾げながら本気で言っている様子の王子に、マーモンは呆れてため息しかでなかった。バカバカしいに決まっているだろう、絶対に。それ以外にどういう形容をしろというのだろう。
「ていうかベル、僕はジェットコースターに乗る気はないよ」
「えー?良いじゃん乗れよ。一人だとお前暇だろ?うわ、気遣いするなんて王子優しー。すっごい珍しいんだから感謝しろよな」
「嫌だよ。そんな気遣いいらないからね」
 一文どころかマイナス一文になりかねないそんな気遣い、誰が喜ぶというのだろうか。
「気遣いするくらいならお金を頂戴。いっそ君の有り金全部って事でどうかな。どうせゲームとかお菓子とかに消費されるんでしょ?なら僕が研究費に充てた方がよっぽど有意義だと思うんだけど」
「はぁ?何言ってんだよ。王子の金は王子の金、んでもって庶民の金は王子の金。ちなみに庶民ってお前も入ってんだからな」
「絶対に渡さないからね。そんな一世代前の理屈じゃ渡せないよ」
 確かに以前なら、王族特権とかでどうとでも出来ただろう。今でもあるいは、出来る場所があるのかも知れないが自分は興味がない。だが、少なくともここではそれは当てはまらないのである。
 しかし、そのくらい分かっていてなお言っているのだろうこの王子に、そういう話は無駄なのかも知れない。
「…やっぱり色々と治してもらうべきだろうか」
「ん?何か言った?」
「何も。ちょっと思うところがあるだけ」
「…何それ。何か苛つくけど」
「気のせいだよ」
 苛つかれるようなことは何にも考えていないので、マーモンは簡単に首を振った。こんな当たり前のことで苛立たれてたまるかという本心がそこにはあったかもしれないが、ベルフェゴールは気付いていないか気にしなかったのか、そう、とだけ返して改めてジェットコースターの列を見た。
 やはりと言うべきか、目玉のアトラクションであるだけあってそれは人気だった。列は長蛇と形容されるほど長く、最後尾は見えるものの今から待てばとてつもなく時間が掛かることだろう。そういう点から見ても自分はそれに乗る気にはなれなかったし…何より、ベルフェゴールを乗せるわけにはいかないと思うようにもなった。
 この我慢強くない王子をここに置いて大惨事にならないわけがない。
 そうなったら、確実に遊園地は崩壊する。ちなみに王子の手ではなく、その大惨事にブチ切れる帝王の手によって。
 無理を言ったなぁと言うのは、自覚があるのである。
 だからといって本当のことを言ってしまうわけにもいかない。綱吉に「仕事続きで疲れてるだろうから、適当に連れ出しといてね。こういう時って彼ら、結構無茶するんでしょ?」なんて言われてしまったなど。そして、それを断る言葉がなかったこと、なんて。
 言ったら言ったで別の場所が大惨事だ。だったら黙って引き受けて、黙って実行するほか無いだろう。ベルフェゴールは純粋に来たかっただけかも知れないが。
 自分の場合は……チケットが無料だったというその点にも惹かれ、これを実行するなら特別手当が出ると言われたのにも惹かれたのだが。
「…あぁ、僕が一番得してる気がするね」
 付け加えると、一番苦労しているのはあの鮫だろう。
 とにかく苛立っている人の傍に置いてきてしまったから、今頃とても困っているのではないだろうか。困るなんて言葉が相応しくないくらいに。
 体は休まっても心の方は休まらないかも知れないと静かに苦笑していると、いつの間にかジェットコースターの列から離れたベルフェゴールがこちらを向いてブンブンと手を振っていた。
「マーモン、速く行こうぜー。んでさ、お土産にソフトクリーム持って二人の所に戻んない?味はバニラで良いよな」
 近づくやいなや問われた質問に、少し考えてこくりと頷いて返した。
「良いんじゃない?その時、ボスの機嫌が良いと良いけどね。じゃないとあっという間に僕らは燃えかすだよ」








遊んでる姿を…って思ったのに。
…あれ?遊んでる、これ?という感じになっているような…。
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