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なんかすごい曖昧な話に……。臨也さんと静雄さんです、多分。



「何で君は獣なんだろうね」
 俺が問いかけると、金の獣は不思議そうに首を傾げた。
 何を言っているのかと言わんばかりに、そうして獣は口を開く。
「獣は、お前だろ?」
「へぇ。どうしてそう思う?」
「目の紅い人間なんているわけねぇ。そんな目、持ってるとしても悪魔くらいのもんだろ」
「悪魔か。悪魔ね」
 それは自分の持つ色彩と性質を合わせて考えて見れば、言い得て妙な言葉ではあるけれども、残念ながら、目が紅い人間なんて探せばいくらでもいるのだ。目の前の無知な金の獣は、そんな事さえ知らないようではあるけれど。
 それも一つの幸せの形なのだろうか。そんな事を思いながら、優しく、穏やかに、俺は獣に話しかける。
「俺は人じゃない。人じゃないから俺は獣。つまり、君が言いたいのはそういう事?そして君は獣である俺じゃないから獣では無くて、人間だ、と言いたいの?……でも、普通、人間は君と違ってとんでもなく非力で非力でどうしようもない生き物なんだよ。だから、」
「力を持っている俺は、獣?」
「そういう事」
「けど、俺は人間だ」
「俺だって、人間だよ」
 そう言うと、獣は酷く困った様な表情を浮かべた。
「でも、俺が人間だったらお前は人間じゃないはずだ」
「二人とも人間じゃあ、駄目なんだ?」
「駄目じゃない。でも、俺とおまえは違い過ぎるから」
 同じ種族では無いと思えるほどに、差異がありすぎるから。
 だから自分が人間ならばお前は獣なのだと、金の獣は言った。表情はやはり、困り果てた物だった。どうやったら自分の言葉を受け入れてもらえるだろうかと真剣に思い悩む人ならざる物を前に、俺は薄く笑った。俺を相手にしている時点で、そんな事を考える事はもはや無駄でしかないのに。俺は、俺の意見を変えるつもりは無い。そして、それは恐らく獣の方だって同じだろう。
 俺も獣も、自分が人間だと思い、互いを獣だと思っている。
 俺と獣の意見は相容れない。同時に存在する事は出来ず、出来た場合は矛盾が生じる。
 ならば間違っているのだ。どちらかが。
 じゃあ、間違っているのはどちらだろう。






どっちも実際は人間なわけなんですけれど、本当に二人とも違いすぎるよねって。
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